虎尾の会

幕末の草莽の志士清河八郎の会の名を盗用しています。主人は猫の尾も踏めません。

古本 百姓一揆

2010-08-22 | 一揆
うしおに堂の一つの売りが、「一揆もの」だけど、当初は100点近くあったのだが、現在は70点だいにへってしまった。「一揆」の本ばかりは、ブックオフでも古本市でも見つからない。
売れてしまうと、同額かそれ以上の値段でまた古本屋さんから仕入れるしかない。だから、つい高めに価格設定をすることになる。入手が困難なのだ。だいたい、当初から発行部数はわずかで、しかも地方の小出版社が多く、もちろん、求める人もなく、古くなると、ゴミといっっしょにこの世から消えてしまうことも多いのかもしれない。絶滅寸前の本だ。

最近、この入手困難な一揆本をあたらしく手に入れた。

大正15年出版の「戯曲 百姓一揆」 作者は高橋季暉。出版社は昭文堂。1円60銭。
大正15年といえば、公務員の初任給が75円。うな重50銭、ビール42銭。

内容は、文政時代に起きた丹後の大一揆だ。この一揆は、実に波乱に満ちた大ドラマで、丹後史では無視することのできない事件だ。といっても、丹後の人たちのどれだけがこの物語を知っているかわからない。天橋立に向かう途中に大きな義民碑が立っているけど。

戯曲だが、頭取になった水呑百姓新次郎、武芸の達人で一揆に加勢する豪傑神官のほか、家老栗原理右衛門、その息子百助、藩士関川権兵衛など一揆に同情的な武士も登場し、史実、史料をもとに書いている(詳しくは、「徳川百姓一揆叢談」に書かれてある)。

作者はどんな人だろうとネットを使って調べたが、「生年不詳、没年不詳」とあるのみ。さっぱりわからない。ただ、本の扉に「此の一篇を房総半島の一寒村に水呑百姓として一生を終わった亡父正司の霊にささぐ」と書いてあった。

この本には他に短い戯曲ふたつあり、ひとつは(「移住民」)、北海道十勝の開墾場に移住した農民、もうひとつは(「坑夫の歌」)、関東の鉱山で坑内で働く人を主題にしている。

高橋季暉がどんな人でどのように生きた人なのか、なんとなく想像できるようだ。
こうした名もなき人が書き残した一揆の本、ゴミにしてしまってはいけないですね。
一揆の本、なにかあったら、連絡ください。こちら、一揆探索事務所でした(笑)


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