晴徨雨読

晴れた日は自転車で彷徨い、雨の日は本を読む。こんな旅をしたときに始めたブログです。

日常 1/26

2010-01-26 | 日記・エッセイ・コラム

2010.1.26(火)曇

 日常とは、それが続く限り単調で退屈なものであるが、途切れるとなると不安定で悲しいものである。わたしの日常は、じょんの散歩をし、朝食をとってストーブを点け、洗濯物を干して、トイレにゆく。その後開店準備をして、裏の作業場や薪小屋で自分の作業をする。開店早々来客があることは少ない、その時間こそ自分の好きなことを出来る時間だ。そうこうしていると土井さんが綾部から帰ってきて声を掛ける、「なんしとんじゃいな」「薪割っとかなと思いまして、、まあ入ってください」てなわけで着替えをして、手を洗って店に入る。これが朝の日常であった。
 小さな喫茶店だけど、見知らぬ土地に来て開店するのは不安であった。開店当初の忙しさはあっという間に消え、二ヶ月もたつとお客さま皆無の日もあった。売り上げとか経費とかに関わらず、お客さまが一人もないというのは応えた。そんななかで、常連さんもぽつりぽつりと増え、皆無という日は無くなってきたが、連日のように来ていただけるお客さまは上林に移住してこられた方や別荘として上林にお住まいの方がほとんどで、上林で生まれて上林に住んでおられる方は土井さんが唯一だった。そのことがどれほど私たちに勇気を与えてくれたことだろう。
 上林のことはほとんどが土井さんから教えて貰った、28水のこと、郡是華やかかりし頃のこと、大雪で閉ざされていたかつての冬のこと、特に奥上林の情報はほとんどが土井さんのものだった。奥上林のことは昔のことも今のことも実によく知っておられた。コーヒーを差し上げながらそんなお話を聞くのが日常であった。
 土井さんについて是非書いておかなければならないことは、「奥上林村誌」のことである。2009年7月2日、8日のブログで奥上林村誌を戴いたという記事を書いているが、下さったのは土井さんである。「上林の歴史も調べてみたいのです」といったら、「これで勉強し」といって下さったわけだ。Img_2611 これは大変貴重な本で、府資料館にでも無いそうだ。このことが上林の歴史を調べる発端で、日夜勉強しているが、一朝一夕に出来るものでなく、おそらくライフワークとなるだろう。この本はわたしの数ある蔵書のなかでも最も貴重で大切な本だが、この本をいただく際に土井さんの依頼というか注文が二つあった。未だ果たせていないのだが、そのことについては後日書くこととしよう。
 まだまだ書いておきたいことがあるので、それは後日として、今日葬儀がとりおこなわれた。わたしはそっとお別れをしたかったので、昨晩お通夜におうかがいしたのだが、入院されている間も「じょんのびに行こうや、じょんのびに行こうや」とおっしゃっていたと聞いて、涙が止まらなかった。
 じょんのびの日常が土井さんの日常でもあったのだ。そんな日常がぷっつり途切れたとき、茫然と立ちすくんでしまう。
 じょんと行く朝の散歩道は、中上林から奥上林そして若丹国境の山々が幾重にも幾重にも重なって見える。その山襞のひとつが草壁である。その山影から「なんしとんじゃいな」という声が聞こえるのである。 合掌Img_3108


古屋、草壁方面をのぞむ(綾部温泉から)

今日のじょんはお休みとする。元気しているのでご心配なく。

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4 コメント

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 お久しぶりです。谷村さんの走友・パオパオです。 (パオパオ)
2010-01-26 23:14:42
 お久しぶりです。谷村さんの走友・パオパオです。
 こんな言い方は失礼かも知れませんが、今日の晴徨雨読は名作です。余計なもの(雑念のようなものでしょうか)がそぎ落とされ、たいへん読みやすく、心にスッと入ってくるきれいな文章です。
 私が一度もあったことのない土井さんという方のお人柄が、ひしひしと伝わってきます。そして、じょんのび村村長さんのお人柄も・・・。
 ぜひ、地元の方との交流の記事を増やしていってください。
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土井さんのことはもう少し書いておかなければなり... (じょんのび村長)
2010-01-27 19:31:28
土井さんのことはもう少し書いておかなければなりません。じょんのびは、お金儲けだけ考えているのなら観光客や通りすがりのお客さまを対象にしていれば良いのだろうけど、やっぱり地元のお客さま、じょんのびを愛してくれるお客さまが来られないとやってる意味がありません。頑張ります。
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 村長 めげんといてや。 (ニルヴァーナ)
2010-01-28 11:42:32
 村長 めげんといてや。
 精神は、思う人の中に生きてますから。
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土井さんは村にとっても大切な親父でありました (公民館のさくらの木)
2010-03-23 14:10:21
土井さんは村にとっても大切な親父でありました
今は彼の心をひきついでいくしかありません

ここの話を共有さいていただきたく思いました

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