自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

地域ミュージアムで考える(13)

2016-05-23 | 随想

 一組のご夫婦が,ジャガイモの種子栽培について紹介する展示コーナーで興味深そうに立ち止まっていらっしゃいました。

できればなにかひとこと解説できればと思い,近づいて声をかけました。すると,びっくり。どんどん質問をされるのです。

「ジャガイモの花のあとに,実ができるのですか」

「こんなにたくさん,実ができるのですか」

「どんな種類のジャガイモにもできるのですか」

「ジャガイモって,このように種から育てるのですか」

「種から育てると,ちゃんとイモができるのですか」

「店へ種を買いに行くと,手に入るのですか」

「種を植えるのと,イモを植えるのとでは,どんな違いがあるのですか」

「……」

と,こんな具合に。

わたしは一つひとつに納得していただけるよう解説していきました。そうして,展示している株をプレゼントすることにしました。その根元,地表には塊茎が剥き出し状態になって太っているのが観察できます。解説だけにとどめていては,ふしぎを深く感じておられるご夫婦の好奇心は満たされないでしょう。お聞きすると,奈良県からはるばる来館されたとのこと。

再来館される機会はなかなかないと思われます。「それなら! 展示用にはまた別の株を持ち込めば済む話」と判断したのです。


その後,栽培の話になりました。もちろん,注意事項についてどんどんお尋ねになるものですから,案内役の務めとしてわかっていただけるまで説明していきました。様子は終始とても興味深そうなのです。結局,別のプレゼント用の株も付けてお渡しすることに。

ミュージアムは経緯度上の特定地点に位置します。PRとして掲げているポイントについて解説すると,さっそく山を登って行かれました。そこは数十m離れた山腹にあります。

戻って来られて,「すてきな眺めでした。今日は来てほんとうによかったです」と,ひとことおっしゃいました。当たり前のことなのですが,おもてなしのこころを持って,丁寧に接するのがわたしたちスタッフの心得です。いつも一期一会をこころに,です。もうひとこと。地方の小さなミュージアムゆえにできるふれ合いなのです。

 


ツマグロヒョウモン,卵から孵化へ(3)

2016-05-23 | ツマグロヒョウモン

またまたまた肩透かしー!

過日確認していた卵が順調に変化をしているので,孵化をたのしみにしていました。卵を産付されたスミレは,我が家の庭に生えているもの。砂利の間から出て来ているので,とても観察しやすくって,わくわく感が膨らんでいたのでした。

5月22日(日)。朝見ると,上部が褐色がかっていてかなり近いうちに孵化を迎えそう。

5月23日(月)。午前6時前に見ると,孵化がそこまで近づいている様子。この日は仕事が休み。油断せずに観察を続ければ,孵化を激写できることはほぼ間違いありません。それで,この時点で撮影。

 


それから2時間後。「あれーっ!!」。溜息のような落胆が,そして悲鳴のような声が,からだじゅうを駆け抜けました。抜け殻があって,すでに多少なりとも食べられた形跡が残っているだけ。あらあら,ふしぎ! 幼虫は見当たりません。なんと,なんと,こんなふうに見逃してしまうとは!

 


それにしても,2時間の間にこんなにまで変化するとは今も信じられません。

二度あることは三度ある,そう思って諦めるほかありませんが,いのちの変化を見届けるのはほんとうにむずかしいものです。事例ごとの変化というものがあるので,タイミングがわからないのです。生きていることの複雑さ,スゴさが垣間見えます。次回のチャンスに望みを託しましょう。