2012年4月号
『リュウマのガゴウ』は、コミックス1巻が4月28日発売! そんな今回、リュウマ師弟の話。
「リュウマでいることがしんどい」という師父の言葉と、その後の弟子の姿に、リュウマの名が
もつ苛烈さを感じます。 こういった物語は、他の場所でも繰り返されているのでしょうね・・・
『それでも町は廻っている』は、歩鳥が告白されて、さらにファーストキスの巻!
後輩から告白受けて、真田くんに相談するって流れもなかなか面白いと思うんですけどね、
「心の中」の描写や、真田くんの動揺・妄想、そしてラスト・オチに笑! ファーストキスか・・・
『裸者と裸者』は、ついにカイトが母の行方の一端を知ることに・・・ しかし予想通り険しい。
「お母さん」の一言と、カイトの表情が切ないなあ。 石川啄木の詩のパロディは、陰に粋。
そしてイリイチ大尉の行動で、とんでもない事態へ発展!? これに対してカイトはどう動く?
『球場ラヴァーズ』は、美央さんの受験が迫る中、シーズンも終盤へ突入・・・なのだけど、
カープは連敗連敗。 「今やってることが本当に先につながる実感がない」息苦しさ。
その表現が見事に伝わってくる描き方にプチ感動。 3人の行動も面白かったですね!
『アリョーシャ!』は、未留さんのピンチ(パンツに手が届かないことではない)を救うべく、
アリョーシャ&ケイティがNo.3のもとへ。 アリョーシャがケイティを頼るシーンは胸が熱い。
けど、状況が変わるや臨機応変に対処するアリョーシャがさすが。 これは盛り上がる!
『ヘン集女王』は、川島さんの憂い顔を、自分に都合よく脳内変換するゴッチーに笑った!
そのゴッチーがCHILL先生との打ち合わせで、「ことなかれ主義」を貫いているのが清々し。
相性としては悪くないけど、編集としてはどーよ?な印象。 平戸路&萬村コンビのがイイ!
『ウォースパイト マルスの目』は、有希くんがまさかの敗北!? 相手は「本職」っぽいですね。
というか、このイアンなる人物も「目」を持っているというのは、なかなかに面白い展開。
しかし、「ウォースパイト」って英国の艦艇につけられる名前じゃなかったでしたっけ・・・?
以下、ネタばれあります。 (未読の方はご注意ください)
●カラメルキッチュ遊撃隊 (大石まさる 先生)
大石先生の新連載は、不思議ワールドの女子中学生物語・・・?
とある田舎町を訪れた2人の女子中学生。
そこへ、「イホージン」と呼ばれる謎の生物が忍び寄ってきますが、
カランと名乗る少女が、このイホージンの注意をひきつけて、2人から引き離そうと・・・
・・・と始まった本作品。
町中を走り回って、イホージンを引っ張りまわすカランの姿は、
いつもの大石先生作品ヒロイン同様、躍動感あふれる瑞々しさ!
2人の女子中学生や“謎の猫”も登場し、イホージン相手に大立ち回り。
そんな様子が楽しくも、緊張感を伴って読み手をひきつけます。
後半は、学校を舞台にカランと少女たち、そして“謎の猫”の交流が描かれ、
ひとまず物語の役者がそろったといった風情で、なんだかワクワクしてきます。
13年前に現れたイホージンの存在と、世界の異変。
様々な謎を秘めつつ、大石先生ブシがきいた物語の楽しさを予感させる作品ですね。
これからが楽しみです!
●ワールドエンブリオ (森山大輔 先生)
コミックス9巻が3月9日発売!
“柩(エンブリオ)”の下、世界は混乱に陥り、終末が近づく。
そんな中、リクはネーネに対峙するが・・・?
という状況なわけですが、ネーネの変わりようがとんでもねーですね~。
あんなにも人の命を大事にしていた少女が、完全ブラック化。
しかも、このことはあらかじめ仕組まれていたらしいというのだから、リクくんの絶望は深い。
ちょっと凄まじいことになってまいりました。 あの可愛いネーネはどこいったんだ・・・
うーん、まだわからんことはありますけれど、物語は終盤ということになるのでしょうか。
この圧倒的な“敵”を前に、リクはどう戦うのか・・・
なんだか「想い」とかで強くなっちゃいそうな展開には賛否あるやもしれませんが、
今後も楽しみです!
●彼の旅が終わる (水上悟志 先生)
シリーズ完結! 短編集は5月発売予定! そして水上先生の新連載も予定とのこと!
