外為ガイドブック☆FX取引の基礎や相場分析を解説…五里霧中の相場取引に一筋の光を

外為市場経験者の浅野敏郎が値動きに着目したチャート解説や個人的意見を綴る相場ブログ&用語集!

ドルは買い?売り? ドルにとらわれ過ぎると見え難い展開(後編)

2008-07-25 20:03:11 |    -ドル円

ただ、今回はそれだけに留まらず、金利だけで買われてきた先進国通貨が国内事情を露呈することで、レパトリなどの資金還流という域を越えて、新たに売り込まれるリスクを考えてしまいます。

一気に商品価格が下落するかどうかは、一概に言えるかどうか悩ましいところですが、少なくとも今回の上昇相場で資源高の恩恵を受けていない比較的高金利の通貨は景気の悪化と共に売られる傾向がありそうだと考えています。上手くいえませんが、つまり、この度の資源相場上昇がもたらした効果は、一次産品を主な産業にしている国が潤い(これに該当する国は本当のインフレだと言えそうです)、先進国の通貨高を調整する機会(ドルの下落が際たるもの)を与えてくれたのではないでしょうか。したがって、①既に金利を短期間に下げすぎて売り込まれた米ドルはニュートラルからやや買われ気味に、②これといった裏づけがなく買われてきたメジャー通貨は売られ気味に、③本当の資源国通貨はニュートラルから上昇気味と、国家間の格差修正が暫く続きそうな予感がします。①は既にこなしたとすれば、②、③の傾向が継続すると考えることも出来そうです。

円はというと…対ドルでは中立、対クロスではマチマチであるものの、メジャーなクロス円はストレートの下落影響を受け易いのではと想定していますが、ドル円が今ひとつ方向感が無いだけに、対円は全体的に右往左往という感じ。ストレートの下落圧力が強まれば、クロス円の円買いがドル円にも影響か・・・というところです。

去年の対円暴落のトリガーとなったのは7月26日で本日で丸一年。ここ数日はやや円高気味といってもピークからはさほど進行していませんが(現在は逆に激しく円が売り込まれている状況です)…かの悲劇的テロがあった9・11が毎年近づくとテロが警戒されるように、為替相場にも“一年間”という見えざる影響は存在するのかどうか、週末ということもあり本日の動きが気になります。(了)


ドルは買い?売り? とらわれ過ぎると見え難い展開(前編)

2008-07-25 14:03:30 |    -ドル円

NZDの利下げをきっかけに、コモディティ通貨と原油や貴金属相場への絶対理論が崩れ始める可能性がありそうです。

ドルの弱体化で行き場を失った過剰流動性は、BRICSが代表する第三勢力の台頭によって資源買いの傾向を強めてきました。しかし、ここへ来て利上げの引き締め効果が見え始めた途端にコストインフレによる消費意欲も急激に減退するリスクがあり、景気が一気に冷え込む可能性があります。

元来、さほど経済力があるほうではないNZが実際に資源高騰による恩恵を受けられたかどうかは疑問であり、豪州の動きにあやかってきた側面がありそうです。だとすれば、NZ中銀がとった行動は、非資源国の先行指標となる可能性が十分あり得ます。非資源国といえば、概ね先進国(と、もはや言えるかどうかは別ですが)が当てはまると考えます。

これまで何度か唱えてきましたが、物価指標が上昇したからと強気の判断がなされ、ユーロやポンドが買われた側面がありましたが、実はコストインフレによって増加したに過ぎず、決して内需が好調であった(好景気)訳ではないと思われます。とすれば、このところのドル買いの主要因はレパトリ的な動きとするのが順当に見えます。そう考えると、円投の巻き戻しで、対円通貨は円高となる理由も理解できます。(続)


政府後援企業 GSE (Government-sponsored enterprise)

2008-07-25 00:41:57 |   -FX実用相場用語
サブプライム問題で、その運営難が指摘されている米国政府系住宅金融会社など、アメリカ政府が後援する企業体の総称(翻訳は様々で、政府支援企業あるいは政府系公益機関などもあるようだ)。この米国政府系住宅金融会社は、日本で言う住宅金融公庫のような組織であることは推測できるが、持株会社の形態をとる一私企業であり、政府資本あるいは政府保証があるわけではない。
「スポンサーされた…」という言葉がグレーな響きをもたらすが、公認企業とか指定企業という意味合いが正しいようにも見える。つまり、政府の管理下におかれている企業で、政策遂行のためのエージェント企業とも言えそうだ。

政府系2大住宅金融会社の救済法案が、目を見張る速さでアメリカの下院を通過したことで、上院可決も時間の問題として、このところの信用収縮再燃ムードを沈静化させる効果が期待され、ドル買いに拍車がかかっている一因ともされている。

