外為ガイドブック☆FX取引の基礎や相場分析を解説…五里霧中の相場取引に一筋の光を

外為市場経験者の浅野敏郎が値動きに着目したチャート解説や個人的意見を綴る相場ブログ&用語集!

日銀追加緩和以前のデータは参照外…崩壊相場の前データとして記憶に留める-IMM分析

2014-11-03 23:27:29 |   -【特集】IMM残高分析

こんにちは、今週は久しぶりにIMM取組残高分析をお届けします。

もう既に周知の事ですが、先月末10月31日の日銀金融政策決定会合で追加緩和が決定し、市場のサプライズを誘ってドル円は急騰しています。その2日前にはFOMCを控えていたなど、本日番組で使用する10月28日締切のIMMデータは大きな相場変動前のものになります。
今の相場を見ればもう答えは出ている状況の中、将来的な展望を探る意義は既に半減していますが、2週前のデータは急落明けのデータだという事も含めて、大きな変革以前のデータを把握しておくことは今後意義を持つ可能性も有り、一応は確認しておきたいと思います。

ドル円の相場推移と対円におけるドルのネットポジション変化
先ずは、ドル円の相場推移と対円におけるドルのネットポジション変化のグラフです。

前回のデータは、ドル円が105円台へと一時急落した動きを含んでおり、ドルの買い越しが急減していますが、締切までの短期間でかなり反発したこともあり、折れ線グラフが示す毎週火曜日時点の終値推移にはあまり影響が出ていません。
そして今回のデータ締切までの一週間で、相場は底堅く推移した一方、ドルの買い越しは僅かに減少し、7月下旬の水準に迫る67,399コントラクトとなっています。
単純な相場比較だと、当時は102円台中盤と5円以上も低い水準であることや、僅かでも買い越しが減少する中で、相場は逆に上昇するなどダイバージェンスも見られています。

この動きだけを見ると、IMM筋は安値からの反発地合いで、手仕舞いを進め気味だったことが判りますが、一方で逆行する相場に違和感を感じていたはずであり、日銀のサプライズが無くてもドル買いに転じていた可能性はあったと推測します。次回のデータで買い越しが10万コントラクトに乗せるような動きになっていなければ、IMM筋は今回の日銀サプライズに乗り切れていない可能性も有り、下値に不安を残す結果になるかもしれません。

各通貨別ネット残高推移
次に、各通貨のネット残高のグラフです。

ここから明らかなのは、円を除けば各通貨の売り越しが継続する展開だったことは明白です。言い換えると、少なくとも28日までは円が独歩高だった構図が伺えます。

前回データと比較した各通貨のネット残高変化
続いて、こちらのグラフは、前週と比較した各通貨のネット残高の変化を、3週間追跡したものです。

このグラフから各通貨の売り基調は、極端ではないものの継続し、円だけが買われていた状況が良く判ります。

先ず円ですが、ブレークダウンを見ますと、前回のデータで円買いへシフトした後、今回は円売り円買い共に手仕舞いが見られています。FOMCを控えてリスクを減らす行動が優先されていた様子がうかがえます。この間、相場は最安値から一時3円近い反発をしていますが、少なくともIMMの買戻しではなかったことが明らかとなりました。

次にユーロですが、ブレークダウンを見る限り順調にユーロ売りだけが増加するという極めて安定した売り基調が確認できます。しかし、実際の相場は一時1.28台後半まで急反発する局面を挟んでおり、もしかするとそうした局面では買戻されていたのかもしれません。しかし、結果を見る限り、直ぐに売り直しているか、或いはこうした反発局面では落ち着いて売り増しが出ていることになり、IMMのユーロ売りはかなり腰が入っていることが伺えます。

続いてポンドは、15日の乱高下を含む前回のデータでは一段と手仕舞いが進み、ポンドからの撤退が顕著に表れていました。その後、今回のデータまで相場は方向感なく上下する中、やや市場は拡大し方向性が出る兆しが見られています。微妙ではありますが、3週前のデータと比べるとポンド売りにシフトしており、締切以降のFOMCを起点にドル買いへ進んだ相場を暗示していたことになります。

