バブル崩壊後、金融機関の経営危機が表面化し、預金者は自身の預金に対する不安感が台頭し、一部取り付け騒ぎが起こるなど、金融機関をさらに苦しめる自体が散見された。政府はこうした混乱を回避するために「ペイオフ」制度を凍結し、全額保護を国策として掲げ一難を切り抜けた。金融混乱が落ち着き、金融機関の危機も回復したことを受けて、平成14年度より段階的に「ペイオフ」を再開し始め現在に至っている。
(詳細は預金保険機構 http://www.dic.go.jp/qa/qa.html)
サブプライム問題に端を発した世界金融危機だが、このところの先進国対策はまさに日本が歩んできた道をたどっている。
例えば、危機前の米国における同様な機関のFDICでは、保護金額は10万ドルが上限であったが、先日米国政府が採決した金融安定化法案では、25万ドルに上限を引き上げ、さらには時限的に「ペイオフ凍結」という流れを示しており、シナリオとしては日本のバブル崩壊期と同じとなっている。
こぼれ話
外貨資産は預金保険の対象外であることは、皆様ならご存知ですね。
さて、前代未聞の世界同時金融混乱は、次第に実態が明らかになるにつけ、危機的な状況にあることが判り、恐慌に発展しかねないほどとなっています。まずは信用創出のファンダメンタルともいえる預金確保のためには、預金者の精神的不安を鎮めることで無用な引き出しを押さえることは重要な対策です。
かつて、日本が同様な状態に陥ったとき、そのウイルスは周辺のアジア全体に拡大し、アジア通貨危機を引き起こし、マレーシアは金融市場を封鎖して政府の管理下に置いたことはまだ記憶に新しいと思います。米国の危機は周辺国家となる南米を蝕み、欧州の危機は東欧など周辺国家となる新興国を蝕むこととなっています。
周知のこととは思いますが、アイスランドは非居住者の銀行口座を凍結して資金の流出を阻止。ハンガリーは流出を食い止めようとこの混乱期に何と利上げを行った。新興国の混乱はまだ暫くは収束しそうにありません。
一方で、これまで高金利政策をしてきた一部の先進国は、劇的な利下げスパイラルに突入しているように見えます。前述の理論からすればかえって無謀に見える選択ではありますが、いわゆる不良債権処理的な機能は有するように思います。つまり、少々の利下げで退散する資金を振り払うことで、実態把握が可能となるかもしれません。無用な高金利政策はいまや通貨安の指標としての視点しかなく、逆に本当に利払いできるのか…という懸念の方が強いのではないでしょうか。時間が経てば経つほどその利払額は膨大になり、余計に国家財政を圧迫することは明白です。
「高金利通貨は価値が低い」という小学生レベルの基礎知識が今真価を発揮している。(為替投資郎)。