観・環・感

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官が頑張れば頑張るほど地方はダメになっていく

2008年01月10日 | 日記
日経ビジネス「NBonline」に自治省(現総務省)の府県税課長から転身し、昨年4月まで2期8年、鳥取県知事を務めた片山慶応義塾大学大学院教授とNB記者との対談記事が興味を引いた。
見出しタイトルは、「2008年を斬る:本当の地方再生とは?」―官が頑張れば頑張るほど地方はダメになっていく―
片山氏の話で納得したところをピックアップした。
 ”霞が関の人たちが本当に考えていることは自分たちの役所の権限を拡大することばかりです。今回だって「格差是正、格差是正」と言いながら、本音は新規政策をネタにして自分たちの予算をいかに多く取るかということにある。そんな霞が関の政策に自治体が食いついたって、うまくいくはずがありません。
 格差是正策を打てば打つほど地方財政は破綻に近づく
 自治体が抱える膨大な借金はまさにそうやって作られたのです。
 政府はバブル崩壊後に大規模な景気対策を毎年やりましたよね。その際、補正予算で追加した公共事業の多くは、実は自治体にやらせたんです。自治体はその財源を地方債で賄ったために、ここにきて当時の借金が自治体財政を大きく圧迫するようになったのです。 なぜ自治体はそんな借金をしてまで公共事業に取り組んだのか。
 理由は、政府が自治体に公共事業をやらせるために「地方債の償還財源はすべて後年度に地方交付税を上乗せして補填する」と言ったからです。自治体にしてみれば、自分の懐がさほど痛みませんから、政府の言う通りに地方債をバンバン発行して大量のハード事業をやってしまったのです。
 ところが、財政再建を掲げる小泉(純一郎)政権の「三位一体改革」で地方に配分する交付税の総額が大幅に減らされてしまった。そのため、かねて自治体が当てにしてきた交付税の上乗せは実現されませんでした。だから今、多くの自治体が借金を返すのにヒーヒー言っているわけです。
 自治体にしてみれば、「政府にだまされた」ということになる。
 要するに、政府の言う通り頑張ってきた自治体がここにきて苦しんでいるわけです。だから、もう自治体は頑張らない方がいい。政府の“甘言”に乗って、かつての公共事業のように要らないことをしてはいけない。返した方がよほど賢明です。
 旧内務省の流れをくむ役所の中の役所である旧自治省と山陰の貧乏県である鳥取県知事を2期、しかも2期目は共産党も対立候補を立てないくらいの善政(詳しいことは知らないが)をしてきた人の話だからそのとおりだろう。
 住民側も詰まるところ県外大手ゼネコンの儲けになるだけの公共工事など望まず、公共工事は本当に必要なものだけしか認めないというスタンスが大切なのだろう。
 片山氏は、また、”過疎地では住民の高齢化が進んでいるのに、域内にバスが走っていないため、車に乗れないお年寄りは移動の足に困っているのです。道路が立派なのに、住民の移動は不便――。まるで戯画のようでしょう。”と話している。
 今、地域格差ということがよく言われているが、東京ミッドタウンで居住や買い物をしている人は知らないかもしれないが、地方では実際にこういうところが非常に増えているのである。