『恋愛ラボ』10巻 (宮原るり 先生)
作者は、宮原るり先生。 (サイト:ヘッポコロジー)
文化祭へ向けて、着々と準備を進める藤女生徒会。
そんな中、南中とのつながりも強くなり・・・?
表紙デザインも今までと違ったカラーなのは、マキにとって重要な巻だからでしょうか?
ますます加速する恋の予感が気になる10巻です!
以下、ネタばれあります。 (未読の方はご注意ください)
【それぞれの恋模様】
マキとヤン。
10巻のメインとなったのは、表紙の2人。
文化祭へ向け、藤女と南、両中学の橋渡し役として
綿密に連携していましたけど、何やらマキに大きな変化の兆しが・・・?
のどに覚える違和感。
それは、リコがヤン、ヤンがリコの話題を出したとき、発生するもの。
2人が相手のことに言及し、とくに相手を理解していると示す際に、
マキは気持ち悪さを感じるようで・・・ つまりこれは、ヤキモチということなのでしょうね。
このことは、マキがヤンに恋愛感情を抱き始めていることの証。
今まで恋に恋する少女だったマキが、ついに本当の恋を知るのでしょうか。
自覚はないけど、心は反応してしまうあたりに、初々しさを感じてしまいます。
ただマキは、ヤンがかつてリコを好きだったと思っている様子。
ヤンは否定してますけど、これは私もそう考えている(ヤンも自分の心に無自覚)ので、
このへん、どう展開してゆくのかには注目したい所です。
というのも今巻にて、ヤンは学ランの貸し借りから、リコはナギを好きなのでは?
と気付いているのですが、その際、何かしら感情を動かされているように見えるのですよね。
ナギには「変な顔してる」と言われてますし、マキに探りを入れるときにも、
どことなく切なげな雰囲気を醸し出しているのが、どうにもアヤシイと思うのですが、さて?
リコとナギ。
リコの気持ちに気付き始めているナギ・・・
と思いきや、それは自意識過剰だと、自分を抑えている様子。
リコのナギに対する感情は、表にあふれんばかりで、気持ちなんて丸わかり。
それは他の生徒会メンバーや、リコ母もわかっていることなのですが、
ナギ自身は期待してしまう自分を踏みとどめて、そんなわけないと思いたがっています。
なぜなら彼は1度、告白に失敗しているため・・・
それでも、リコの感情あふれる笑顔を何度も見せられて、彼自身も迷い始めている様子。
このあたり、「もしかして?」と期待する心と「ありえない」と否定する理性とのせめぎ合いが、
恋愛につきまとう葛藤の描き方として、きわめて秀逸だと感じます。
ありますよね、こーゆー感じ。
一方、リコの方は、ナギのメアドがほしいとか、クッキー作るとか、エプロンで驚かそうとか、
とにかくナギに対するアプローチに積極的で、見ていて面白いし、好感持てますよね~。
彼のことが好きで好きでたまらない、ということが、ハッキリ伝わってきますもの。
まあ、笑い要素も満載で、笑わせられつつも、愛嬌あって良いな~と思えます。
ナギの課題は、過去の告白の失敗(?)を乗り越えることですが、
リコの方は、とりあえずメアドのゲットと、文化祭での「かわいい化計画」・・・ ですかね?
エノとハル会長。
メールのやりとりを通じて深まる関係。
ハル会長のメアドをゲットしたがったり、合同会議で会えば大赤面したり、
妙な見栄を張ってしまったりと、エノの恋模様にも色々ありましたね。
彼女もリコと同じく、ハル会長への好意があふれんばかりではありますけど、
今の所、彼に通じている様子はなく、1人で一喜一憂しているあたり、まだまだかな、と。
それでも、メールを通じたやりとりで、親密さを増している風なのは良いことであります。
また、クッキー作りでは、自分の手で作らなければ意味がないと考えているあたり、
めんどくさくはありますけど、何と言うか、乙女心を感じられて、可愛らしかったかも?