こぼれ話

この米国政府系2大住宅金融会社が著名なことから、GSEの代名詞的な扱いになっているが、何を隠そう2大会社とは、フレディー・マック社とファニー・メイ社である。
http://www.answers.com/topic/freddie-mac
の一部和訳に留まるが、簡単な歴史背景を記述すると、
ファニー・メイ社は、1938年から1968年に掛けて、米国の第二抵当市場を独占。バランスをとるために、業務の一部を移譲する目的で議会指定を受けたフレディー・マック社が、同市場での競合他社として1970年に創立された。現在はHUD(住宅都市開発省-Department of Housing and Urban Development)の管轄下に置かれている。(訳は怪しいかもしれない…)

ちなみに、フレディー・マック(Freddie Mac)とは俗称で、正式な商号は、FHLMC(Federal Home Loan Mortgage Corporation)。ファニー・メイ(Fannie Mae)も同様で正式商号はFNMA(Federal National Mortgage Association)。無理やり日本語に直せば、フレディーは連邦住宅貸付抵当公社、ファニーは連邦住宅抵当金庫と訳されるケースが多いようだ。

ハリケーンにも人名をつけるほど“名づけ好き”で有名な米国だが、確かに略字だけだとカブってしまうケースも多いのだろう。また、GSEとて発音する人によってはBSEと聞こえなくもなく、確かにややこしい…。

ドル買いかその他通貨のロング清算か?ポンドの判断は微妙

2008-07-24 01:48:52 |    -ポンド円

ドル円が思いのほか上昇しており、クロスを中心に円安相場が継続しています。

その中でも目を見張るのがポンド円で、今更何を根拠に・・・という印象が先立ちます。
ユーロが原油相場を反映してか、弱含むまでは想定の範囲ですが、死に体ともいえなくも無いポンドが、相対的に支持を得ているようですが、結末はユーロを追いかける展開を予想しています。

結局は、相場の調整と言ってしまえばそれまでなのですが、史上最高値を記録したユーロ円と、はるか彼方で推移していたポンド円を比べれば、確かに値ごろ感はポンド円にあり、金利差の魅力も、ユーロ円に比ではないと思います。

しかし、本日発表があったMPC議事録を見ても、個人的にはニュートラルとしか見えず、ポンドを買い進める感覚がわかりません。対ドルでも強い状況ですが、ポンド円の買い意欲に連れた動きだと言わざるを得ない状況です。

現在の金融体制は確かにドルが中心であり、それを否定した時点でシステムは崩壊することを盛り込まなければいけないと思いますが、普通の通貨程度に存在するのであれば、それも有りだと思います。ポンドが強い理由は売られすぎた反動の範囲としか見えず、本気でポンドを買いに走っているとすれば、それこそドルを対円で買っている場合では無いとしか思えません。2.00以上は基本的にオーバーバリューとしか思えず、これ以上上昇するようであれば、円は対ドルで2桁程度にいないことには、お話にならない気持ちで相場を見ています。

酔っ払いの走り書きを失礼致しました。


ECBの25bp利上げが仇か!出来レースに踊った挙句・・・

2008-07-16 02:44:16 |    -ユーロ円

ご無沙汰となりました。
本業がやけにバタバタと忙しくてまったく更新ができず、変なフラストレーションが溜まっています。

欧州売りの危機感にさいなまれて久しい今日この頃、相場の概略はチェックしながらも、このところのレンジ相場に、「どうせ上がっても下がっても、夢を見ると怪我の元・・・」とばかりに、ロマンの欠片も無い相場に辟易としていました。

相場が細っている感覚は既にお伝えしましたが、心から実感していた昨今、本日の値動きに再度ロマンを求める価値を見出しました。

テクニカル的な詳細・・・となると、既に思考停止状態のフランチェン投資郎としては無理があり、コメントのし様も無いのですが、取引日が切り替わってもし、それでも他力本願的な本邦投資家が円売りを持ち込むようであれば、対抗したいと思う気持ちでいっぱいです。

チャートポイントとなる105.50円を割り込んで104円台前半に至った本日の値動きは、ドル調整を物語るものと個人的に捉えています。クロス円主導による円高を散々提唱してきており、ドル売りが起爆剤となった動きには心から納得は出来ませんが、かの105.50円水準を今回上抜け出来なければ、新た買いによる底支えは限定的だと思います。つまり、かなり痛んでいる相場状況で、買い支えとなるエネルギーの期待はしにくいと考えます。

 ユーロ円の下落度合いを鑑みると、クロス円が主導で円高・・・という概念はあながち間違っておらず、順調に行けばドル円での100円割れというステージに発展する可能性を感じています。

メジャー通貨金利が据え置かれる中、ECBの利上げ騒動で理不尽なユーロ買いが先行した形となりました。最後の望みに賭けるには充分なイベントでしたが、景気を無視した域内調整とも見える前回の利上げは、もしかすると欧州経済にとって歴史的な過ちとして、後世に伝え次がれる可能性まで視野に入ってきます。