最後に豪ドルです。
前回の番組で受動的にしろ、ブルベアではベアが急拡大したことをお伝えしました。その後、2週間が経過した訳ですが、前回は殆ど動意が無く、今回はブルとベア共に増えて市場規模は拡大したものの、結局ブルベアには大きな変化は見られず、ブルが1ポイント回復するに留まっています。その間の相場は相変わらず揉み合う中、どちらかといえば底堅く推移しており、ブルベアとは相容れない動きをしていました。締め切り後の相場はここまで反落気味に推移しており、ブルベア通りの展開となっています。


総括と考察
それでは総括です、といっても、
今回は円相場が決壊し、次回のデータはドル買いと各通貨の売りで一色に染まっていることは想定でき、今のところ各相場はドル買いで推移しています。
ただ、円以外はその動きも小幅にとどまっており、円相場に合わせて売りを積み上げている程度に留まっており、これといった方向性を示唆する通貨は確認できませんでした。

ドル買いをキーワードにした場合、強いて言えば、ポンド売りはブルベアから見てもまだ伸び代があるのは事実である一方、取り上げた通貨の中でブルベアと相場変動が伴っていないのは豪ドルという事になります。
豪ドルは対ドルで考えても売り越しにはコストがかかり、相場推移が伴わなくなると収益が圧迫される宿命にあり、揉み合い始めて既に一か月以上が経過する中、下落再開とならなければ買戻しというシナリオも想定しておきたいと思います。

円は次回のデータで、どこまで円売りが進んでいるかでイメージは異なりますが、今週末はアメリカ雇用統計を控えており、その結果次第であることは間違いなさそうです。


IMM分析番組を最大に楽しむ方法

(1)ドル円の相場推移と対円におけるドルのネットポジション変化
http://blog.goo.ne.jp/gaitame-univ/e/59b225ac8b7014b34ab9c5210ad0c194

(2)各通貨のネット残高
http://blog.goo.ne.jp/gaitame-univ/e/7cb368373c8e9008ae738dd9750d06d5

(3)前週と比較したネット残高増減推移
http://blog.goo.ne.jp/gaitame-univ/e/c631b370f8906b33a7c8d81569bbcecd

(4)各通貨のネット増減比較をブレークダウンする
http://blog.goo.ne.jp/gaitame-niv/e/18a50c30c204d61aa068d50ceb619b22

 


主要通貨は市場規模拡大傾向にあり変動を示唆…円とユーロは売り継続の兆し-IMM分析活字版

2014-08-27 15:26:57 |   -【特集】IMM残高分析

こんにちは、今週のIMM取組残高分析をお送りします。

本日番組で使用する最新データは、8月19日のIMM市場が終了した時点のもので、対象期間はちょうど日本のお盆休暇を挟む形になりました。ドル円相場は、8日の急落で底を叩いた格好となり方向感なく揉み合いで終わっています。前週は番組をお休みしたことで、今回は8日の動きを含んだ前回のデータと見比べることになりますが、IMM市場にはどんなポジション変化があったのか、早速、投機筋のポジションを表すとされる、非実需のデータを見て参ります。

<ドル円の相場推移と対円におけるドルのネットポジション変化>
先ずは、ドル円の相場推移と対円におけるドルのネットポジション変化のグラフです。

折れ線グラフが示す毎週火曜日時点の終値推移は、この3週間概ね同水準でした。
8日の急落も一時的だったことから、終値に影響は出ていませんが、さすがにドルのロングは一時的に減少していました。しかし最新データまでの間に買い直されており、相場は揉み合いで終わっていますが、その間にはロングが仕込まれていたことが判ります。

<各通貨別ネット残高推移>
次に、各通貨のネット残高のグラフです。

ユーロと円のみが大きく売り越される構図は、依然として続いています。
2週前では若干手仕舞う動きになりましたが、翌週には回復し、ユーロは売り越しの動きを伸ばしています。豪ドル相場は底堅い揉み合いでしたが、その間にロングは若干伸びており、定位買い越しが維持されています。
意外だったのは最新データが締め切られた19日終値時点で、1.6615だったポンドドル相場は、3週前のデータが始まる7月30日寄付き時点の1.6942から、300ポイント以上下落していたにも関わらず、少ないながらもネットは安定してロングを維持していたことです。
それでは次に、これらの通貨を中心に詳細を見てみましょう。

