晴徨雨読

晴れた日は自転車で彷徨い、雨の日は本を読む。こんな旅をしたときに始めたブログです。

風呂地名の謎(3) 10/24

2016-10-24 | 地名・山名考

2016.10.24(月)曇り 

 柳田國男氏の論文は「風呂の起源」で以下のように述べている。
「『美作誌』に美作方言で森をフロという。『雲陽志』には出雲仁田郡石原村に御崎森(ミサキフロ)があり、又石見邑智郡沢谷村の御崎風呂、備中中川郡平川村の疫神風呂、同郡油野村の風神風呂などの小字名がある。林と書いてフロとよませるものに美作真庭郡勝山町大字日田の桑林(クワブロ)、社をフロとよませるものに三河宝飯郡八幡村の中社(ナカブロ)もある。神の森のフロと浴場のフロは無関係ではなかろう・・・・。荒神の独占に任せて常人の侵入を厳禁していた点からこれをフロと名付けたので唯の樹林地ではなかった。西国の茂(シゲ)といい、東国の上げ山、入らず山など呼んだのも同じであろう」
  後半の文面はなんとも不可解なものだが、神社などの森、社がフロと呼ばれていることは事実のようである。このことは従前から知っていたのだが、一部地域の方言だと思い無視してきた。ところが今回の調査で神社と風呂地名が100%隣接、あるいは一致していることを考えると、ごく一般的な用語となるはずなのだが、国語辞典、古語辞典、地名辞典、方言辞典、民俗学辞典などあらゆる辞典には沐浴の風呂しか出てこない。
 「森の神の民俗誌」という森に関する書物に全国各地の森(信仰としての)が掲載されている。その中に前述の森以外に多くのフロと呼ばれる森が出てくる。どうやら神社などの神聖な森がフロと呼ばれるらしい。


 神社というのは元々は、現在のように社があり鳥居がありと言ったものでなく、神聖なる一本の樹木や何もない空間を樹木が取り囲んでいるような状態だった。久高島のフボー御嶽(ウタキ)を見たとき(男子は禁制となっている)原始信仰の様相を垣間見た気分になった。

Img_2831

フボー御嶽の入り口(ここから男子禁制)
それが森、杜、モイ、茂(シゲ)などである。元はそれをフロと呼んだのだろうが、やがて社ができ鳥居が立ち、それらを含めた神聖な神社の域そのものをもフロとよぶようになったのではないだろうか。ではなぜ風呂と呼ぶのだろうか、沐浴の風呂とはずいぶん違ったものなのだが。つづく

【今日のじょん】ニューモモが遊びに来た。誰もいないところで走り回れるのがいいみたい。じょんも出してくれいと言うのだが、出してやるとモモの運動量にはついて行けないみたい。


右の写真はブンナ

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