外為ガイドブック☆FX取引の基礎や相場分析を解説…五里霧中の相場取引に一筋の光を

外為市場経験者の浅野敏郎が値動きに着目したチャート解説や個人的意見を綴る相場ブログ&用語集!

オセアニアで円売り顕著

2007-08-31 19:07:45 | ☆外国為替を読む

円売りはさほどきつくありませんが、底堅い展開が続いています。

といっても、昨日高値からは余り水準を変えておらず、また昨日遅くからは押しが入ったことで、昨日の下げ戻しを取り返して、やや更新・・・というイメージです。

さて、期待した円売りもここまでは非常に限定的で、やや拍子抜けした感覚はあります。ただ、昨日から噂があった豪ドル円に関しては、昨日の高値をしっかり上回って停滞しています。

その他の対円ペアはワンタッチ程度で留まっていることから、一時的な外貨買い需要が下値をささえているイメージはあります。思い込みは禁物と肝に銘じて、9月も臨んでゆきたいですが、昨日高値を瞬間でも上回りながら、ブレークアウトのイメージは無く、総意を伴っていないことが伝わってきます。

ニュース解説などで、相場変動の原因を無理やり説明しようと、サブプライム問題に対する楽観ムードから、株上昇とかドル円上昇などと謳われていますが、金融市場は依然として緊張はほぐれていません。当問題は一朝一夕で投資センチメントを変化させるような内容ではなく、まだまだ慎重な対応が必要だと思います。

いつでも売り崩せそうな相場状況ですが、その動きが発生しないということは、期限付きの円売りオーダーが存在しているとしか思えず、深夜12:00ころのロンドンFIX辺りには注意が必要です。また、円売りだけでは上昇は困難と見ている現状ですが、ストレートでドル売りを伴うようなら、次の天井がターゲットになる可能性もはらんでいます。各ペア共に8月前半で揉み合った水準に円買い注文を置いて、9月の運試しというのもありえそうです。

では良い週末をお過ごしください。


GBPJPY 月末要因の円売りに本邦機関投資家の外貨手当 伸びきったところが売り場

2007-08-30 18:51:10 |    -ポンド円

クロス円で思わぬ買いが先行し、市場が薄い中を各通貨共に踏みあがり、シナリオは全てストップアウトしてしまいました。月末要因を見落とした点は反省点です。

今月はそこそこの成績であったために、留保を増やせる機会と判断してやや欲張りすぎたかもしれません。ユーロドルの売り増しを安易に行わなかったことが不幸中の幸いとなりました。本来であれば、今月は打ち止めというスタンスが正しいかも知れませんが、市場のメッセージを探るうちにアイデアが浮かびました。

世界中の金融状況は既にお伝えいたしましたが、本邦個人投資家によってはお安く買える機会という認識に大きな変化は無いようです。
一部、既に報道されてご存知だとは思いますが、投資信託の売れ行きは未だに根強く、新規設定による月末の外貨手当てはかなりの額になるようです。明日がピークだということを考慮すれば、ここ24時間の対円通貨は非常に底堅いことが予想されます。

他人の○○で相撲を取る…ではないですが、手当てしきらないと終らない状況で、買われる外貨は限定的だとは思いますが、中でも連鎖的に上昇しそうな対円クロスで、まさかのスパイクアップを目論んでオーダーを仕掛けてみるのも一手かもしれません。

ユーロドル、ポンドドルの上昇は基本的にはこうした外貨手当ての流れを受けての上昇に見えます。待ち受ける戦略を立てるにあたりテクニカル的な手がかりですが、当シナリオがストップアウトしている様に既に想定の限界を超えて進んだ状況では、見つけにくくなっています。

このところのポンドは、あまり主体性を感じません。イベントリスクさえなければ、変動率といい付和雷同的な通貨としてはベストに見えます。

本日はその根拠などに触れてみますが、何も起こらなければ当シナリオは絵に描いた餅となり、結果的に本来の中立的なスタンスを維持することにもなります。

 
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EURUSD 日足基準線が機能せず 24日上昇を否定で戻りが機能すれば下落継続示唆か

2007-08-29 13:10:26 | ☆相場分析-ユーロドル

一昨日のユーロドル売り戦略は、なかなか下落せず気を揉みましたが、ターゲットまで下落し、更に下抜けることで第二弾のストップエントリーも発動し、本日は1.3562の下値をつけたあとは、揉み合っています。

