全国学力テスト実施の功罪は別にして,これまでの経過が教育現場を刺激したようで,多少は点数が高くなったと報じられました。その中で,思考力の育成が依然課題として挙げられているとか。都道府県単位で相当な対策が講じられてきたそうで,進学塾に教員を派遣して研修を受けさせるなんて妙な手も現れています。なんだか,現場への手っ取り早い渇入れ,安易な後追いのような。なんだか,ちぐはぐしているような。なんだか,テスト対策一点ばりのような。そして,なんだか対症療法のような。
わたしの知るある市の結果の場合,まったく芳しくなかったという声が届きました。これでまた,教育現場が尻を叩かれるようでお気の毒な限りです。
ところで,どう特訓しようと,現状ではまず月並み以上にはいかないだろうというのがわたしの実感です。思考力を鍛える学習方法に馴染んでいない子に,伝統的な教え方を繰り返していても本質的な解決には至らないでしょう。思考力をどう分析把握していて,どう発展させていくのか,その道筋が見えてこないのです。道筋が見えないと,手入れのしようがありません。なのに基礎基本が大事だとばかりに,相変わらずドリルを反復するような手が改善の柱では,心もとないですね。
子どもが学習者であり,学習の主役であることにこだわる芯のある授業を見ることは,稀です。わたしの知る範囲で,「この方は大したもの。授業の本質をつかもうと苦闘していらっしゃる」と感じる指導者はそう多くはありません。
(つづく)
(付記) 写真は本文とは関係ありません。