元来、ECBのポリシーは経済の軽視と言う点は周知の事実であり、その構想の下で自給自足という経済圏の発想がありました。焦点は常にインフレ(金利)と財政赤字であり、前回の利上げはまさに域内への配慮が主原因だったと見る意見は変わりませんが、その代償として欧州に流れた国際資本は、前回の利上げにより相当な不信感を抱いていると思われます。それが結局、例えばここ数日の欧州株売りにつながっているというのは無理でしょうか。

ここまで、インフレインフレで流れてきた国際世論ですが、何故か収束に関しても、それ程先でもない2009年前半辺りにポイント置いています。インフレ原因は概ね原油相場だとサミットでも言う程であれば、つまり丁度そのころには原油価格は落ち着いているとの見通しがあるからだと思ってしまいます。

ファンドへの規制なのか、投機状況の透明化なのか、代替エネルギーなどの歴史的発明が控えているのか、その根拠は不明ですが、原油の増産に前向きな産油国の一部のコメント内容を見ても、やはり何故か2009年前半がターゲット達成へのマイルストーンとなっています。つまり、原油価格の下落はユーロの下落を示唆するとすれば、ここからのユーロ上昇は非常に限定的だと考えざるを得ません。

最後の望みなのか、セールストークに乗っているのかは不明であるものの、旺盛なユーロ買い意欲がいぜんとして見えていますが、例えソブリン系ですらユーロ買いに対して躊躇しそうとしか見えない現状で、たったの25bpに夢を託す行為の方がリスクに見えます。

余談ですが、原油の高騰で日本の漁業がピンチです。一方で、海外では全体的にお寿司など生の魚を中心とした日本食が大ブームのようです。つまり、鮮魚に対する需給のバランスは今後も乖離することが予想されることから、これからの投機対象は、原油でもなく、金でもなく、ユーロでもなく・・・マグロなのかもしれません



ユーロが原油相場を牽引?非常に懐疑的

2008-07-01 02:05:33 | ☆相場分析-ユーロドル

ドルの弱い材料を受けた形で、ユーロ、ポンドともにまさかの回復を見せています。

ドル円はさすがにドル売りに押され、105円台をわれそうな局面もあったようですが(全然相場を見ていられませんでした・・・)、さすがの105.50割れに勢いが付いたものの、買いそびれていた筋の需要もそこそこのようです。

何も買いにくい地合いの中、ユーロの25bp利上げが実しやかに織り込まれて伝えられています。個人的には非常に否定的なのですが、周辺国家のムードをみると対EUR域内への憂慮も含め、ありえるかもしれません。

しかし、概ね牽制的な利上げという理解がコンセンサスにもみえ、本腰での引き締めととらえる向きは限定的のようです。万が一、原油相場がこのまま高留まるのであれば、ユーロ高はインフレ抑制に機能した・・・という先の高官発言のように、利上げの目を薄くしてくれると思います。

一方で、原油先物の相場を久しぶりに眺めて見ましたが・・・、個人的には危機感が募っています。相場が上げているにも関わらず、出来高が縮小している現状は、基本的にダイバージェンスといわざるを得ず、下落のシグナルを発しているように見えました。

今週は、CFTCとECBの金利政策発表が重なると言う、日食のような状況を鑑みると、原油下落=ユーロ下落、ECBの据え置きまたは25bpの僅かな利上げ=ユーロ下落、原油高留まり=インフレ抑制期待で据え置き=ユーロ下落・・・という、どっちに転んでも思惑買いの調整は入りそうな気がしています。

増してや、週末越えともなると、今週末の終値次第では、月曜日は大きなギャップを空けて、欧州売りとなりそうな場合もありえると見ています。ドル買いということで、ドル円が底堅ければ良いのですが、何度もうなされているように、クロス円の売りによってドル円も頭が重い展開も充分にありえます。

一時、資源国通貨としてもてはやされたカナダや豪ドルも対円でさほどの勢いも無く、チャート的には非常に弱い形をしています。こちらは既に原油高=資源高の構図は崩れているようにも見え、逆になぜユーロ円が史上最高値を更新するに至ったかの方が、疑問的な印象です。非常に長い時間をかけてN波動をつくったようにも見えますが(計算はしていませんので、悪しからず)、達成感もある・・・と言えなくもありません。

ドル円が持ち直しているようですが、106円台後半にまで伸びるようなら、戻り売りにチャレンジしたいところです。50銭のバッファーが見込めるのであれば、106.65辺りの指値売り、STOP107.20で構える戦略が浮かびます。本日最安値辺りの105.10でTPでも、PL比は3対1で、悪くありません。

本日から7月です。今年も後半戦となりました。
”為替投資郎”も、なかなか時間がありませんが、また思いついた時には、メッセージを送れるようベストを尽くしますので、応援をよろしくお願いします。