2015.1.21(水)曇り 近世三昧聖と葬送文化を読む-2
著者の意図に沿うことなく、発見した事はやはり穴のことである。下八田村(現亀岡市)庄屋の杉原家の文政六年葬式帳に次の一文がある。
一拾五匁 西野々火屋ノ穴埋、真中壱ツ新拵候日雇賃、西ノ庄八へ遣
一拾匁 焼斗代
天保六年葬式帳には
一弐拾目 西のゝ火屋之内、上ぬり内ノ穴、真中壱ツ拵候日雇賃、西ノ庄八ヘ遣ス
一拾匁 焼斗代遣ス
と記されている。「火屋ノ穴埋、真中壱ツ新拵」あるいは「上ぬり内ノ穴、真中壱ツ拵」とは、西野々の火屋内に複数の火葬穴があって、そのうち中央のーおそらく最上等のー火葬穴を用いた状況を示しているのであろう。(P169)
これで穴というのが火葬穴、つまり火葬の炉、釜を示すものだということがわかる。「中世の葬送・墓制」に登場する「穴等拝見」の穴とは火屋(火葬場)の中にある火葬炉だろう。また、「穴賃」こそ拵候日雇賃のことだろう。
穴虫仮説を出して以来悩んできた穴の意味がここにきてはっきりしたわけだが、新たな問題も出てきた。
焼斗代とは、著者木下氏は火葬穴拵料とは別立ての火葬料を指すものと思われる、という風に書かれているがそれが何を意味するかは分からないようだ。他の文献にも焼斗代というものは出てこない、燃料費あるいは一晩火の番をする手数料だろうか。そのうち判明するだろうと思っているのだが、問題は「火屋ノ穴埋、上ぬり内ノ穴」である。
穴埋は穴と同じ事なのかもしれないが、埋とは解せない言葉である。火葬炉を埋める事はあり得ないからだ。また、上ぬり内ノ穴、上ぬりとは一体何のことだろう。
もともと火葬は平地に燃料を積んで遺体を燃やしていただけだろうが、やがて浅い穴を掘る、その穴部分を平らな石などをはめ、常設となる、という風に進化し、近代になると屋根があり、石はレンガなどに変わってくる。とまあ遺跡の写真などで想像しているのだが、この石張りの底や壁部分が粘土等で上塗りされているものではないだろうか。これらの進化は燃焼効率、保温性、収骨のしやすさなどの向上が考えられるが、炉の表面をきれいに仕上げるのは喪家により高級な火葬を選んでもらえるという効果もあるのではないだろうか。つづく
【作業日誌 1/21】ベランダ踏み台作り、引き出しまで完成
【今日のじょん】暖かい日が続くともうこれで春が来るのではと錯覚する。雪遊びももう出来なくなるかもと、雪山ぽんぽこをする。そういえば散歩道にはもうふきのとうが出ていた。いやいや節分が済むまでは油断したらあかんで。
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