晴徨雨読

晴れた日は自転車で彷徨い、雨の日は本を読む。こんな旅をしたときに始めたブログです。

地名のこと(4) 2/1

2012-02-02 | 上林地名考

2012.2.1(水)曇

 地名語源辞典やそれに類する辞典をひいて地名が解明するもので無いことは以前にも書いたが、例えば現在考察中の大栗峠の大栗(おぐり)について見てみよう。
P1000388 大栗は大栗峠から志古田側の広い山林地帯をいう。



 クリ (1)岩礁。〔魹礁(トドグリ・鯖礁(~グリ)〕(2)クレ。〔久利・栗原〕(3)栗の木。〔栗林・栗山〕

 鏡味完二氏の「地名の語源」は辞書形式になっていて多くの地名研究者にも利用されている。以前に読んだ地名に関する書物の中でも”「地名の語源」による”と引用して、それで完結しているものがいくつもあった。読者としては何も理解できないのだ。それは語源となる意味、なぜそうなるのかということが書いてないからである。
国語辞典や英和辞典ならそこまででいいのだが、地名語源辞典はなぜそうなるかが解らないと意味がないのである。上記大栗について当てはめると、”大”は美称あるいは大きさを表す接頭語だろう。”栗”は栗の木としかならない。つまり辞書だけで見ると大栗は大きな栗のあるところという意味にしか取れない。地名、特に古い地名では植物や動物などの存在を表すことは少ない。ただ人間にとって親しい動植物は地名として付けられることが多い。しかしその意味するものはその動植物ではないのだ。例えば桜(さくら)は狭い谷間を表す。サは狭、クラは谷を表す。また動詞”裂く”に接尾語”
ら”をつけて崩壊地形をあらわしているものもある。ただ、新しい地名では桜の名所や分譲地の美称などあるので注意。
 辞書を見ても解決できないので様々な書物から引用する。結局大栗は”刳る”から来る崩壊地形、あるいはクリが石や岩を表すとして、大きな岩のあるところと考えた。次に現地を確認して、そこがどのようなところか見るわけだが、崩壊地形でもあり、大きな岩も特徴的に存在しているところだった。
 そして次に同じ地名のところが無いか調べるわけだが、それは近くから順次調べていく。地名には地域的なものと全国的に普遍的なものがある。上林の地名で今まで調べた中では、遊里(ゆり)は丹波地方が主で、引地(ひきぢ)は本州全域、念道(ねんどう)は和束町に一ヶ所あるだけだ。Img_3857 P1000929 P1000930 P1000932
 


 
 

 

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