時代を作るには長い月日がかかる。
何かをしようと志す人には誰でも長い間寂しい日々が続きます。寂しいと思っていなくても目的があれば細い道を歩き続けられます。
人は知らないものに反応を持ちません。自分が素晴らしいと思っていてもそのものが語りだすまでなかなか伝わらないものです。
火がついてもパっと燃え上って消えてしまう物もありますが、消しても、踏んでもまた燃え上がる火元でなければ伝承するのは易しいことでもなさそうです。
私は人間の持つ人間力に感動したり、コミュニケイションの大切さ、巡り合いの不思議さを思うとき、誰の心にも神様が宿っているような気になります。
自分の知らないものを疎んじる、誰かがよいと言えばよいと思う有名を崇める有名社会では、私たち普通の人間には一歩一歩やる、やれば出来ると信じるのが
自分で自分を作り出す人間力だと思います。
2011年秋のことです。砂浜美術館のキルト展の審査でとても考えさせられることが起きました。キルターでなくとも誰でも驚くような稚拙な花火のキルト、2枚綴りが展示されました。
布地を切りっぱなしで1センチ位の大きな縫い目で回りを縫い、中心にはテルテル坊主の時に作る頭を寄せ合ってくっつけてあります。
こころをこめて一生懸命キルティングしたキルトは努力だけでもそれなりの尊敬できる価値があります。ぶつぶつ縫いは美しくてもダメか。悩みました。
大賞はあげれないけれど、表現賞は上げたいと思いました。2011年、震災の数年前の年だと思います。ダイビングからウエットスーツで展示を見ていた方が、つぶやきました。
「私も作ってみたいなー」と。 「アラ誰でもできるのよ」というと 「私針も持ったことないのです!」 「大丈夫。誰でもやればできるのよ!」 「え?ほんとうですか?」という短い会話をしたのを
覚えています。
私はキルトを展示してある畦道をはなれ、ラッキョウの花畑を超え遠くからキルトを眺めてみました。70年代地域に分配された町作りの分配金で美しいドライブウエイを整備し、ここには「美術館はありません。美しい砂浜の自然が砂浜美術館です」というコンセプトで誕生したというドライブウエイからキルトを眺めると、一番目立ったのは花火のキルトでした。 ー遠方から眺めてみるー 膝の上で作らずビジョンを持つことの大切さを学びました。
数年がたち、ミキモトでのフックド・ラグ展が近づきました。ポスターサイズのラグ60枚の展示です。この花火のインパクトが忘れられず、ポスターサイズのラグの下絵をたくさん作り花火も入れました。好きなデザインをくじ引きで生徒が選択しました、その結果、福田節子さんが2枚続きのこの花火のデザインを選びました。1枚でも大変と思いますから初めから2枚続きに挑戦したのをとても嬉しく思いました。いろいろな思いをを結ぶ素敵な感動的ラグを福田節子さんが丁寧に作ってくれました。
最近の調査で花火のキルトを教えたの松木由子さん。3月11日の震災のショックを受けた大方高校生と一緒に夜空に大きな花火をあげて慰めたいという気持ちで作ったそうです。現在松木さんは砂像アーチストとして活躍中です。繋がりの楽しさ、不思議さを感じますね。皆で元気を分かち合いたいと思います。
花火のフックド・ラグ制作: 福田節子
お知らせ
かぎ針で作る暮らしのアート MIKIMOTO Cultural Exhibition News フックド・ラグが奏でる、日々の喜び
日時:2014年10月22日(水)~11月11日(火) 11.00~19.00
場所:ミキモト本店 6階ミキモトホール 中央区銀座4-5-5 ℡:03-3535-4611
主催:株式会社ミキモト 協力:一般社団法人日本フックド・ラグ協会: トヨタ
*入場無料・開催中無休
最近、TV番組、とんねるずの食わず嫌いに出ていた若手女優の蒼井優さんがフックド・ラグにはまっていると話してました。フックド・ラグはこんな手芸とテロップも流れました。
たくさんの方がわたしも作ってみたいと思ってくださるといいですね。