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藤田嗣治の絵画購入断念について

2010年02月11日 21時47分29秒 | 新聞などのニュースから
 この話題は夕べ書こうと思っているうちに、実際の話のほうがどんどん進んでしまいました。
 結局、購入しないのね…。


1.断念までのいきさつ



 2010年2月11日の北海道新聞社会面(第2社会面)から。

 道教委は10日、新年度に予定していた世界的画家藤田嗣治つぐはる(1886~1968年)の油彩画(約6千万円)の購入を断念した。道の財政難から高橋はるみ知事が9日の記者会見で難色を示したことを受けての方針転換。知事には事前に購入方針は伝えられていなかった。

 道教委は10日の教育委員会会議で購入断念を報告、担当の生涯学習推進局は「絵の価格や緊急性、道民感情を配慮した」と説明している。知事への事前説明を行わなかったのは、購入費用は議会の議決が必要な一般会計から支出せず、美術品取得目的の基金(残高3億6千万円)を充てる予定だったためという。

 購入予定だった油彩画は1925年制作の「糸を紡ぐ女と少女」。道教委は評価の高い時期の作品の割には価格が安いと判断、「財政難でも道民に作品を見せる文化的な意義は大きい」と強調していた。これに対し、高橋知事は9日の会見で「ほかにやるべきことが多いのではという道民感情がある。時期的にどうか」と苦言を呈していた。


 この前日の紙面で、高橋知事が記者会見で、購入に苦言を呈した-という記事が出ていました。
 しかし、朝日新聞北海道版の2月10日の記事では、一歩踏み込んで、購入が困難な状況になったことにも触れていました。
 以下、引用します。

 道教育委員会が約6千万円で油彩画の購入を検討していることに対して、高橋はるみ知事は9日、「(財政難でもあり)時期的にどうかなと思う」と述べ、絵画の購入に疑問を投げかけた。これを受け、道教委は「知事の発言も踏まえて検討することになる」とし、再検討する意向を示した。今後、道との協議が必要となるため、購入は難しい状況になった。

 道教委が購入を検討しているのは、画家藤田嗣治(1886~1968)が、1925年に制作した「糸を紡ぐ女と少女」(縦1.4メートル、横1.1メートル)。藤田は、20世紀初めにパリで活躍した「エコール・ド・パリ(パリ派)」を代表する画家の一人として知られる。

 道教委によると、「エコール・ド・パリ」の作品をコレクションの柱に据え、2008年に藤田の展覧会を開催した実績もある道立近代美術館(札幌市)に、道外の画廊から働きかけがあったという。(以下略)


 う~む。朝日も読むとわかりやすくなりますなあ。
 ちなみに、読売や毎日の10日の紙面には、この話題の記事は出ていません。


2.絵を税金で買うのは悪いことか



 まあ、高橋はるみ知事がヘソ曲げるのも分かるんですけどね。

 わたしの経験だと、人(社会人)がいちばん立腹するのは
「あたしゃ、聞いてないよ~!」
っていうときです。

 それはさておき…。

 知事の念頭には
「こんなに道財政がピンチのときに、高額の絵なんて買うとは…」
という思いがあったんでしょうね。
 それはわかります。
 同感の意を抱く人も多いことでしょう。

 でも、美術品の購入って、ただお金を費消するだけじゃないです。

 たとえば、青森県は美術館新設のためにシャガールの大作を、億単位の金を払って買いましたが、これを見るために青森まで旅行してくる人もいるはずです。
 そういう人はかならず青森にお金を落としていきますから、話題を呼ぶような美術品やイベントは、経済効果を伴うものなのです。
 もちろん、経済効果のために美術-というのは、原因と結果がさかさまになっていますし、「元を取る」のはなかなか容易なことではないでしょう。

 それでも、美術品を買うのは、支出だけじゃないのです。


(長くなってきたので以下別項)


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