材料難から特段の動きが無く、本邦の宿命である円売りが持ち込まれて調整の上昇があれば、新規としては戻り売りを試したいところです。

ただ、既にストップエントリーでユーロ売りが発生しているため、同レートでの売り増しは回避します。代わりに、先行スパンからの離脱につながる動きになるようなら、再度ストップエントリーして売り増しのシナリオもありえるでしょう。

欧州の機関投資家筋からの円買いがレポートされ始めました。本流となりえるか、本日15:10発表予定のGFKの独消費者信頼感数はやや注目されるかもしれません。20:00予定のMBA住宅ローン申請数の発表も密かに注目されている可能性があります。

 
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緊急コメント リスク資産回収の動きが再燃 週末の経済指標を前に投機的な動きは限定的

2007-08-29 11:37:33 | ☆外国為替を読む

昨日は米国某大手証券が、米大手金融機関の格付けを引き下げたことに端を発したといわれる米国株式市場の下落は、やや沈静化の状態にあった市場を再度覚醒させてしまったようです。

その後のFOMC議事録発表では、あくまで過去の議事録であり詳細は不明なため明確ではありませんが、とはいえ当月初の時点でサブプライム問題への懸念や方向性について何らかのコメントは聞かれておらず、もしそれが本当であれば、その後から現在に至る株安連鎖の原因は、失望売りとも考えられます。

また、米国が当問題に対して楽観的過ぎたか、確信犯であったという側面は否めず、某欧州系大手銀行レポート(非公開)や当社配信の加藤出レポート(サンプル)では、日銀ですら7月の月報でサブプライム問題の不透明さを指摘していたという皮肉も聞こえてきています。

現状では米国のダメージだけが強調されておらず、米国売り(=ドル売り)一色という形では反応していません。あくまでリスク資産からの撤退や圧縮という側面から、株式投資からの資金引き上げ(株売り)や海外投資からの資金引き上げ(=ドル買い)という形に収まっている感覚があります。キャッシュ化された米ドルの行き先は債券に向かっている様子で、債券価格の上昇が利回りの低下となってドル金利が下落しているのは周知のとおりです。

問題は日本での状況ですが、株式市場における外国資本の流入は既に相当額に達しているといわれ、まだ日経平均が1万円を下回っている頃からの上昇は概ね外人の買いに支えられてきたともいわれるほどでした。小口化やデートレードなどで日々の出来高における、日本人投資家の取引割合は以前より増加していたのかもしれませんが、本来の投資的観点では外人による根っこの下支えがあっての株価上昇というシナリオが想像できます。

だとするならば、彼らにとってのリスク資産逃避行動は、当然ながら株売りとなり、日々のレポートでも売り越が継続していることにが裏付けられています。

では為替はどうかといえば、第一にリスク逃避通貨として選好され易い特徴があることから、対円で円買いが持ち込まれていることが指摘されています。

また、これまでの外人による円キャリートレードを想定した場合、円を借り入れてリスク資産に投資をしていたとすれば、それらを解消するということは、借りていた円を返す、つまり円買いで完結してしまいます。したがって、米ドルに見るような本国送金にまで至っていないことが想定でき、ユーロやポンドのように、ドル円でのドル買いにはなりにくいという側面がありえます。

さらには、本邦投資家の外貨投資の決済や海外債券投資などのヘッジは全て円買いとなることは明白です。つまり、現在の円買いは決して投機ではなく(一部はあるでしょうが・・・)、リアルマネーの清算が原動力となっている点は、前出のレーポートでも指摘されています。

本邦で販売された投資信託や海外債券投資ファンドでは、恐らく為替のヘッジまで織り込まれている商品は無いに等しいはずで、為替のヘッジはある意味で個人投資家に任せるというスタンスです。

過去には外貨資産のヘッジ手段を持たなかった本邦個人投資家も、外国為替証拠金取引というベストな手段を手にすることが可能な現在、当取引のルーツはそもそもヘッジから始まったように、本来の使い方をすべきだと感じています。

ドル円に関しては、円買いの要素は今後も複数指摘できますが、残念ながらドルが買われる芽について近視眼的には非常に限定的に思えます。強いて言えば可能性としてドル買い介入程度でしょうか。そのうちには云々・・・という意見には大賛成ですが、その前にどこまで下落するのか、“そのうち”とはいつなのかは『神のみぞ知る』ということをお忘れなくいただきたいと思います。“そのうち”を待っているうちに退場とならないためには、そうなってから…という心構えは必要です。

