
45m電波望遠鏡の観測により、銀河NGC4258の中心部に秒速1000km(時速ではない)で運動するガスを発見しました。これは巨大な「ブラックホール」であることが分かり、実に太陽の3900万倍もの質量を持つそうです。太陽の数千万個分の「重さ」など、想像できません。

ここに飲み込まれると、そのあとはどうなるのでしょうか。ま、このブラックホールは2400万光年も遠いところにあるので、心配ないですが。

この天文台では、太陽の観測もおこなっています。
ディープスペース(太陽系の外)の研究は興味深いですが、我々の日々の生活には、太陽の影響が大きいですから。小型のアンテナを84台並べた「電波ヘリオグラフ」、すこし大きいパラボラアンテナ8台を並べた「太陽電波強度偏波計」が、毎日継続して観測しています。
国立天文台の本部、三鷹キャンパス(旧東大天文台)に初めて作られた「電波望遠鏡」が、スクラップになって廃棄される直前、救出されてここに復元されていました。

ヘリカルアンテナという螺線形の導体です。
ALMA(アルマ:アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計)という名称の国際天文学プロジェクトが、チリの高山、標高5,000mの砂漠で国立天文台も参加して実施中です。その巨大で高性能な電波望遠鏡の説明がありました。

30年くらい前に計画が始まり、2011年に初期運用が開始され、2014年から本格的観測が始まっているそうです。
アンテナは、合計で66台、これを組み合わせることで直径18.5kmのアンテナをもつ望遠鏡に相当する観測ができるようです。

ミリ波、サブミリ波(ミリ波よりさらに短い波長)は、雨や霧、雲に弱いのですが、このチリの高山は霧も雲もほとんど発生せず、大気圏の水蒸気も非常に薄い場所で、この装置に適しています。
光学式望遠鏡には、地球上には「すばる望遠鏡」(ハワイ島)が有名ですがそれよりも10倍解像度が高い。大気圏外に周回しているハッブル宇宙望遠鏡は、空気の影響は避けられますが、レンズや反射鏡の大きさに限りがあります。ミリ波干渉計では、多数のアンテナを広く分散して配置することで、大口径の望遠鏡として機能するので地球上に設備するのに適した装置です。
事前に公表されていた講演は、参加者多数で入場券(無料)が無くなっていたのですが、別の建物の小部屋で開かれたALMAを使う研究計画のお話がとても良かったです。現役の若い研究者がスライドを使ってていねいに説明してくれました。
研究目的は、太陽系以外に「生命」(の基本要素である有機分子や蛋白質)が存在するかどうかを、ALMAの高性能な分析力で実証することだそうです。
すでに「グリコールアルデヒド分子」(糖類)が、へびつかい座ロー星領域の惑星で発見されています。

「生命」の本質とは、なにか?
敷地内の各拠点を周遊するスタンプラリーをやっていたので、参加して5か所をまわり記念のメモ帳を頂きました。

これは、ALMAのコースター。
子供向けに、団扇作り、折り紙、さらに電気工作までイベントしていました。
親に連れてきてもらい、星や無線、電気工作が好きになってくれたら素晴らしい。
こんな見学会に、親やジジババは子供を連れてきてくださるよう希望します。
この日は長野県ゆるキャラ「アルクマ」も現れて、子どもたちと遊んでいました。

国立天文台のwebはここhttp://www.nao.ac.jp/ 。
本ブログのポストで、野辺山から見た八ヶ岳のスケッチは、ここ(ITUジャーナル2013年2月表紙絵)。