自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

シロコブゾウムシの食欲

2020-06-25 | 昆虫

ゾウムシということばからは,硬い口吻を突き刺して果実から汁を吸い取ったり,実に穴を開けて卵を産み付けたりといったイメージが広がりがちです。じっさい,ビワやカリンの実の食害といったらとにかくスゴイですから。いったいどこからやって来て,どうしてそこまで害を与えるのかと腹立たしくなるばかりです。

その点,シロコブゾウムシはすくなくともニセアカシアにいる限り,どうということはありません。口は葉を食べるのにピッタリのかたちをしています。野生植物ならいくら食べても問題なし,というところです。

食欲ぶりも大したもの。まさに食餌中という場面を撮影したわけではありませんが,食痕を見ると,その旺盛ぶりが想像できるでしょう。

 

近くの葉は……。

 

底に落ちた葉は……。当たり前ながら糞もたくさん。

 

口もとを見ると,食べかすがちゃんと残っていました。緑の葉っぱを食べている証拠ですね。

 

もっと近づいて撮りました。被写界深度が浅くても,食べかすのかたちがわかります。

 

別個体の口もとです。食べかすはやっぱり緑。

 

生態に迫るとは生々しいいのちを丸ごと,そして具体的に理解することといえるでしょう。

 


初めまして,アカシジミ

2020-06-25 | 昆虫

朝,仕事場で掃除をしていると,見慣れないチョウが床にじっとしていました。なんだか寝ぼけているみたいな感じです。赤っぽいシジミチョウで,初めて見る姿なのです。

 

調べてみると,名はアカシジミとわかりました。翅を広げないので,これでは表側の様子はまったくわからないまま。やむなくちょっとだけ見せてもらいました。

 

アカシジミの生態を調べると,なかなか個性的で,気難しい感じのチョウのようです。たとえばこんなふうに。

  • 一化性で,5~6月に成虫出現。
  • クヌギ類が茂る雑木林でくらす。
  • 昼間は不活発で,夕方になると盛んに活動する。
  • 早朝以外はほとんど降りてこない。

そういえば,5~6月はクヌギのなかまが花を付ける季節です。木とチョウがぴったり共存している好例です。

 

よい出合いとなりました。 

 

 


(続) シロコブゾウムシの産付卵

2020-06-24 | 昆虫

シロコブゾウムシの孵化及び幼虫について,ネット検索してみると卵が数例ヒットするだけです。孵化と幼虫については皆無です。そのような特定昆虫にこだわって観察する人はないようです。

ということは,わたしの観察心には希少価値があるのかもしれません。そこから孵化が見えてきたら,なんとも愉快ではありませんか。人がしていないこと,研究者だけがしていることを自分がしているって,ほんとうにたのしい話です。

でも,卵は神秘です。いのちの原点です。そううまく期待どおりにこの目で観察できるか,自信はまったくありません。ないままに,観察の記録を残していきます。

白い塊の輪郭がぼんやりしてきました。そして,卵に窪みが現れています。

 

それから二日経ちました。やがて窪みが大きくなり,褐色を帯びたところが見えかけました。頭部が形成されているのでしょう。

 

左の3個を接近して写しました。白っぽいからだのようなものがUのかたちに見えています。からだが横たわって形成されるようです。

 

期待感が増してきました。

 


モンキチョウ,卵どっさり,孵化たっぷり(続々)

2020-06-24 | モンキチョウ

結局,モンキチョウの孵化が本番を迎え,わんさか続きました。同じ日に産み付けられたか,同一個体が産み付けたか,いずれかでしょう。観察には申し分のない機会に恵まれました。

そのうち,2例を画像でご紹介します。

前方向からの撮影がいちばん。頭をぐっと出しかけた瞬間です。

 

からだは筋肉のかたまりという感じ。

 

もう一つ。卵殻の内側に頭部が見えます。殻を開け始めたばかりの時に撮影しました。

 

やや向きを変えて正面方向から撮影しました。

 

出て来るときは口も目も見え,あとから見ても実感があります。

 

1mmの世界でこんな撮影が繰り返しできるなんて,なんだか贅沢な。そんな気持ちになって来ました。

 


シロコブゾウムシの産付卵

2020-06-23 | 昆虫

さて,数日経って葉を点検してみると,意外にもそれらしいものが見当たりません。もっともっと見てみると,一枚の葉の一部が折られたようにくっ付いたのがありました。恐る恐る開いてみると,アッター! 卵があったのです。それも5個!