<前回データと比較した各通貨のネット残高変化>
こちらのグラフは、前週と比較した各通貨のネット残高の変化を、3週間追跡したものです。

先ず円ですが、この3週間は買い越しと売り越しが交互に現れ方向感が無い状況でしたが、概ね相場の動きに準じた変動であり納得の範囲です。ブレークダウンを見ますと、8日の動きを含んだ前回データは市場規模を縮小しながら円高方向へシフトしましたが、売り越しの手仕舞いが中心だったことが判り、今回はそこから規模を拡大させています。相場は締め切り直後からドル買いが急伸しており、拡大した市場は結果的に円売り側へシフトしていることでしょう。

次にユーロですが、こちらも方向感に欠ける展開が続いたようですが、明らかに売り越しが優勢であることが判ります。ブレークダウンを見ますと間のデータでは市場規模が縮小しており、僅かな買い越しはたんなる結果論だったようです。今回のデータは再び市場規模を回復し売り越しは3週前を上回っており再び売り越しへと動き始める兆しが伺えます。実際、この時点で相場は既に8月上旬の揉み合いを下に放れていましたが、ロングはまた投げられた様子も無く、その後の下落で恐らくユーロ売りへとシフトしているでしょう。

続いて問題のポンドですが、増減を見る限りこちらも方向感は無く、見た目から3週前の売り越しが延長されたに過ぎない印象です。ブレークダウンを見ますと、真中のデータに見られる手仕舞いを挟んで、3週前の市場規模を拡大した形でした。これだけを見ると相場は揉み合いを連想せざるを得ませんが、実際は300ポイント以上も下落していることを考えると、やはり今回の下落は非常に不透明であることを裏付けています。ブルベアも買い越しが過半数を維持しています。

最後に豪ドルを簡単に見てみます。こちらは過去2週の売り越しを調整した形です。ブレークダウンは、間に調整を挟んで再び市場規模を拡大しています。買い越す動きがやや優勢ですが、ここからどちらへシフトするのか、まだ答えは出ていない状況です。ブルベアは買い越しが7割近く在り、上昇見通しが優勢ですが、その割に明確な上昇相場になっていない部分は気になっています。

<総括と考察>
さて、繰り返し違和感を訴えてきたポンド相場は、IMMもロングのまま、本日で1.65台中盤と7月15日のピーク1.7190から既に650ポイント近く下落しています。もしかするとその後、ブルベアではスクエア程度になっているかもしれませんが、最も偏っていた6月17日締切データのブルベアからブルが13%減少した程度に留まり、ポジションの単純比較でもロングが3万コントラクトの減少、ショートが1万コントラクトの増加程度で済んでおり、下落相場を正当化しにくい状況は継続しています。

英国経済の失速でBOEの利上げ見通しが後退したのが下落根拠と言われる中、議事録で2名の委員が据え置きに反対し利上げを主張していた事実が無視されました。確かに現在の地合いと議事録との時間差は否めませんが、データ上の矛盾は恐らく何れはどちらかに解消されるでしょう。

ポンド安要因として、市場ではあまりクローズアップされていませんが、先週末にも日本のTV番組で特集されていたスコットランドの独立騒動が多少は影響しているかも知れません。市場での扱いが薄いこと自体、基本的には独立は在り得ないと結論されているのでしょうが、可能性として一部の資金逃避が起きているのが一因と言う見方もできます。逃避先として今のユーロは適さないことから、一部は豪ドルなど同じコモンウエルズ通貨にシフトしているとすれば、豪ドルの不自然な底堅さの要因にも繋がり、納得がゆきます。

いずれにしても、何かのポンド不安が解消されれば一気に買い基調へ転換する可能性は高く、経済指標の改善やBOEの姿勢等に加えて、注目度は低いながらも、独立の否決がそのきっかけになる可能性は皆無ではない事を覚えておきたいと思います。その可否を決める国民投票は9月18日に行われるという事です。


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(1)ドル円の相場推移と対円におけるドルのネットポジション変化
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円の売り越しが一段縮小し、買い越しは微増で円高を示唆するも動きは逆-IMM分析活字版

2014-07-29 16:14:04 |   -【特集】IMM残高分析

こんにちは、今週もIMM取組残高分析活字版をお送りします。

今回の番組で使用する最新データは、7月22日のIMM市場が終了した時点のものです。
締切までの過去1週間の為替市場はユーロ安が一段と進む中、ドル円相場は、101円台後半から前半への下落となり、前週の上昇を帳消しにする動きとなりましたが、安値更新とはならず、ちょうど半値付近まで反発して引ける展開でした。値動きから予想されるIMMポジションは、あまり大きな変化は期待できませんが、実際はどうだったのか早速、投機筋のポジションを表すとされる、非実需のデータを見て参ります。

