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川合玉堂が好きです 2024年春東京(18)

2024年05月02日 09時44分59秒 | 道外で見た展覧会
(承前。16はこちら)

 竹橋の東京国立近代美術館に来るたびに、時間配分に失敗したという実感を抱きます。
 特別展を目当てに来るわけですが、その観覧券で帰りに見られる所蔵品展がきわめて充実していて結局時間切れになってしまうことがほとんどだからです。

 金・土曜は午後8時まで開館しているので、それにあわせて日程を組み、5時半には館内に入ったのですが、それでも所蔵品展の途中で時間が足りなくなってしまいました。

 なお「中平卓馬 火―氾濫」展については、じっくり書きたいので後回しとし、所蔵品展のほうから先に書きます(なんて言ってると、往々にして書かないまま終わってしまう可能性大ですが…)。
 
 
 所蔵品も見どころたっぷりで、しかもキャプションがよく練られていて、見るたびに感心させられます。
 今回もいろいろ書きたいことはあるのですが、とりあえず一つだけ。

 1916年(大正5年)作の六曲一双の屏風「行く春」です。
 重要文化財に指定されています。

 川合玉堂(1873-1957)は、明治、大正、昭和の三代にわたって活躍した近代日本画の巨匠です。
 最初の帝国芸術院会員でもあります。愛知県生まれ。

 美術館のサイトには次のような解説文がありました。

 晩春の桜花が散りゆく渓谷。川に繫留けいりゅうされている3隻の水車舟。玉堂は前年の秋と同年の早春にスケッチ旅行で秩父の長瀞ながとろを訪れ、川下りを楽しんでいます。その時の風景を出発点として、小雪のように舞う桜をあしらったのがこの《行く春》です。

  作者は繰り返し同じリズムでまわる水車に特に興味をおぼえ、その動きを伝えようと、勢いよく水が流れるさまを表現するのに最も苦心したといいます。自然の 雄大さと季節の移ろいが見せる繊細さ、そうした自然の多様な表情とそこに生きる人々の生活とを結びつけながら、詩情豊かな世界を描き出しています。


 
 いままで実見した川合玉堂作品のうち最大なのは間違いないでしょう。

 大きいわりには、あまり多くの要素を盛り込まず、むしろすっきりしている印象を受けます。

 右から目を移していくと、左隻で桜の花びらがはらはらと舞っていることに気づきます。
 永遠と瞬間が同居しているような、美しさの極点が、そこにあるようでした。


 所蔵作品展 MOMATコレクション(2024年1月23日–4月7日)はほかに、染色家・芹沢銈介の代表作が大量に並ぶコーナーがありましたが、じっくり見る時間がなく、残念無念。


 東京シリーズ、1週間ぶりの更新となりました。
 (22)で終了の予定です。


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川合玉堂展 (2007)

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浅草橋→天王洲 2024年春東京(19) - 北海道美術ネット別館

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