 

長細くて,1mmといったところ。

 

シロコブゾウムシは葉に卵を産み付け,それを守るためにその部分だけ葉を折り曲げてくっ付けるのです。接着した跡形が見えます。

そうなると,今度はケースの底に落ちている葉が気になって来ました。調べると,何枚かは折り曲げられていました。

 

中には葉の裏側を折って産み付けた例も。

 

全部を確かめるのはやめ,もう一枚だけ開いてみました。これは6個入りでした。ところが,卵の様子が前のものとちがっていました。中央付近に白い塊ができています。発生がより進んでいるのです。

 

産付日にズレがあることを物語っています。拡大してみましょう。

 

こうなると,孵化と幼虫を見届けたくなってきました。

 

            (つづく)


セスジスズメ,カラスビシャクで孵化

2020-06-23 | 昆虫

セスジスズメの卵と幼虫があちこちで見つかる時期になりました。

畑で除草作業をしていると,カラスビシャクが葉を広げていました。裏返してみると,孵化間もない幼虫が何匹も。その中で,まだ孵化していない卵がありました。それらはきょうだい。ということは,その卵は孵化近しということです。

 

夜,それを観察していると,どうやら孵化が始まる様子。頭部の動きが激しくなるのでそれとわかります。口も開けたり閉めたり。

 

すぐに孵化が始まりました。

 

別の葉の卵はもうすこし時間がかかりそう。

 


夏! 虫の目写真シリーズ(4) ~続 ヤブキリ~

2020-06-22 | 昆虫

同じ日,日が昇ってからもう一度見に行くと,ヤブキリは同じ葉にいました。幸い表側だったので,「光をうまく利用すればよい構図がものにできるかもしれない」と思いました。それで,再び虫の目でとらえることに。

日差しは左からすこしばかり。昆虫は目がいのち。かろうじて複眼が写り込みました。

 

ゆっくり歩いて別の葉に移動しかけました。空の雲も入れなくては。

 

前脚を大きく伸ばしたときにシャッターを切りました。脚先はレンズに触れています。

 

動きのある構図がなんとか撮れたのではないでしょうか。ヤブキリに感謝。

 


ジャガイモ栽培記(9)

2020-06-22 | ジャガイモ

蕾にネットを被せた結果をお知らせします。繰り返しになりますが,この実験観察,虫媒花なら結実に昆虫がかかわっているはずで,ネットで覆えば昆虫が入れなくなるために実を結べないだろうという予想にもとづいています。

茎先に付いた蕾群に付けたネット数は27。隣人から「研究的栽培ですなあ」といわれましたが,そのとおりの光景だったかと思います。

 

そのうち,実が付いていたネットは一つ。ナット内には実が一つだけ生っていました。

 

ネットを取りながら「ほっ,ほーっ!」と思ったことがあります。それは中に昆虫が何種類か入っていたことです。ニジュウヤホシテントウやカメムシ,そしてある種の甲虫です。もしかすると,隙間から入った可能性があるかも。仮にそうであれ多くはないはず。それよりも初めから葉に卵が産み付けられていて,それらが孵化した可能性は十分考えられます。そんなことを思うと,観察実験の条件制御はむずかしいなあと感じます。

実が付いていたネットについては,そんなわけで,たまたま入り込んだ昆虫が花粉を持ち込んで受粉にかかわったのかもしれません。

全体の数量からいえば,27枚中26枚では未結実でしたから,やはりジャガイモの結実には目立たなくても虫たちが関係していると言い切ってもよいでしょう。

 

ジャガイモの花は近親交配を避けて他家受粉するのです。そして付け加えていえば,品種改良ではよけいな要因が入り込まないよう条件を厳密にコントロールしながら異品種の花粉を授粉させるはずです。

 


夏! 虫の目写真シリーズ(3) ~ヤブキリ~

2020-06-21 | 昆虫

日が昇る前,早朝の畑にて。

早起きをして,たまたま自宅脇にある畑に行きました。すると,ナスの葉に大きなヤブキリがとまってじっとしていました。もう成虫になっています。その見事な大きさと堂々としたスタイルに圧倒され,虫レンズで覗くことに。

 

 

 

 

 

葉には大きな糞がいくつかのっていました。落とし主はきっとこのヤブキリでしょう。ナスと同居するのもよし,ですね。

 

 


ジャガイモ栽培記(8)

2020-06-21 | ジャガイモ

この程,ジャガイモを収穫しました。収穫前に実の様子を撮影しましたので,ご紹介します。なお,はりまるは今年はなぜか花がまったく咲かないままに終わりました。開花・結実に関してはなかなか気難しい品種なのかもしれません。以下の写真はホッカイコガネだけです。

表面にある点模様はカメムシが吸汁した跡形です。ジャガイモの実はカメムシが大好きです。ヒトは一口食べただけで,吐き出してしまうのがふつうでしょう。有毒だという説がありますが,そうでもないとか。わたしは食べてみましたが,大丈夫でした。もう二度と口にする気にはなれませんが。

 

多くの実がカメムシの被害にあっています。

 

こんなふうに。

 

ミニトマトにそっくりの姿・かたちですが,生り方がまるで異なっています。

 

谷に倒れた茎先の実,離れ落ちた実。

 

今年の植え付け量は少なめでしたが,結構実が付きました。次回は蕾にネットを被せた結果をお知らせします。