<ドル円の相場推移と対円におけるドルのネットポジション変化>

先ずは、ドル円の相場推移と対円におけるドルのネットポジション変化のグラフです。

折れ線グラフが示す毎週火曜日時点の終値推移は、前週と殆ど同じ水準となり、大きな変化は期待できない状況でしたが、ドルのネットポジションは買い越しが53,916コントラクトと、前週から9000コントラクト近くも減少する結果は意外でした。これは2012年10月23日週にドルが買い越しに転じ、そのまま9万コントラクトを越えた以降の間で、本年5月20日週の53,787コントラクトに次ぐ低い買い越し額になっています。

変化だけを見ると円高を連想し、実際の相場も一時は前週安値を試す101円前半まで下落しており、少なくともデータ締切時点の地合いは、円高を見据えた対応だったことが判ります。しかし、買い越しはピークに比べると既に5分の2程度に縮小しているにも関わらず、相場は殆ど水準を変えていない状態は不自然であることには変わりありません。

<各通貨別ネット残高推移>

次に、各通貨のネット残高のグラフです。

ユーロと円のみが大きく売り越され、その他は買い越されている構図に変化はありません。
スイスが僅かな売り越しを維持しているのはユーロの先安観が継続している現れでしょう。
細かく見ると、円売り傾向が継続した今回は、その度合いがやや加速した様子や、ユーロの売り越しが大きく加速したこと、そしてポンドの買い越しを調整する動きが強まったこと等が判ります。

<前回データと比較した各通貨のネット残高変化>

続いてこちらのグラフは、前週と比較した各通貨のネット残高の変化を、3週間追跡したものです。買い越し高と売り越し高の詳細な変動など、このグラフと一緒に見て参ります。

先ず円ですが、
先週に続いて円を買い越す動きとなり、度合いを強める結果でした。ブレークダウンを見ると、前週に残高規模を縮小し市場から撤退するムードを見せた地合いから、円買いへと明らかにシフトしたことが判ります。ここまで一貫して懸念してきた円高へのセンチメントが証明される結果でした。ブルベアも円のロングが15%に回復しています。

次にユーロですが、
売り越しが急伸したことが判ります。ネットで2万コントラクトを越える動きは明らかに強いものですが、ブレークダウンを見ても、買い越しの取り崩しは限定的であり、売り越しの純増による結果であることが判ります。買い越しと売り越しを合せた市場規模は20万コントラクトと圧倒的に大きいユーロが一度動き始めると、逆になかなか止まりにくい側面があるはずです。ブルベアはユーロのベアが前回の67%から72%へと急成長しています。

前回調整売りの度合いを緩めたポンドは今回、
再び売りを強めたようです。ブレークダウンを見ると、ポジションを縮小したのは買い越しのみならず、売り越しも僅かに手仕舞う動きとなり、ポンドの市場規模全体が縮小した形となりました。それでも買い越しがネットで1万コントラクト以上縮小した事実は比較的強い動きではありますが、相場は1.71台中盤から1.70台中盤へ軟化した程度で留まっているのは、地合いそのものが強い可能性は否定できず、一旦縮小した市場がどちらへシフトするのか、注視したいと思います。

最後に、高金利通貨としての色彩が強い豪ドルは、
その割に方向感が出ていません。ブレークダウンを見ると、買い越し売り越し共に残高が増えており、揉み合う中でも積極的な状態にあることが判ります。これで3週連続して市場規模が拡大しており、次にシフトする方向が目先のトレンドになる可能性は高いように思われます。

<総括と考察>

さて、締め切り後のドル円相場は、意外にも円安方向へと進んでおり、積み増した円買いが手仕舞いにあっている状況は推測できる範囲です。問題なのは、円買いが進まない理由として言えることが、アメリカの株式市場が強い状態を維持している程度しかなく、特に円買いを否定するような材料は見当たらない、という事です。

現在の円安は、データに反した動きであることは、こちらのグラフでもよく判ります。
円買いが殆ど増えていない状況に加えて、円売り残高はピーク時の半分以下に縮小しており、それでも全く円高に振れない現状は、どんどん不気味さを増しています。

こうした動きを見ると、本邦機関投資家がドル円を買い支えているとの噂は真実味を帯びており、もし、市場がドル買いで同調した際の動きは大きくなる可能性も否定できなくなってきました。いずれにしても、次にどちらのポジションが増え始めるのかで目先の方向が見えてくることは明らかになりつつあり、引き続き残高の動きを注視したいと思います。


