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■RIMSE ーASUKA ISHII & MAKIKO GOTO Exhibition(10月1日~11月28日、オホーツク管内斜里町 / 2021年10月10日その11

2021年11月09日 07時11分42秒 | 展覧会の紹介-複数ジャンル
(承前)

 知床を拠点にしている石井明日香さんと、かつて根室管内羅臼町に住んでいたことのあるごとうまきこさんが、2年ぶりとなる2人展を開いていました。
 プロのイラストレーター・絵本作家らしく、充実した展示になっています。

 
 ごとうさんの絵は、明快な色彩による愛らしい造形が目を引きます。

 手前は「知床オータムフェス メインビジュアル」。

 その次は「星空キャンプ」で、ごとうさんのツイッターの表紙にも用いられています。
 シカやキツネ、ウサギといった動物たちと、人間たちがひとつのたき火を囲んで、雪が積もった野でひと晩を過ごすという、美しくも幻想的な情景です。
 寒いのに、ほのぼのと心があたたまる場面です。
 星空には、右から左へとかけていく動物たちの星座がいくつも描かれていますが、モモンガ座なんてないし、馬(実際にはペガサス)、クマ(実際にはおおぐま、こぐま)の星の排列も、現実の星座とは違うんですよね。でも、それがむしろいい味になっていると思います。

 
 壁の奥のほうには、絵本「たんぽぽのわたげ どうしてとぶの?」や「知床、らうす 海のハンドブック」表紙の原画が展示されています。

 鳥や魚が自由に空間を行き来するところ、それが知床だなあという感慨を抱かせる一枚です。


 さて、石井さんは、漫画の原画にとどまらず、冒頭画像のように、天井にクジラの絵をかけわたしたり、表面に絵を描いて装飾したトンコリを出品したり、幅の広さがすごいです。
 トンコリは旭川で木工を手がける丹野則雄さんからの提案だそうですが
「なんかいま話題だし、カッコイイからやってみるか~」
ではなく、アイヌ文化への敬意が伝わってくる展示で、好感が持てました(ちなみに、展覧会タイトルの「リムセ」はアイヌ民族舞踊のひとつを意味します)。

 
 「冬守」=左=や「夜の番人」=右=といった絵は、森の中で馬を駆る人物が、ダイナミックに描かれています。
 知床の森の深さが、じわじわと見る人の胸で広がってくるようです。

 ほかに「季をゆく」「さあ出番だ」「闇夜の番人」など。

 何よりびっくりしたのが次の作品。

 なんと、流木に電熱ペンで絵を描いているのです。

 素材が流木という立体は珍しくありませんが、これを支持体にして絵を制作している人は初めて見ました。

 どこか、古代人が骨器や土器の表面に刻んだ文様を連想させ(もちろん、もっと精緻ですが)、素朴な風合いがなんともすてきです。
 「水のゆく先」「森の記憶」「刻まれたいのち」が出品されていました。


2021年10月1日(金)~11月28日(日)午前9時~午後4時(10月20日までは午前8時~午後5時半)
知床自然センター内ミニギャラリー(斜里町遠音別村岩宇別)

・JR知床斜里駅前の斜里バスターミナルなどから斜里バス「知床線」で「知床自然センター」降車すぐ


ごとうまきこさんインスタグラム @makikogoto_
ツイッター @gooooomaph
http://www.makikogoto.com/

石井明日香さんインスタグラム @a_s1101
ツイッター @A_s1101





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