投資文化では、一歩も二歩も先を行く海外投資家はリスク資産やレバレッジの圧縮をしています。その事実だけは認識いただき対応いただければと思うこのごろです。別に投資はしていないのではなく、レバレッジを押さえたより安全な投資先を選んでいる状況なのかもしれません。


クレジット クランチ【Credit Crunch】

2007-08-28 18:49:06 |   -FX実用相場用語

信用収縮、信用危機などと訳される。

クレジットとは、クレジットカードなどと同じ金銭的信用を意味しており、信用が無くなってゆく事態を指している。

単純に限定的なエリア、業界に留まらず、世界金融不安的な場合に、当単語が多用される感覚がある。今回、良く目にするようになったのは、サブプライム問題に端を発した世界的信用の萎縮連鎖を説明することが多くなったからである。

個人の負債支払い不能→
個人が集団に拡大→
個人負債が貸し出し機関負債の支払い不能→
他にも同様の機関が潜在的にあるのではないか→
特定できないなら貸し渋り→
健全な資金調達も不能に→
経済の血液としての資金循環が停止→
倒産・破綻の連鎖

という最悪のシナリオを回避するために各国中央銀行は、健全な部分へ流動性(=資金)を放出している。詰まった、或いは詰まりそうな血管に対してカンフル剤を打って目詰まりしないよう対応している状況である。

こぼれ話

単語を辞書などで引いていただければ判る話ではあるが、クランチというと「クランチチョコレート」を連想するのは、自分だけだろうか。チョコレートを“噛む”ものだという行動を知ったのは、あれが初めてだったと思う。

噛んだときの、あのザクザク音・・・のことをクランチという、らしい。(お粗末!)


GBPUSD ドル円相場の往復にポンド円はまだ方向感なしも下落要因 水準的に売り場

2007-08-28 13:22:11 |    -ポンドドル

ECBトリシェ総裁の、「金融引き締めは過去の話」的な発言を受け、利上げの可能性を残してきたユーロが軟化し、ユーロドル、ユーロ円共に下落、ドル円も連動して下落を見せました。
その他のクロス円は、ドル円相場が下落したことで概ね円高となっていますが、あくまで連れ安という範疇を越えていないと思います。

さて、各クロスは日足で一目均衡表の基準線まで値を戻し、概ね50%戻しを達成して新たな展開を模索する段階となりましたが、NZDJPYは結果的に38.2%を達成したのみとなり、弱さを露呈している形です。

高金利通貨として代表的な通貨が幾つかあります。特に円金利が低いため金利差として見込めるこれらとの対円クロスペアは、非常に買いのバイアスが掛かり易くなっているのは明白です。

一方で、ドル円の下落に伴い、これらの通貨も下落はしていますが、わざわざ例えばZARJPYで売りから入り、フロー収益をとろうという発想は、限定的となるのは言うまでもありません。

つまり、下落に追随して差益を狙う向きにとって、金利差があればその分スワップは支払となるため、金利差が大きい通貨でわざわざ差益を狙おうとする必要は無いわけです。

したがって今回、安値をつけた後の戻りの局面で、新規の売り取引などは非常に限定的であることがわかります。にもかかわらず、NZDJPYはその他の通貨に比べて戻りきれないという事実は、損失限定の売り決済や、資金の引き上げなど決済に絡む売り圧力が依然として高いという考察が成り立ちます。

勿論、本日高金利通貨の新規売り戦略を目論むわけではありませんが、事実として値ごろ感がまだ出ていないクロス円の新規買い或いはナンピン買いは、回避されたいと思います。

さて、6~7月を掛けて上昇した各クロス円相場ですが、今回の暴落を第一波動とし、そこからの戻しを第二波動と仮定した場合、考えたくありませんが第三波動の押しはかなり深いものがあります。ここから一気に先の暴落で形成した底値を割り込むとは考えにくいですが、第二波動で50%戻しを達成した以上、ここから揉み合いの第二波動を想定したとしても、今の水準は売り場として考慮してもリスクは限定的に見えます。

対円通貨は50%戻しを達成したとはいえ、価格水準的にはもう一段の上昇がありえる位置におりますが、ポンドドル、ユーロドルに関してはこの50%戻しが戻りの限界として、非常に納得行く水準となっています。

