自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

野生メダカ捕りで感じた環境変化

2016-05-20 | 生物

ミュージアムのコーナーに郷土の淡水魚を飼育展示しています。人気があって,餌やり体験を子どもたちにしてもらっているほどです。

その水槽でメダカを飼っているのですが,産卵期を迎えたにもかかわらず,オスが数匹,メスが1匹という有様です。これでは殖やすことができません。それで飼育担当者が悩みを抱えていました。というのは,メダカがほしくっても野生のメダカはほとんど見かけなくなっており,近くで簡単に捕獲できるポイントがないからです。

相談を受けて「じゃ,探してみるか」と伝えたものの,すぐになんとかできるといった話でもありません。

後日,わたしの知る穴場にで出かけてみました。そこはミュージアムからかなり離れたところです。

結局そこでほしいだけの数を捕ることはできましたが,そこもまたあちこちの自然と同様これまでの環境とはずいぶん違ってきていました。それに見合うかのように,メダカが激減していたのです。


かつては水草が浮いているといったのどかな湿地・田園地帯だったところが,キショウブが生い茂る風景に変わり果てていました。水質成分が変わって,窒素分が着実に増えているのでしょうか。ビニルまでもが浮いていて。なんだか水の濁り具合が気になりました。田植えの終わった水面を照り付ける日差し,苗をなでて吹き渡る緑風だけが昔のままでしょうか。


環境の変化は,メダカを生物指標にするだけでも歴然としていました。さらに,以前はカワセミが棲息していたのに,今回姿を見かけることができませんでした。

ミュージアムの水槽にはなんとか必要な数を補充できるものの,自然環境を思いつつ複雑な気持ちで帰路についた次第です。