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(1)ドル円の相場推移と対円におけるドルのネットポジション変化
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(2)各通貨のネット残高
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(3)前週と比較したネット残高増減推移
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(4)各通貨のネット増減比較をブレークダウンする
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円安地合いとは言えない中で円の買い越しが一段と減少し遂に4桁入り-IMM分析活字版

2014-07-23 09:55:13 |   -【特集】IMM残高分析

こんにちは、今週もIMM取組残高分析活字版をお送りします。

今回の番組で使用する最新データは、7月15日のIMM市場が終了した時点のものです。
ここまでの1週間の為替市場はユーロを除くとほぼ小動きに終始した中、ドル円相場は、102円台前半を付けた後の101円台後半から始まり、101.06まで下落したあと再び101円台後半へと反発するという往来相場でした。
このところ101円台で方向感の無い小幅な上下を繰り返していますが、IMMポジションは今回、どんな変化があったのか、早速、投機筋のポジションを表すとされる、非実需のデータを見て参りましょう。

<ドル円の相場推移と対円におけるドルのネットポジション変化>
先ずは、ドル円の相場推移と対円におけるドルのネットポジション変化のグラフです。

折れ線グラフが示す毎週火曜日時点の終値推移は、前週と殆ど同じ水準となりましたが、ドルのネットポジションは買い越しが62,948コントラクトと、前週から3000コントラクト程度、減少する結果でした。変化だけを見ると円高を連想し、実際の相場も一時は101円割れに迫る動きはありましたが、詳細はどのようになっていたのか、後程掘り下げたいと思います。

<各通貨別ネット残高推移>
次に、各通貨のネット残高のグラフです。

相変わらず、ユーロと円が圧倒的に弱く、その他は強い状態です。スイスだけはユーロに連動し若干弱い立場を維持し、カナダやNZドルは通貨高の傾向を徐々に強めています。ポンドは一時の買い越し残高を減少させる傾向を示しており、相場が高値圏で揉み合っているように、調整が優勢となっている模様です。

<前回データと比較した各通貨のネット残高変化>
こちらのグラフは、前週と比較した各通貨のネット残高の変化を、3週間追跡したものです。買い越しと売り越しの変動など、このグラフと一緒に詳細を見て参ります。

先ず円ですが、変動にトレンドは見えず、今回は先週から円を買い越す動きとなりました。ところがブレークダウンを見ると、実際に円の買い越し残高は減少しており、売り越しの減少が上回ったことで結果的にネットでは買い越しに作用したことが判ります。市場規模はロングショート共に減少しており、円の人気離れが進んでいる状況です。
ブルベアは依然として買い越しが11ポイントに留まるなど、売り越しが圧倒的な状況に大きな変化はありませんでした。

ユーロは1.3600という節目に差し掛かり、決定的な方向感は出ませんでした。ただ、ブレークダウンからは、反発見通しと続落見通しが互いに盛り上がりを見せたことが判り、市場規模はここ3週間で最大に成長しています。
ブルベアはユーロのベアが1ポイント落とす結果となり、反発見通しが強かったとの推測が成り立ちそうです。

長期間に渡って強い立場を維持していたポンドは、3週前との比較でかなり売り越しを減らした以降も、売り越しを継続していました。ブレークダウンでも2週連続して僅かに売りへシフトしていますが、上昇を諦めた買い越しの手仕舞いと言うより売り越しが少しずつ積み上がっていることから、目先の調整下落を見越した動きに見えます。
ブルベアはポンドのブルが1ポイント減少しています。

その他、買いにトレンドが見えるカナダドルは、前回市場規模を拡大する動きになりましたが、ブレークダウンを見る限り、その決着はカナダのブルが寄り切ったようです。
ブルベアはカナダ買いにシフトしており、前回からブルが2ポイント伸ばしています。

また一時売り越しが急増して謎となっていたNZドルは、その後買い越しトレンドを維持しています。ブレークダウンからは売り越しが徐々に手仕舞いとなっており、下落見通しは後退している様子が判ります。ただ、買い越しの積み上がりは目立っておらず、15日の段階で上昇見通しはさほど強くなかったと推測できます。

<総括と考察>
さて、長い間揉み合いを継続しているドル円相場は、さすがに興味の対象から外れてしまった印象が強く、僅かに上下するだけでロング・ショート共に手仕舞う動きが優勢です。