特にポンドドルは、よりどころが幾つか見えることから、本日はポンドドルの売りシナリオを考察してみます。

 
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サブプライム問題のコンファームとなるか 今晩の米国指標

2007-08-27 19:22:23 | ☆相場分析-ユーロドル

既に注目を浴びているとの噂が入っておりますが、今夜唯一の経済指標となる米国の7月中古住宅販売件数は、果たしてサブプライム問題がどこまで深刻だったかを確認する指標になりそうだという観点のようです。

中古住宅の主購買者層はまさしくサブプライムローンの借り手であるという推測は、誰も否定はしないでしょう。市場は既に織り込んでいるため、それなりのサプライズがあっても流れを作るまでには至らないと思いますが、果たして7月の時点で既に“貸し渋り”があったかどうかは、やや気になっています。

貸した資金が回収リスクへと発展してのサブプライム問題だとすれば、この段階で販売件数が減っているようなら、かえってマーケットのリスク回避行動は事前に取られていた可能性が指摘されるかも知れず、楽観ムードが漂うかもしれません。この時点でまさかの増加・・・であったとすれば、それはリスク管理の出来ていない、あまりに無謀なローンであったことが浮き彫りとなり、その他の業界でも様々なバーストが発生する可能性を読み取る場合がありえるかもしれません。そんな観点から、今後の指標によっては、増加や改善がそのまま好感されるかどうかはわからない状況がありえそうです。

中古住宅販売件数の前回値6月分は5.75ミリオン 7月の予想値は5.7ミリオンと、5万件の微減という予想のようです。

サブプライム問題では、債権の証券化がなされ欧州などに相当量がばら撒かれていたのが原因で、欧州での連鎖が懸念されているという話もあります。ドルに対して楽観的なムードがあれば、次は欧州売りの番かも知れません。円やスイスは逃避先として選好され、クロス円が円高というシナリオも否定できず、ドル円は意味不明な円高へ引きずられる可能性はあり得ます。

ドルだけの側面で判断するほど単純な為替相場ではなくなりつつあるかもしれません。くれぐれも思い込みだけは回避されたい局面です。


EURUSD 正念場の水準 トレンドなら上昇して史上最高値更新? ユーロも傷んでおり買いに安心感なし

2007-08-27 14:15:18 | ☆相場分析-ユーロドル

快調に上昇し、1.37台が目前に迫っています。

ここまで週足を大きな背景として、ユーロ買い相場を想定しここまで順調に上昇してきました。あくまでドルとの強弱で判断して来ましたが、欧州のレパトリエーションが更に進むのか、ユーロ自体の見極が先行して割高感から調整押しが入るか、微妙な価格水準となっています。

ユーロプレミアム(信用危機によるユーロ金融機関への貸し出し金利の上昇)がかなりの水準に達しているとの報告もあり、通貨高を狙ってこのままユーロを買い進めるにはリスクが高そうな感覚です。

ユーロ円はこのあたりを微妙に感じ取って、既に押しに入っている様にも見えますが、今のところその調整先としてドル円が下落してバランスしている様です。
特段のテクニカル的根拠には乏しくなりますが、1.37台乗せはやや苦しいとの判断で、少ないロスリミットでの挑戦をしてみたいと思います。

本日は、ユーロドル売りシナリオを立ててみます。

 
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USDJPY 薄い中を乱高下の揉み合い 流動性は極端に低下のムード

2007-08-24 19:26:48 |    -ドル円

115.00~50の節目を上に抜けたことから、この2日はドル円上昇の勢いが加速しました。

117円の基準線をタッチ後、不透明感から売り戻しなども入り、結局はこの価格水準を上下しながら、揉み合っています。

基準線が一応は機能していることで、下落の目は維持できています。ただし大底を打って以来の日足の並びは、踊り場的な調整反転にも見えるものの、明らかに短期的な上昇トレンドを刻み始めています。
あまり思い込んだ取引はまだリスクが高いことから、先の価格水準に近づいたところで参入に反対に抜けたところで、ドテンや損切りという作戦が機能しそうです。

はっきりとした流れとまでは言い切れませんが、ユーロ、カナダ、スイスは依然として強めに推移している感覚があります。

大方のクロス円が基準線に達しているところで、高金利でもお馴染み深いオセアニア通貨が戻りきれておらず、クロス全般に再上昇するまでは積極的に買い進められていない状況がわかります。値ごろ感での買いはまだまだリスクが高そうです。

