朝顔

日々の見聞からトンガったことを探して、できるだけ丸く書いてみたいと思います。

「科学的」記事、風評を助長か

2011-04-11 | 東日本大震災
画像は、2011年4月9日(土)京都新聞夕刊1面の記事です。

[Journalist Wall of Shame]の有力候補です。

世界地図に、1年後、・・10年後、30年後、放射性物質の海洋拡大予想図をカラーで掲載しています。しかし、よく読むと計算方式などの記述がありません。

記事前半、中野氏の研究では「高濃度の汚染水」(濃度の数値は?)が2万トン流失したと仮定したとして、1年後に最も濃度が高い場所で1ベクレル未満(1リットル当たり)。
10年後や30年後などの数値に意味があるのかしら。

その後、青山主任研究官の話が出てきて、1ヵ月後の数値予想があるのですが、前半の「中野シミュレーション」との理論的関連に飛躍があります。シミュレーションは使用するモデルや条件で計算結果は大きく異なります。シミュレーションとは「コンピュータによる数値計算実験」ですから、各種の条件を変化させてその結果を検討する目的で使います。

この記事で、大きなスペースを占める4枚の世界地図は、なにを示しているのでしょうか。例えば、1年後の青い色で示す濃度と、30年後の濃度は同じではないでしょう。恐らく極めて薄くなっていると思います。

「海への放出、回収困難」とあたりまえのことを白抜き活字で強調。

結局「魚介類に濃縮の恐れ」があるから「注意」しなさい=食べないほうがよい、との強いメッセージに読み取れます。

むしろ、安全基準の数字の根拠と魚介類検査の徹底を訴えるべきでしょう。例えば、現在の国の安全基準は40ベクレル/リットルですが。

魚介類への濃縮の具体的な事例や、その数値を解説しなければ記事の価値がありません。

コメント
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