散歩から探検へ~個人・住民・市民

副題を「政治を動かすもの」から「個人・住民・市民」へと変更、地域住民/世界市民として複眼的思考で政治的事象を捉える。

指導者としての警世の姿勢~アベノミクスの中の首相~

2013年05月11日 | 政治
報道によれば、昨年度末の国の借金は前年度末より31兆円強増加し、991兆円にまでに登った。今年度末には一千兆円の大台を突破すると予測される。
(参照図)

大幅増加は昨年度当初予算で国債44兆円を新発行し、加えて安倍政権が経済対策のために国債8兆円を補正予算で追加発行したからだ。

上記は朝日新聞を引用した。多くの新聞は同様の「増加」を表現したが、毎日新聞は「減額、国の借金991兆円」と報じた。えっ!何で?と思うが「過去最高だった昨年12月末時点と比べ5兆円減少」だそうだ。何だかおかしではないか。年度の比較が先にくるはずだ。また、今後は減少基調であれば、この内容を加えても良いが、今年度は更に積み上がるのだ。政府の提灯持ちではないだろう。

安倍政権は財政再建を口にするが、一千兆円の借金については何もコメントはないようだ。重要な事項として国民に報告し、財政の厳しさへの認識を求め、消費税の必要性を説き、何時までに何をするのか、提案が欲しい。それが首相の姿勢だろう。

「指導者層の側での、悲観的ともいえる厳しい警世の姿勢と、一般国民の側にある健康な楽観の結びつきこそ、国家興隆の兆であって、その逆は、おそらく国家衰退の兆である」(永井陽之助『多極世界の構造』「あとがき」(中央公論社1973))。

何故なら「日本の政治や外交を担当し、日々その任に当たる人々は、未来に対する、おののきと、絶え間ない警戒と、細心の注意が必要となろう。明治の指導層が、冷徹な現状認識と骨身を削る不断の努力によって、国家経営に当ったことは誰でも知っている。」からだ。従って、有識者、マスメディアの専門家は「予測や判断において、若干、ペシミスティックで批判的であるべきなのだ。」との立場になる。

衆院選挙の際、公報から描かれる行程は障害物のない平坦な道なのか、と記事で懸念を示した。実際、障害物はあるはずだ。しかし「論点・争点」の設定がないから、各人・各党の都合の良い説明が通っている。更に、アベノミクスでは、異次元緩和、国から巨額な資金の繰出しによって、痛みも、バリヤもなく、経済・社会が順調に運営できるかのように喧伝される。しかし、一般国民は不安を抱えているのだ。

この状況下において、安倍首相は、先の永井の言葉に何と応えるのであろうか。

      

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