らんかみち

童話から老話まで

ぼたん鍋とヌーボー

2011年11月21日 | 酒、食
「ハンターさん、猟果はいかがでした」と、昨日の猪猟について聞いたところ、やっぱりうちの村の小山には住んでいなかったそうです。隣村の山はずっと深いのと、シダが群生しているから猪が住みやすいのだとか。

 というわけで隣村の山に場所を移して狩猟をはじめたところ、猟犬が猪を見つけて戦いを挑んだらしく、猪のキバで犬はお腹を切り裂かれたんだそうです。
「すぐに応急処置をして動物病院に運んだわい。内臓も出とったけん全身麻酔で手術じゃが」。

 手術は成功したそうですが、一度猪にやられた猟犬はトラウマが出るってことはないんでしょうか。猪を前にして足がすくんで動けないなんてことはないのでしょうか。
「腹を切られながらも猪に襲いかかって行くんほど獰猛な犬じゃが」
 なるほど、猟犬とはそういう犬種なんですね。



 そんなこんなでハンターさんは猪の肉を5㎏ほどくれました。
「あんたのことじゃけん、ぼたん鍋の秘伝のレシピを教えてあげよわい、他言は無用ぞ」ということなので、ここに公開することにしました。
 まず鍋に出汁を大さじ二杯、白味噌6に赤味噌を4。それを酒で溶いて入れる。冬野菜から水分が出るので濃いめに味を付ける、とのことです。

 白味噌は西京味噌みたいなものだとして、赤味噌ってなんだろう。八丁味噌のことかと聞いたんですが、どうも違うようです。麦味噌だって赤いのはあるし、米味噌と豆味噌も赤と呼んで良いはず。それとも郡上味噌のような独特な味噌を指しておっしゃったのでしょうか。それが分からない限り、やっぱり秘伝なんじゃがぁ!

 普通の米味噌でぼたん鍋を作ってみましたが、猪肉が上品すぎる。濃厚な味噌の味に肉が負けてしまったんです。写真の倍の量は入れないと野趣は堪能できませんね。残しておいた肉を塩胡椒して焼いてみたところ、ボージョレー・ヌーボーの荒々しさとピッタリでした。