五里霧中

★ マンガなどの感想 ★

◆ 今月のナポレオン

2017年06月05日 | ◆[不定期] ヤングキング・アワーズ

ヤングキングアワーズ 2017年7月号より

 今月の『僕らはみんな河合荘』感想はこちら
 今月の『蒼き鋼のアルペジオ』感想はこちら
 
 
 
 

以下、ネタばれあります。 (未読の方はご注意ください)

 
 
 
 
 

●ナポレオン -覇道進撃- (長谷川哲也 先生)

 

 運命の敵・ウェリントン。

 今回、後のウェリントン公爵、アーサー・ウェルズリーにスポットを当てた
 内容になっていましたけど、冒頭のゴヤとの話は興味深かったですね。

 アーサーさんの有名な肖像画を描いたゴヤさんだったものの、
 その絵の扱いについて不満があっても、直接本人に言えるわけでもない
 宮廷画家の苦労が、よくわかります。

 そして、ゴヤが最後に描いたウェリントンの肖像画。
 これ、私は存じ上げなかったのですが、ゴヤってウェリントンに対して、
 良い印象を持っていなかったということなのですね・・・驚きでした。

 

 

 

 マッセナ、大ピンチ・・・?

 マッセナさん、心臓を患っているのか、苦しそうにしています。
 しかし、目の前にいるのは皇帝陛下で、マッセナさんの仮病を看破。

 そのうえで、ポルトガル方面軍司令官に任命したことを告げていますが、
 マッセナさんは消極的な反応で、渋っているのが気になる所でした。
 仮病を使ったのも、ポルトガル行きを回避するためなわけですし・・・

 彼の戦局を見る目は確かで、時にはナポレオンすら越える見識を示すことも
 ありましたし、その消極姿勢は不安を感じさせます。

 とはいえ、行けと言われれば、きちんと行くのが軍人という立場。
 愛人を連れての行軍は、いつも通りの略奪道中で、ネイさんはかなり不満げ。
 このあたり、今後の確執というか、軋みになりえる要素でしたね。

 

 

 

 アーサー・ウェルズリーについて知りたがるマッセナさん。

 ネイとの合流後、まず情報を欲するマッセナさんですが、思うようにはかどらず、
 「霧の中で戦う気分だ」と困惑していることが、またまた不安を高めます。

 ネイは「スズメ蜂の中で戦ってるんです」と返してますけど、
 ここに2人の違いが、くっきりと見て取れますね。

 マッセナが、この「戦争」全体を見渡そうとしているのに対し、
 ネイの方は「戦場」を見ているだけという、視野の異なる2人が感じられます。
 ネイはネイで優秀な将軍ですけど、マッセナのような司令官タイプではない印象です。

 そして、ブサコの戦いにて。
 マッセナは罠に気付いたものの、ネイの勇み足によって多大な損害を出すフランス軍。
 ここでも、2人の差が見える気がします。

 

 

 

 アーサー・ウェルズリーの戦い。

 ブサコの戦いで、フランス軍に大打撃を与えたイギリス・ポルトガル連合軍。
 フランス軍の屍から、物資を奪う人々が、戦場の無情さを感じませます。

 しかし、アーサーさんは冷静に「退却」を指示。
 勝利を確信したのに、退くことを選ぶとはいったい・・・なんて思わされますが、
 当然そこには彼なりの狙いがあるわけで、さすが後のウェリントン公爵といった趣。

 そして、退くアーサーさんに対して「狼」という評価を与えるマッセナさん。
 それは最大限に警戒すべき相手ということで、とくにネイさんのようなタイプが
 相手にするのは危険だと、告げていたのは納得感ありました。

 また、ポルトガルの負傷兵が述べた「トラス・ヴェドラス線」も気になる所。
 軍事機密とのことですが、アーサー・ウェルズリーがそこを目指しているため、
 かなり重要なポイントです。

 

 

 

 焦土作戦の中で・・・

 退却するアーサーさんですが、その最中に麦の刈り入れをおこない、
 民家を焼く焦土作戦を進行しています。 

 ここで、家を焼かれて混乱する民の姿が描かれていて悲壮でしたけど、
 焦土作戦とは、それだけの混乱と犠牲のうえに成り立っているものだと
 感じさせてくれますね。

 そして、マッセナさんの御者さんが述べるフランス軍の気合の違い。
 ヴァグラムの時とは異なり、兵士の士気が緩んでいることを看破していたのは
 なかなか面白い所でした。 マッセナさんも同様のようですし・・・

 さらに、自分の旬を過ぎていることを自覚しているマッセナさんは立派ですが、
 そこで相手にするのが、後のウェリントン公爵であり、若き「狼」であることは、
 これからの戦いにどのような意味を持ってくるのか・・・

 アーサー・ウェルズリーのめざす「トラス・ヴェドラス線」とは何なのか?
 そこでフランス軍に何が待ち受けるのか? 半島戦争の行方は?
 諸々が気になりつつ、今後も楽しみです!

 

◆ ヤングキングアワーズ 感想