北海道美術ネット別館

アート、写真、書など展覧会の情報や紹介、批評、日記etc。毎日更新しています

砂澤ビッキ「北の動物たち」(北見市常呂町)

2020年11月06日 08時30分11秒 | 街角と道端のアート
(承前)

 砂澤ビッキの木彫が北見市常呂町土佐2の北見市常呂町多目的研修センターにあることを、北見ブックレット「北見の彫刻・彫像MAP」で知ってから1年半余り。
 これまで同センターを2度訪れたがいずれも閉館中。3度目の正直で、ようやく見ることができました。

 1階ロビーにあります。

 全体で大小九つの部材が配置されています。
「動物たち」という題がついていますが、具体的な動物のかたちをしているわけではなく、抽象作品であるともいえます。

 三つの平たい流氷にのったアザラシやキツネ、オジロワシなどの動物を想像するのは楽しいですが、そのあたりは鑑賞者の自由に任されているのでしょう。


 作者の砂澤ビッキについては、これまで多くの文章が書かれ、本が出され、展覧会も開かれてきました。
 アイヌ民族でありながら、伝統的なアイヌ文化の枠や北海道という枠にとどまらない広がりをもった作品を数多く手がけてきた彫刻家で、歿後も評価の声は高まっています。
 ここで、あらためて説明する必要の無い存在だといえましょう。

 ただ、この「北の動物たち」は、これほど大きな作品であるにもかかわらず、少なくとも筆者の知りうる限りでは、言及した文献を読んだ記憶がほとんどありません。
 北見市外の展覧会に運び出されて多くの人の目にとまったこともないのでは、と思います。

 数少ない例外は昨年11月23日、北海道新聞オホーツク面の不定期連載「アート de さんぽ」でこの作品が取り上げられて、次のように書かれていることです。

中でも「北の動物たち」は、幅約5.5メートル、奥行き約2.5メートル、高さ約1.8メートルと存在感がある。これらの作品はビッキの死後、常呂でアイヌ考古学を研究していた東大名誉教授の宇田川洋さんを経て、研修センターで保管・展示されてきた。


 1994年10月30日の北海道新聞道北面には、11月から常呂町でビッキの彫刻展が開かれ、引き続き常設展示されるという記事も載っていますので、持ち込まれたのはこのときだと思われます。

 なにかご存じの方はご教示願います。


 なお、向かって右側には説明板があり、総ルビの短いテキストがついています。
 書いた人の名は「河野本道」とあります。

 なぜこの人が…という話は筆者の手に余る話題ですので、ここでは書きませんが、ただ、ご自身の肩書も作品の制作年もないのは、いささか残念です。

 文中に「絵画」とありますが、常呂町のどこかに絵画も保管されているのでしょうか。
 このロビーには何枚もの油絵が掛けられていましたが、ビッキのものではありません。


 この記事最後の1枚は、吹き抜けになっている2階からロビーを見下ろして撮りました。

 暖かい地方にお住まいの方は、窓の外に見える3個の白い物体が何なのか気になるかもしれませんが、あれは灯油タンクです。道内の多くの建物に備えられています。

 なぜ、筆者は2階に上がったのか。

 それは次項で説明します。



過去の関連記事へのリンク
山川草木 美は自然に宿る(2020。「風」の画像あり)
砂澤ビッキの詩と本棚 (2020)

近美コレクション 北の美術家群像 (2018)
砂澤ビッキ展 木魂(こだま)を彫る (2017)

中原悌二郎記念旭川彫刻美術館ステーションギャラリーがオープン(2012)=「カムイミンダラ」を常設展示
森と芸術 (2011)※画像なし
砂澤ビッキ「四つの風」(札幌芸術の森野外美術館)の2本目も倒壊 ※画像なし

砂澤ビッキ「四つの風」の1本が倒れる 遺志尊重し修復せず-札幌芸術の森野外美術館 (2010)

砂澤ビッキ展 樹兜虫の世界 (2009年2月)※画像なし
砂澤ビッキ展(2008年)※画像なし
エコミュージアムおさしまセンター(BIKKYアトリエ3モア)=「オトイネップタワー」の画像あり
砂澤ビッキ作品、旭川市に寄贈(2007年)※画像なし

「四つの風」 (2006現在の画像)

「四つの風」をあしらった札幌市交通局のウィズユーカード (2002.ページ最下段)




網走バス北海道北見バス「常呂バスターミナル」から約1.2キロ、徒歩15分。
(網走駅から乗車45分、北見バスターミナルから乗車1時間12分。いずれも本数が少ないです)

駐車場あり



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。