総論としては、まだまだドル円次第で動いているだけの対円クロスなので、神経質な展開が予想されます。

本日は、既に展開予想を上で説明済なので簡単に戦略を説明します。良い週末をおすごしください。

 
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ディスカウントウインドウ【Discount Window】

2007-08-24 12:15:36 |   -FX実用相場用語

米国がサプライズ的に引き下げた公定歩合だが、日本のそれとは違い、政策金利とする日本の公定歩合に相当するのは、FF金利(フェデラルファンド)。

余り聞き覚えの無い各国の金利名称が紙面をにぎわせている。金利関係の知識強化月間となりそうだ。

昨日から話題になっている当用語であるが、正式名はプライマリー クレジットというらしい。金融機関が信用収縮によって資金調達が困難な状況となった際に、FRBが臨時貸し出しする仕組みで、ロンバート金利が適用されるようだ。

サブプライム問題が表面化し、かなり悪い状態が判明。世界の金融不安に発展しないよう先進国が連携を取って、沈静化に挑んでいる。金融信用がなくなるということは、資金を借りたい時に貸してくれない状況を生み、資金繰りが停滞して破産や破綻を招くという連鎖を生む。現在の主な消火活動は、資金を借りやすくしたり、信用の問題は無いのにもかかわらず、中小というだけで貸してくれなかったり、法外な金利でなければ借りられない状況を回避するために、余剰資金をこうした金融機関を中心に放出している。

今回話題なのは、米国の大手金融機関が率先してディスカウントウインドウに名を連ね、ピンチに陥った際の手段としての当方法を積極的にアピールしたことだ。当システムが上手く機能しない一つの理由として、当システムを利用するということは、資金調達能力が低下しているからなのは明白となり、自ら白旗を振って全国にお知らせしているようなものになるからだ。今回は信用的には問題ない大手銀行が利用を発表することで、政府のメッセージを世界に配信したことにもなる。

なお、この記事を書くにあたり、東短リサーチ社の加藤 出氏レポートおよび某欧州系大手銀行の銀行間市場向レポート(非公開)を参考させていただいた。加藤 出氏だが、確か本日付日本経済新聞の公定歩合据え置き記事のところで、次回の利上げ時期予想ついて氏のコメントが掲載されていた。

こぼれ話

ディスカウントといえば、日本人の殆どはディスカウントショップを連想するのではないだろうか。“値引き”を連想する方ならバーゲンの達人といったところか。

金利の世界に足を踏み入れると、この言葉は急に多く聞かれるようになる。日本がかつて土地バブルがはじけた時、日本の金融機関がクレジットクランチに陥った時には、ジャパンプレミアムという言葉が流行った。プレミアムとはディスカウントの反対語である。

FX投資家の多くが興味を持つスワップ金利だが、今の対円ペアの殆どはディスカウントの状態である。外貨を借りて返すとき、借りた分の金利を支払うのが通常の概念だが、外貨金利>円金利の状態での外貨売買は、売りは借りること、買いは貸すことと同じ金融取引になる。ドル円では、借りたドルを売って買った円を貸し、借りたドルを返すためにドルを買い、貸した円を返してもらう際に受取る円から、掛かった金利分を差し引くことで金利分を支払う。

つまり、受け取りの円額が、金利分だけ減ってしまうことになることからディスカウントとなるわけだ。同時に反対の立場ではプレミアムということになるので、使い方には気をつけよう。

お買い物ではディスカウントは大歓迎だが、スワップでのディスカウントは困る。FXで高金利を買っていれば金利差を受取れるが、外貨を買う=買った外貨を貸す ことになるからで、皆さんは外貨の貸し手となっているわけだ。良く考えると凄いことだ!通常、外国の通貨を貸す状況はかなり限定的なはずだが、FXの発達でこんなことが可能になった。

だが、外貨プレミアムに意識が行過ぎると、今回のように変動リスクにやられてしまうこともある。意識なくどちらもおいしい時期は限られていることを再認識しよう。FXの特徴でもあるが、リスクを無くしたければ・・・変動リスクが無い国内円預金しかないことは理にかなうが、円預金は証拠金取引ができない。FXには外国為替取引と証拠金取引の2面性があることを、再考される良い機会ではなかろうか。