虎尾の会

幕末の草莽の志士清河八郎の会の名を盗用しています。主人は猫の尾も踏めません。

入手 「大地動くー蘇る農魂」 ワッパ騒動の本

2010-10-26 | 一揆
ワッパ騒動義民顕彰会編の「大地動くー蘇る農魂」(東北出版企画)が、ついに送られてきた。
大判で315ページ。すばらしい本が誕生した。

なによりも新刊で一揆・騒動の本が出ることがすごいことだ。一揆・農民騒動の本といえば、古本でしか入手できず、それも3,40年前のものばかりだけど、この2010年の今、新しく出版できたのだ。庄内はどうなってるのだ?と思うほどだ(笑)。

内容もいい。今まで、一揆の本というと、研究者・学者の読みにくい内容で、一般の読書人を対象に入れてないのではないかと思われるものが少なくなかったが、これはちがう。研究者、学者のわかりやすい解説ももちろんあるが、それだけでなく、ワッパ騒動顕彰会の会のニュース、新聞等で報道された記事、講演会の内容、小学生の自由研究、地元の人の思いなど、ここには「ワッパ騒動」のすべてが集められている。ワッパ騒動への地元の人たちの熱い息吹が伝わってくる。多くの人たちによって作られた本だ。

15ページほどのカラー口絵は顕彰碑建立のようすや、ワッパ騒動の史料・史蹟などの写真もある。騒動のリーダーだった森藤右衛問が元老院に建白する時、大塩平八郎の晒し首の絵を床の間に飾って水盃をかわしたそうだが、その晒し首の絵も出ていた。

わたしが、ワッパ騒動に関心をもったのは、明治の初期のころの農民騒動であること(まだ西郷もいたころだ)、判決に関わったのが宇和島の児島惟謙だったことだ。

本では、ワッパ騒動は「日本で一番長い農民運動です」(日塔哲之)と書かれてあるが、ほんとうは一番長い農民運動は、このブログでも書いてきたけど、南予の「無役地闘争」だ。
しかし、「無役地裁判」はワッパ騒動を裁いた児島惟謙によって抑えつけられることになる。

庄内では長く「ワッパ騒動」について語ることはタブーになっていたようだ。騒動のリーダーは一部の不平分子が扇動したもので、無知な農民が付和雷同したものだ、とか、義民のことを大泥棒と決めつけられていたそうだが、それは、無役地闘争、いや、他の多くの一揆・騒動でも同じかもしれない。

その長い長い間の偏見を打破し、庄内の義民は今、やっと立ち上がることができた。記念すべき本の出版だ。関心のある方は「ワッパ騒動義民顕彰会」まで。

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2 コメント

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ワッパ騒動記念誌 (星野正紘)
2010-10-30 09:08:03
「大地動く」の過分のご紹介、有難うございます。義民・891人の中には、現役・鶴岡市長榎本政規さん、市議会議長川村正志さんの先祖も含んでいますし、みなさん御存じの横綱柏戸の先祖もそうです。鶴岡の認識を深めていただくため、昨日、西村山形県知事にも贈呈してきました。藤沢周平氏の先祖は、騒動激化の中心のひつと高坂村の出身で、先祖は確実に蜂起した農民に入っていたのですが、「ワッパ」の「ワ」の字も活字に残していません。時代作家の周平氏が知らないはずはなかったのです。日本の中で江戸時代の旧領主家がそのまま残っているただ一ヶ所のこの庄内は、今でも酒井家の当主を「殿様」と言っています。周平氏もそれに対する遠慮があったと十分考えられます。ぜひこの本は、全国の多くの方々に読んで欲しいと念願しています。「顕彰会」のHPにもご投稿、よろしくお願いいたします。星野拝
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Unknown (荘太郎)
2010-10-30 17:33:39
コメントありがとうございます。

柏戸や藤沢周平の先祖も運動に参加していた、とは親近感がわきます。

清河八郎の生家、清川村や実家の斉藤家はどうだったのでしょうね。庄内の天保義民は有名ですが、平成の時代に庄内はまた「ワッパ義民」を世に出すなんてすごいです。

山形県以外の全国の書店にも本は並べられているのですか?どのくらいの部数を出されているのでしょう。ほんとに、全国の人に読まれてほしいと思います。各地で、一揆や義民を掘り起こしている人たちへの大きな励ましになります。

新しく、騒動に関わった農民の日記が発見されたそうで、これも出版して公開していただけることを楽しみに待っています。
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