『NEW GAME!』1巻 (得能正太郎 先生)
「18歳だけど、社会人です。」 (オビ文より)
涼風青葉さんが就職したのは、ゲーム会社!
そこで、上司や同僚の女性たちと働く姿が、少し厳しく、でも楽しく描かれる4コマ作品です。
【主な登場人物】
●主人公 : 涼風青葉
子供に見える18歳!
憧れのデザイナーがいるゲーム会社「イーグルジャンプ」へ入社した青葉さん。
けれど、社会人になったというのに、子供と間違われること、しばしば。
そんな彼女がフレッシュ気分で、働く様子が微笑ましかったり、面白かったり。
同期がおらず、社会人という気負いから、背伸びする姿も可愛らしい18歳。
仕事はキャラクターデザイナー! そこで、どのようなキャラクターを作ってゆくのか、
ゲーム会社の職務内容などと共に、興味深く楽しみです。
●上司・同僚・友人
上司にあたる女性たち。
八神コウ : キャラクターデザイナー+キャラ班リーダーで、青葉さん憧れのデザイナー。
青葉さんをからかい気味に可愛がるラフな人物で、
泊まりで仕事する際には、パンツ丸出しになるのが刺激的!
遠山りん : AD(アートディレクター)として、グラフィックチームを統括する女性。
コウさんの同期にして親友。 自由な気質のコウさんに比べて、しっかり者。
何かとコウさんを気にかけ、まるで押しかけ女房になっているのが百合風味。
先輩ばかりの職場と、友人。
滝本ひふみ : キャラ班。 極度の人見知りで口数少なく、PCでのやりとりを好む女性。
篠田はじめ : モーション班。 ボーイッシュだけど可愛くなりたい先輩。 おっちょこちょい。
飯島ゆん : キャラ班。 はじめさんの同期で、エレガントな装いに関西弁というお方。
ねねっち : 青葉さんの友人で女子大生。 まだまだ子供っぽい所が可愛らしい。
といった風に、女性が目立つ職場。
それぞれ、コウ&りん、青葉&ひふみ、はじめ&ゆん
3組6名で覚えると、わかりやすいかもですね。
青葉さんは、直属の上司コウさんや、ひふみさんと関わることが多いです。
いずれも先輩ばかりの環境で、基本敬語で接している青葉さんなのですが、
友人ねねっちとは対等のやりとりをしているのが面白い所。 いつもと違う姿が新鮮です。
【新社会人の気負いと初体験】
新社会人が遭遇する出来事の数々。
18歳という若さで社会人となった青葉さん。
その行動や心情には、わかるわかるという気分にさせられることが多かったですね。
先輩さんに、ちょっとした間違いを言っただけなのに、思わず平伏するとは大げさすぎ!
・・・ではあるのですが、新人という立場で先輩に対して失礼なことは許されない、
なんて気負う気持ちは、正直わからなくないのですよね~。
「社会はキビシイ」なんて言葉を意識して、何があるのかわからないと緊張しまくり。
そんな中で、無礼をはたらくことを極端に恐れてしまうのは、私も記憶にありますからねえ。
他にも、居酒屋初体験(私の場合は学生時代でしたが)では、
お酒の頼み方が初めてだと、よくわからなかったりする場面などに共感しましたし、
また、遅刻をめぐってお叱りを受けたり、初任給を何に使うか悩むあたりも、
社会人の基本をたどっていて楽しめました。
こういった「社会人」なりたての頃にありがちな色々が、
面白おかしく描かれているのは、微笑ましく感じられますし、
今後、社会人となる方にも、興味をもって読むことができるのではないでしょうか。
【ゲーム作りから“働く”ことを知る楽しさ】
ゲーム会社での仕事風景。
青葉さんのお仕事は、ゲームに出てくるキャラクターをデザインすること。
もちろん初めからメインのデザインを任されるわけではなく、
基本の勉強から始まり、単なる村人のようなキャラクターを作ることになるのですが、
これが“働く”ということを、きちんと描いていて、とても好感をもてる内容になっています。
何度もダメ出しされたり、夜遅くまで、ついには泊まりで仕事をすることになったりと、
けっこうキツイと感じることもありますが、こうしたことはマイルドに描写されるので、
あまりストレスになりません。
けれども、こんなに大変なんだな~ということは伝わってくるため、
ゲーム作りも楽じゃないということは、何となくわかりますね。
それでも、青葉さんは楽しみます。
そんな彼女の姿が、読者にも楽しみを感じさせてくれるような、素敵な作品になっています。
あとがきにも書かれているように、ゲーム作りというものは
本来であれば「闇にのまれてしまう」ことが多い、辛い仕事かと思われますが、
本作では「楽しむ」ことを重点に描かれているので、ライトに読めるのが美点であります。
まんがタイムきららキャラットにて連載中。
和気あいあいと、しかしながら、しっかり堅実に仕事する様子に、
とても魅力を感じている作品ですので、ますます今後も楽しみです!