観・環・感

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映画より恐い世界

2013年07月23日 | 日記
米当局の秘密情報収集活動を暴露して訴追されているエドワード・ スノーデンは、ロシアに一時的な亡命を申請しているが、審査の最終結果は,
約3ヶ月後になるようだ。ネットで検索していると、彼が中南米の嫌米国に亡命するよりロシアにいた方が身体の安全度ははるかに高いと指摘
されている。彼が亡命の際に移動に使われる航空機が爆発事故を起こすというような事態になれば、彼と無縁の多くの搭乗者が犠牲になるから
とも指摘。また、亡命した国内での交通事故に見せかけた殺人ならもっと簡単とも指摘。映画の世界ではそういう事が日常茶飯事に行われているが、
現実社会も同じだということであるらしい。
このスノーデン元CIA職員と書かれているが、CIA職員時代に得た情報を暴露したのではない。詳しく説明すると、コンピューター技術に優れた
才能を見込まれメリーランド大学でNSAの極秘施設の警備員となって以来、NSAと関わりを持ち、NSAと時期を前後して接触のあったCIAで
コンピュータセキュリティに関連した任務に従事。
2008年にCIAを辞職し、NSAと契約を結んでいた民間企業「ブーズ・アレン・ハミルトン社」に雇用、日本の在日米軍基地でも働き、2013年
から年俸20万ドルでNSAのハワイ事務所に勤務。ここでハワイ事務所で暴露の証拠となる機密文書をコピー後、病気療養名目で3週間の休暇を
取り、本年5月20日に香港入り。その後の経過についてはニュースで詳しく報道されているとおり。
ところで、スノーデンが働いていたブーズ・アレン・ハミルトン社とは一体どのような企業なのか検索してみた。米通信社ブルームバーグによると、
米国の諜報機関が契約する企業数は全部を含めると数千社もあるらしい。このブーズ・アレン・ハミルトンは最大手で、同社の年間売り上げ約5,760
億円の99%が米政府の仕事らしい。社員は、約2万4千500人。
米国の諜報機関はCIA,NSA,DIA,NRO,など17組織もあり、予算は非公開だが、総額5兆2千億円と言われている。そして、この予算の
7割分を民間企業が請け負っている。(ちなみに日本の防衛費は、4兆7,500億円。)
ブーズ・アレン・ハミルトン社は、第二次大戦時、ドイツのUボートの通信傍受をするセンサーシステムの開発を手がけている事でも有名。同社の副会長
であり、サイバー戦略を統括するマイク・マコーネル氏はクリントン政権時代にNSAの長官だった人物。同社の上級副社長だった2007年に国家情報
長官になり、ブッシュ政権が終わると、再びブーズ・アレン・ハミルトン社に戻るのである。まさに、アメリカの高級官僚と同じ業務関連の民間企業の経営者層
とは「回転ドア」の関係であるということを如実に語っている。
米国では、スノーデンが、民間企業の契約社員だったことで、機密情報を民間人に任せるべきなのかどうかという別の議論も起きており、契約社員に対する
機密情報へのアクセスの制限の法制化についても検討されている。しかし、規制法案は、ロビー活動で潰されるか、緩やかな法律に終わってしまうとアメリカの
識者は考えているようだ。
そして、この会社は、プライベート・エクイティ・ファンド(投資ファンド)で超有名な「カーライル・グループ」の傘下にあるという事実。
まさに元スパイのヒーローが活躍する映画のさらに上を行くような構造となっている。
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