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■上ノ大作展 -private pieceー (2018年10月3~14日、札幌)

2018年10月16日 21時00分11秒 | 展覧会の紹介-現代美術
 北広島の上ノさんは陶芸家だが、やきもの以外の発表をしているほうが多いような気がする。
 木を使ったり、竹を組み合わせたり、素材にこだわらない人なのだ。

 今回のインスタレーションは、昨年の道銀本店らいらっく・ぎゃらりいでの個展と同様、竹ひごで制作した。
 竹ひごは約1500本。すだれとして売られているものを、ほぐしたのだそうだ。



 これを会期前半の6日間をかけて、会場いっぱいに組み上げた。
 茶廊法邑の端から端までという巨大さ。
 スケール感で、見る人を圧倒する。

 数学にくわしい人なら「非ユークリッド幾何学」とかナントカ曲面などという言葉が出てくるのだろうし、ワームホールとかメビウスの輪なども思い出す。
 ところどころで会場を引き締めている8個の四角形は、フェンスなどに使われる金網かと思いきや、これは、木枠を自作して白く塗り、竹ひごを組み合わせたもの。

 この枠内で金網のように直線で規則的に交差していた竹ひごは、奥に進むにつれて曲線となり、のたうつ龍の胴体のような形で、会場内をうねる。


 龍の胴体は、太くなったり細くなったり、二筋に分かれたりふたたび合流したり。

 天井からつり下がった電球が5個。
 それが影を作り出し、周囲の壁に映って、空間がますます複雑になる。

「昭和のSFみたいでしょ」
と上ノさんは笑う。
「内側の空間には気を遣いました」

 上ノさんは、今年に入ってから、帯広の美術作家たちとともに米シカゴに滞在し、似た方法論でインスタレーションを制作した。
 これは現地の人々を驚かせ、当初は展示期間が終われば撤去するはずだったが、いま保存に向けて検討しているという。

 今回の作品は、いくつかの部分を「あかり」として再利用する予定だが、やはり取り壊すという。
 もったいない話だが、いつまでも茶廊法邑の空間を占拠するわけにもいくまい。

 技倆やコンセプトも人の心をとらえるが、スケールも人を感動させるに足る要素であることを、あらためて認識させられた個展だった(もちろん、それだけではないのだが)。



2018年10月3日(水)~14日(日)午前10時~午後6時、うち10日までは公開制作
茶廊法邑 (札幌市東区本町1の1)


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