晴徨雨読

晴れた日は自転車で彷徨い、雨の日は本を読む。こんな旅をしたときに始めたブログです。

シデの山地名考(1) 6/28

2011-06-30 | 上林地名考

2011.6.28(火)晴

 今回の山行を終えて改めて「シデの思い出」(鳥垣自治会編)を読んでいる。実際に歩いた道をかつては村の人々が茅を背負って歩いたのかと思うと感慨深くなる。自分自身が茅かきをしているような感がしてくる。シデの山には興味深い地名がついており、一般的な山ならここまで細かく地名はつかないと思う。獅子鼻、シデなどは小字だが「シデの思い出」に出てくる地名は小字にもないいわゆる符丁のような地名である。それは単なる個人の山なら必要はないのだが、村中の共同作業で茅刈や山焼きをするためにはこういった地名が必要になってくるのだろう。
 一見暗号のような奇妙な地名に見えるが、実は判りやすい単純な呼び名なのだろうと思う。本来はその地を熟知していないと地名の判読はできないのだが、地図や思い出作文集などから想像して、地名解の提案をしてみたい。地元の方々のご意見を頂いて、より正確な地名の判読が出来たら幸いである。Img_3224

「シデの思い出」に記されたシデ山の地図。


 (1)おりと
降りてきたところ、降りてくるところという意味だろう。
 「と」というのは戸、渡、門、土、道などの漢字が当てられて多くの意味がある。おりと、やすみと、つんど、みと、とシデ山のほとんどの地名に「と」が付いているので詳しく検討してみたい。
 「と」の意味で最も多用されているのが、「土地や流域が門のように狭まっているところ」という意味である。瀬戸や水戸など著名な地名があるが、老富町の栃(とち)も門の地というふうに両脇が尾根で急に狭まったところという意味の地名ではないかと思っている。地形図を見れば歴然である。
 次によく使われるのが川や谷の徒渉地点に使われる「と」で渡(ど)などの文字で表せるばあいが多い。沢渡(さわんど)、土合(どあい)、船渡(ふなと)等。そして谷や川の合流点、二股を「と、ど」と呼ぶ。土合は実はこの意味かもしれない。
これ等の意味は実は元々同じ意味では無かろうかと考えている。つまり川などで地形的に狭まったところが徒渉点になり、二股のところは徒渉点となる可能性が大であるからだ。
 もう一つの大きな意味は場所を表す「と・処」である。愛知県の瀬戸市は海からかなり離れている。陶処(すえと)あるいは迫処(せと)などの意味があるのではといわれている。川の付近によく川戸、郷戸、ゴートという地名がある、これ等は「と」が場所を表すと見てよい。
 従って「おりと」は降りてくるところという意味だろう。Img_3175

おりとの滝、現在はえん堤の土砂が積もり往時の様子は分からない。道は滝の右側、左岸を降りてくるのだが、おりとはちょっとした広場になっていたのではと想像する。


(2)やすみと
 これもおりとと同様にやすむところと解釈して良いだろう。やすみとは単に休憩場所というだけでなく、往路では朝の腹ごしらえや作業の打ち合わせが行われたのだろうと想像する。茅を背負っての復路ではここで隊列を整えて危険箇所がつづく下り道にそなえたのだろう。谷の二股の島となったやすみとは格好の休憩場所であるとともに茅かき作業の拠点でもあっただろうと思う。当時の写真を見ると、休みとでの人々は男も女も本当に良い顔をしておられる。重労働と緊張からしばし解放される一服からあの笑顔が生まれるのだろう。やすみとという単純な地名がこれほど心をうつものはない、茅かきにかよった人たちもやすみとが一番心に残っているのではないだろうか。つづくImg_3186

やすみと、手前はもう少し広場が続いている。往時は周囲の木々もなく、開けた気持のいい場所である。



【作業日誌 6/28】
鳥害対策、テープ張り、ネット張り、センサライト
南京櫨植え替え
散髪

今日のじょん:なまずのおんがえし(前編)
連日猛暑が続きじょんの散歩もアスファルトはつらいだろうなと、堤防の地道を歩くことにしている。忠(ただ)に向かう堤防道の途中には大きな堰があり、その下には岩床が広がっている。実はここに80cmもあろうかというオオサンショウウオが棲息しているという噂がある。是非見てみたいものだとカメラをポケットに通っているわけだ。ところがじょんは河原に降りる斜面、じつはこれが突出した石で固めてあって特に嫌がるのだ。面倒なので堤防の柵につないで一人で降りている。つづく
Img_3145


堰の下の岩床の河原、このあたりに主のオオサンショウウオが棲んでいる。向こうは忠町。 

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