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■砂澤ビッキ展 (9月28日まで)

2008年09月27日 13時52分24秒 | 展覧会の紹介-彫刻、立体
(日本語は、英文要約の後にあります)

Sunazawa Bikky Exhibition
Asahikawa city scluputure museum

Sunazawa Bikky was sculutor.He was born in Asahikawa.He was Ainu,race lived from very old age in Hokkaido before Japanese came.
His sculupture is not only getting from Ainu's traditional art,but also modernity.

Asahikawa city got his piece "Kamuimindara",Ainu called Taisetsu Mts.so.
"Kamuimindara" is wooden sculupture.It is a figurative,and I had an impression from beatiful fish or bird.Maybe,it is wind crossing over Taisetu Mts.

This exhibition have 15 works.one wooden print and fourteen figures.


 旭川生まれの、アイヌ民族の彫刻家砂澤ビッキが、旭岳温泉「こまくさ荘」という保養施設のロビーのために制作した木彫の大作「カムイミンダラ」。
 この作品が、同館の所蔵となったのを機にひらかれた展覧会です。
 周囲の評判がずいぶん良かったので、終了ぎりぎりにやってきました。
 展示数はわずか15点ですが、これまでのビッキの展覧会ではあまり見たことのない作品ばかりで、見ごたえがありました。

 すごいのは、やはり「カムイミンダラ」です。
 すごい、といっても、「四つの風」などの堂々たるすごさとはちょっと違い、ビッキ作品としては非常に軽快で、さわやかな感じがします。
 抽象なのですが、形状は左を向いた魚か鳥のよう。あるいは、春風かもしれません。三角形が3つ、4つと重なり、躍動感があります。

 ご存知のように、カムイミンダラとは、大雪山をアイヌ語でいったときの名で、「神々が遊ぶ庭」という意味です。
 大雪山という特定の山があるのではなく、旭岳や黒岳など、北海道の真ん中にある高い山の総称です。

 この作品を作ったセンの木で、「樹蝶」「樹鮭」という作品も制作し、やはり「こまくさ荘」に飾ってあったそうです。
 いずれも、表面にびっしり独特の文様が刻まれています。
 「樹蝶」のほうは、左と右で羽の大きさがわずかに違いますが、ほぼ左右対称です。手前と奥に羽があるのが、自然界のチョウと異なっていますが、おもしろい造形です。この羽、どうやらちょうつがい形式で、動くようですが…。
 「樹鮭」はオスです。
 同系統の作品として「木海老」というものもありました。やはり表面はびっしりと文様が覆っています。
 長い2本の触角は、なんと9つの部材を継ぎ合わせて作られています。

 これらの作品はたぶんに「工芸的」です。
 かつては、「純粋芸術」がいちばんえらいとされていましたので、絵画や彫刻を 評するとき「工芸的」というのは、ともすれば悪口でした。しかし、モダニズムの時代がおわったいま、工芸的であることは、なんら否定的に評価することではないと思います。
 ビッキの作品には、その手のジャンルわけにとらわれない、もって生まれた強さがあるわけですし。
 
 通路に置かれた「TOH」も迫力があります。
 というか、こういう垂直に立っているビッキ作品を見ると、わたしはなんだか
「やあ、こんちは」
と話しかけたくなるのです。
 もちろん彫刻作品が返事をしてくれるはずはありませんが、それでも、沈黙の対話は、なぜだか心を豊かにしてくれるような気がするのです。  

 
 作品は次のとおり。
 「カムイミンダラ」「樹蝶」「樹鮭」以外は個人蔵。

1 樹華  1983年以降 ヤナギ 198.5×129×136
2 TOH   1985年 ナラ 280×60×60
3 カムイミンダラ 1977年 セン 116×338×69
4 動物6 捕獲された動物 1960年 アカマツ 57×237×47
5 木面  1975年以降  木 34×20×16
6 テンタクル 1977年 クルミ、カツラ 146×22×8
7 季面  1975年以降 木 32×80×14
8 樹蝶  1977年 セン 86×120×18
9 樹鮭  1977年 セン 174×71×17
10 木海老 1976年 クルミ、オイルステン、顔料 82×40×7
11 神の舌 1988年 木  108×26×39
12 テーブル、丸椅子、版木机、習作、未完小品、パーツ等 制作年不詳
13 変貌  1979年 木版画 54×41(これが掲載された朝日新聞が資料として展示されていました)
14 無題(未完) 1984年 マツ 216×54.5×51
15 無題(未完) 1984年 マツ 右271×41×43 左222×46×48


2008年6月28日-9月28日(日)9:00-17:00
中原悌二郎記念旭川市彫刻美術館(旭川市春光5の7)


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2 コメント

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ビッキ展を! (ヒラツカ)
2008-10-28 12:14:29
ビッキ没後20周年回顧展を是非開催してもらいたいですね。ビッキはイマジネーションを刺激する数少ない稀有な彫刻家です。ビッキゆかりの神奈川で開催してくれればうれしいのですが・・・
Unknown (ねむいヤナイ@北海道美術ネット)
2008-10-28 22:45:07
ヒラツカさんはじめまして!
道外の方でしょうか。道外でも砂澤ビッキが今も記憶されているのは、北海道民としてうれしい限りです。

なかなか道外ではビッキの作品を目にする機会がないかもしれませんが、ぜひ一度、音威子府村筬島を訪問なさることを、おすすめします。
かなり不便な場所ですが、ビッキの息吹みたいなものを感じることのできる稀有なところです。

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