自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

カタバミの種子散布戦略

2013-09-25 | 植物

ヤマトシジミの幼虫の食草はカタバミです。カタバミをポット植えして,そこに幼虫をおき,観察しています。つい最近,カタバミの実のことで思いがけないことを発見しました。

これまで気づかず,ずいぶんあいまいな観察眼だったなと反省しています。

というのは,実の中の種子は熟すと勢いよく弾けて遠くに飛ぶことは十分わかっていたにもかかわらず,種子の特徴がまるでわかっていなかったことによります。じつは,機械的に弾けて散布するだけの戦略をとっているだけでなく,種子にエライソームを付けて,アリにも運ばせる策を講じているらしいのです。それを知り,「ほほう!」の気持ちです。

この戦略によって,最大1m程に飛んだ種は,さらに遠くに運ばれていくことになります。

ルーペで実を見ていて,種の周りに白い固形物が付着しているので,気になりました。どの種子にも付いています。「もしかするとエライオソーム成分かもしれない」と直感して調べました。すると,たしかにエライオソームとのこと。この成分は,カタクリ,スミレ,ホトケノザでよく知られています。

そこにあります。

ここにもあります。

 

トリミングして,種の姿を見ましょう。種子の長さは0.95mm。種皮の突起模様に特徴がありそうです。

アリの前に置くと,もちろん関心を示すでしょう。しかし,こんな小さな種子では,わたしにはちょっと実験ができそうにありません。

それはともかくとして,ヤマトシジミの幼虫は,こんなおまけ話をわたしにプレゼントしてくれたのです。