サヨ&ユウ、スズ&レン。
他、サヨとユウくんの話では、皆からいじられて、根掘り葉掘り聞きだされそうになったり、
まさかのおまけ4コマで、愉快な展開になっていたのが、楽しかったですね~。
何だかんだで、ユウくんのことを考えているっぽいサヨが良いです。
そして、スズとレンくんは、「見つめ合う」訓練とかしていて大笑いでしたよ!
いや、レンの「見つめ合おーぜ」のセリフって、普通に考えると面白すぎでしょ!!
とはいえ、レンがスズのことを気づかっていることは、よく伝わってきましたし、
この2人の関係も、深まって来ていると言えるのでしょうかね。
【その他いろいろ】
リコ&ナギの過去話。
連載で読んだときに気付けなかったのは不徳の至りですが、
8巻でのナギの発言の真相が、このエピソードで判明しています。(宮原先生のツイート)
なるほど、昔のお前みたいなこと・・・ ですね。
「誰かのため」ではなく、「自分が何をしたいのか」・・・ について。
マキとヤン、2人について気になることが、もう1点。
この10巻では、エノ誕生日のサプライズの際、
エノ兄が「エノのため」ではなく、「自分がエノの笑顔を見たい」という動機で
動いているのだと考えている場面がありました。
このことについては連載時に感想を書きましたけど、
つまりエノ兄の発言は、エノに恩着せがましく責任を押し付けるのではなく、
責任の所在を己に置くことで、その行為を自分が引き受ける覚悟を示しているのですね。
それは9巻で、リコの受験勉強を助けるときの、ヤンの考え方にも通じています。
リコが祖父のために藤女受験をめざすのではなく、自分が何をしたいのかという
彼女の動機を知って、協力することを決めたというのは、
まさに「誰かのため」ではなく、「自分がどうしたいのか」に基準を置いた考え方であり、
ヤンはそのことを尊重する性格であるということを感じさせます。
この巻でヤンは、マキのことを「人のことでいつも必死」と評しています。
一応肯定的に評価してはいるようですが、彼の考え方からすると、
このマキの性格は、2人の関係に影響を与えそうな気がするのですよね。
どういった方向性でかはわかりませんけども、ちょっと注目しておきたい所です。
追加シーン。
連載時になかった場面は、終盤のマキとヤンのやりとりでした。
110ページ後半からは、すべて追加シーンとなっていて、
クッキーを渡してからのヤンの感想と、それに対するマキの反応にニヤニヤし通し!
そして、マキ⇒ヤン、リコ⇒ナギという、2組のクッキー手渡しの対比が、
おまけ4コマで描かれていたのも、面白かったですね~。
などなど、文化祭へ向けた準備が進む藤女と南中生徒会。
3年生を主役にするという話や、リコ可愛い化計画などをからめつつ、
いったい何が起きるのか・・・ 期待しつつ、今後も楽しみです!
【まんがタイムスペシャル 連載時感想】
まんがタイム 2013年10月号 リコとナギ過去話、リレー編
ヤンマキ表紙で、この2人が中心だった10巻でしたけど、
ようやくマキの方が相手を強く意識するようにはなったものの、
ヤンの方はまだよくわからない感じで、どうなることか…
おそらく1度は苦い経験があるかもしれませんけど、
それで終わりにならないのではないかな~と思っています。
最終的には、良い方向へ向かうのだろうな~と。
そのあたりにも注目しつつ、どうなってゆくのか、楽しみです
しかし、自己の表出に不器用さをもつ二人が自身の感情を「自覚」した時に周囲を含め、どのように変化するのか楽しみです。動きはまだまだゆったりしていそうですので、管理人さまの続きの感想を楽しみに致しております。
> 二人が自身の感情を「自覚」した時に周囲を含め、どのように変化するのか楽しみです。
まさに、これですね。
わりとゆっくりめの進行かと思いますが、恋の嵐は突然に
なんてことも言いますし、「自覚」後の2人に期待したい所。
特典の方は、宮原先生のブログでも
他書店様の情報と共に載っていましたね。私はZINで買いました~。