ギンガサンダーの物語も、これにて最終回! なんとも素晴らしい連作でありました。
天馬努の物語から始まり、ギンガサンダー誕生秘話があり、そしてこの終わり方。
正確には、シャンバラの物語も含まれますね。
まさか「外の世界」がここで、「内の世界」があそこだったなんて(^^;
この最後の物語では、異世界でむかえるギンガサンダーの旅の終わりが描かれます。
魔神として1人の少年に仕えることになった彼が、やがて自分のやるべきことへ行きつく・・・
という話は、ある意味「贖罪」の物語であり、多くの人間の「安らぎ」の物語でもありました。
はじめに「優先本能の上書き」があるのが面白いですね。
ギンガサンダーの始まりは、1人の少女の世界に対する恨みつらみであるために、
その行動理念は、それを象徴した純粋なる破壊・殺戮衝動でしかなかったわけですから・・・
だからこそ、少年の失意に対して、魔神らしいことをささやいてしまうギンガサンダー。
「恩知らずの世間に復讐できまっせ?」 まさに悪魔の囁き。
次ページでのギンガサンダーの影に、これまでの業と嘆きが象徴されているのがスゴイ。
しかし、それへの少年の返答は、理にかなっていて的確!
あ、うん、そらそーだよね・・・みたいな。
きっかけが違うことなので単純に比較はできないけれど、
ギンガサンダー“生みの親”である少女の復讐と比べてみると、なかなか面白いですね。
いわば復讐のために生まれたギンガサンダーが、その目的を否定される重要なシーン。
だからこそ、この後の彼の行動に、説得力が生まれる構造になっているわけです。
少年の純朴さと強さが、ギンガサンダーを永い業の輪廻から救い出したとも言えます。
その後の物語は、なるべくしてなったという結末でしょうか。
「なんでかこれが必然のような気がする・・・」 まさに彼の語る通りなんでしょうね。
私は、復讐物語というものを単純には否定しないのですが、
それでもやはり、こうした終わり方が「しっくり」きて心地よい。
短編集が5月発売ということで、購読を決意するくらいに楽しませていただきましたー!
●脱エバ! (鈴木小波 先生)
鈴木小波先生の読み切り! これが面白かったー!!
電車が走り、観覧車が見える場所に、1人のサムライがたたずむ。
そこへモコモコ着込んだ謎の少女がやって来て、いきなりサムライにジャンケンを挑む!
なんて始まった本作品。
メガネ少女・エバがモコモコ着込んでいるわけは、野球拳をするためなのですが、
なぜサムライがいるのか? なんで野球拳をしなくちゃいけないのか?
まったく謎のままに物語は進行します。
そんな2人のジャンケン勝負が白熱して楽しかったのですけども、
やがてサムライは自分が何者であるか、どうしてこんな状況になっているかを
しだいに思い出し始めます。 そしてそれは、彼の命運をかけた勝負を意味することに・・・
このお話は、謎の少女エバとのジャンケン勝負の描写の見事さはもちろん、
そのテーマも見所でありました。
もしかすると勘違いかもしれないのですが、これは鈴木先生の創作者としての意気込みを
表している作品なのではないでしょうか? 「脱エバ!」というタイトルにも意欲を感じたり?
水上悟志先生のシリーズ1・2作目でも同様だったのですが、ギリギリの所で勝負している
創作者としての姿勢というものを、私は感じざるを得ませんでしたよ。
「努力よりも運が勝る」 「だとしても」 の台詞の流れには、胸に迫るものがありました!
鈴木先生の力量を思い知らされた素晴らしい作品。
ぜひとも再び、鈴木先生の連載を読んでみたいものです!!
●ナポレオン -覇道進撃- (長谷川哲也 先生)
相次ぐフランス軍の勝利により、オーストリアとの講和をのぞむナポレオン。
もちろん、交渉役は外務大臣タレイラン。
しかしオーストリア代表コペンツルは、なぜか引き延ばしを・・・
と思ったら、なるほどそーゆーわけでしたか。
物語の時系列がおもしろい具合にいじられていますね。 こうした構造は好きです。
それはともかく、領土をひろげ民衆からの支持もますます上がるナポレオン。
彼は、ここで己の野心をたぎらせることになるのですが・・・ というのが今回の話のキモ。
・・・とその前に、面白い人物が登場しております。
モローの愛人でありながら、ネイに色目を使った女性イダ。
おかげでネイは放逐されてしまいますが、これがおそらく出世の糸口になるのだから
世の中はわからないもんです。
そして、私はくわしく知らなかったのですが、今後彼女がどう関わってくるのか・・・
美形だし、さばさばしていてカッコイイし、再登場を楽しみにしております。
そして、ナポレオンの野心が引き起こしたちょっとした出来事に対処するフーシェ。
事態の真相を自ら確認したのち、その「犯人」逮捕のために、訪れたネイを利用する・・・
どこまで人が悪いんだ、フーシェさん(^^;
そこでネイが「犯人」逮捕に大活躍(?)するわけですが、これがメチャクチャ面白かったー!!
自信満々に「犯人」に対峙し、その怪物ぶりを発揮するネイ。
しかし、ゆえにその滑稽さが際立つという見事な描かれ方でありました。
「犯人」たちだって怪物ですからね~。
それにしても、フーシェはやはりナポレオンの野心にくぎを刺すために
こういったことをしたのでしょうかね? 何にせよ、近いうちに更迭話がくるのかな?
フーシェを警察大臣という役職から外すとどうなるか・・・ といった感じのエピソード。
そのあたりを期待しながら、今後も楽しみです!