ヤングキングアワーズ 2012年10月号より
以下、ネタばれあります。 (未読の方はご注意ください)
●ナポレオン -覇道進撃- (長谷川哲也 先生)
コミックス3巻、9月6日発売!
そんな今回は、前回の続きですが、何やら不穏な動きが見え隠れ・・・
パリの異常な空気を察するモローの前に現れたのは、ピシュグリュ!
アメリカ独立戦争に参加したり、対外戦役で活躍した人物だったようですが、
ジャコバン派から王党派に鞍替えし、後に逮捕され、流刑となっていたのだとか・・・
なのに、脱走してパリへ来たのはなぜか? それは、クーデターのため。
モローに参加を打診し、ナポレオンらを片付けると豪語するピシュグリュ。
盛り上がって参りましたよ!
一方、名探偵スルトさんが追いかけている事件は・・・
死体をみた少年の証言から、何事かを察するスルトさん。
殺害された人間の素性から、この事件がさらに大きな事件につながっていると考えます。
そして物語は、王党派の大物・カドゥーダルをくわえて、
ナポレオン暗殺という大舞台を整えてゆきます。
この盛り上がりの過程、バラバラだったエピソードのつながり方が見事ですよね~。
そして、クーデターの決行。
まず狙われたのは、パリ司令官のミュラでしたけど、
あの“ろくでなし”な彼の子煩悩ぶりが、好感度アップになっていてほっこり。
ミュラのあんな一面を見せられてしまうと、あんまり好きじゃなかったんだけど・・・ むぅ。
しかしそれがアダとなってしまう展開には、いろいろと無常を感じてしまいましたよ(;;)
つづけて、ナポレオンを含めた3人の執政が狙われるわけですが、
そのうちカンバセレス執政が、「男色執政」とか呼ばれてて笑ってしまった!
濃厚な男同士のキスシーンとか、見たくねえええええええええええええええええええ!!!
ヤバい、これは相当ヤバかった!
そしてモローさんも、なかなかやりますねえ・・・
自身の目的を遂行できるよう行動しつつ、保険もかけておくといった感じでしょうか。
ただ、この後の彼への処分を考えますと、あまり上手くいかなかった気もしますが・・・
ナポレオンに迫る暗殺の影。
出ました、〈死の天使長〉サン=ジュスト! 彼が狙うのは、“カエサル”ナポレオン!!
一体どーなる!? と緊迫した場面でしたね。
この場面で意表を突かれたのは、前回のフーシェ解任劇が、ここで関わってきたこと。
そしてさらに言えば、それが重ねて、その後の展開に影響を与えたことでした。
まさかまさかの連続に、ゾクゾクしましたよ! ロベスピエールの眼鏡には笑った゜(*゜´∀`゜)゜
でもって今回のMVP。 大活躍だったのはスルトさん!
史実的には、優秀ではあるのだけど、それほど好きではないというイメージでしたが、
もう、このエピソードで大好きになっちゃったかも。
1つの目玉から事件を追い、ついには第1執政の危機を救った彼。
それだけではなく、1人の少年を助けるために全力で駆け抜けるスルトさんの姿に、
私は“男”を見ましたよ! 「今のオレにできること」を優先するその姿勢、たまりません。
ここから前回の冒頭、クライマックスシーンにつながるわけですね。
まさにヒーローといった風情の活躍に心躍りまくりでした! カッコイイよ、スルトさん!!
そして、パン屋さんの運命やいかに?
この笑顔、守りたい・・・ ビクトルさんがこんなにカタギとして頑張っている姿、貴重すぎ。
でも、彼に平穏は似合わない。 ということで、哀しくも可笑しい結末を迎えたお店でした。
うーん、しかしこの働きっぷりを見ていると、
ビクトルって平時は、まともに生きていたタイプの人間だったのかもしれませんね。
とはいえ、乱世にもあれだけたくましく生きられるのだから、スゴイのですが(^^;
などなど、2回にわたって描かれたナゾの事件エピソード。
ミステリ風な展開で、かなり盛り上がって楽しむことができました。
毎回思いますけど、話づくりの見事さは、本誌でもトップクラスの作品ではないでしょうか?
そんなことを考えながら・・・ 今後も楽しみです!