ブルベアの過去1年間の推移を示すこちらのグラフも、対象期間の中では最も小さい市場規模を記録するに至りました。もしこの状態が目先のスクエアであると仮定した場合、ここからはどちらにもある程度は動きやすくなる可能性が在り得ます。ただ、既に9対1と言う極端な売り越し状態のまま、売り越しが更に積み上がったところで決して健全な状態ではありません。

一方、この3週間の買い越しの減り方は興味が無くなっただけでは済まされない、確信に近い円高否定へのメッセージにも見えます。一部には本邦機関投資家の買い支えが噂にもなっており、この辺りが多少の背景になっているのかもしれません。依然として出口が見えないドル円相場ですが、動かない時間が長ければ長い程、動くまでの時間は短くなっているはずであり、油断せず細かい動きを注視したいと思います。
その他、弱い通貨を売り強い通貨を買うという王道を言えば、ユーロ豪ドルやユーロポンドなどをうるという選択肢が無難に見えています。

 

IMM分析番組を最大に楽しむ方法
(1)ドル円の相場推移と対円におけるドルのネットポジション変化
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(2)各通貨のネット残高
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(3)前週と比較したネット残高増減推移
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(4)各通貨のネット増減比較をブレークダウンする
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アメリカ雇用統計をこなしたデータは手仕舞い中心のなか、円買い縮小は意外-IMM分析

2014-07-15 13:39:18 |   -【特集】IMM残高分析

こんにちは、今週もIMM取組残高分析をお送りします。

今回の番組で使用する最新データは、7月08日のIMM市場が終了した時点のものです。アメリカの独立記念日明けとなり、あまり大きな変化は期待できないものの、繰上げになった雇用統計の結果は反映されています。

さてこの間のドル円相場は、前週に101円台前半まで下落した相場から、雇用統計発表で102円台前半まで上昇したものの、週明けには売り戻されて、結局は往来相場となっています。このような値動きをした後は、短期のポジションが振るい落とされて、意外と明確な変化が見られる場合もありますが、今回はどんな変化があったのか、早速、投機筋のポジションを表すとされる、非実需のデータを見て参りましょう。

<ドル円の相場推移と対円におけるドルのネットポジション変化>

先ずは、ドル円の相場推移と対円におけるドルのネットポジション変化のグラフからですが、折れ線グラフが示す毎週火曜日時点の終値推移は、5週連続して僅かずつ下落する流れとなり、ドルのネットポジションは交互に増減を繰り返しながら、減少のトレンドを作っています。
今回のドルの買い越しは、66,375コントラクトと、前回強めに減少した動きから、1万コントラクト弱のドルが実質的に買い戻される結果となっています。この間の値動きは先にも見たように往来相場のなかでドル買い円売りが勝ったことになりますが、気になる詳細は後程、見てみましょう。

<各通貨別ネット残高推移>

次に、各通貨のネット残高のグラフです。2弱4強の構図に大きな変化はありませんが、円とポンドの売り越しが比較的強かった一方、カナダとNZドルの買い気が復活している結果となり、買われた2通貨に関してはトレンドを作っている様子が判ります。

<前回データと比較した各通貨のネット残高変化>

こちらのグラフは、前週と比較した各通貨のネット残高の変化を、3週間追跡したグラフです。

先ず円ですが、前週の買い越しから大きめに売り越しへと転じています。ブレークダウンを見ますと、意外にも売り越しが増加した主要因は、買い越しの手仕舞いでした。相場が往来相場だったことを考えると、前週の下落で増えた円買いは上昇局面で投げられたか、返しの下落相場で押し目で円を売り戻す動きがあったようです。円の売り越しは3週連続して大きな動きは無く、円の売り越しポジションは半ば固定された反面で、最近の相場変動は円を買い越す動きがどうだったかに準じているようにも思えます。ブルベアは円のロングが13%にまで減少しています。

ポンドも、買い越しから売り越しへと転じています。ブレークダウンでは買い越しの手仕舞いがその主な要因だったことが判ります。ただ、相場の方は高値圏で揉み合う展開だったことから、戻り売りで残高を圧縮していたことになり、慌ててロングを投げたような動きではありません。ブルベアは前週70%までブルが押しており、4ポイント減少する結果でした。

ユーロは、殆ど動きが無く、ブレークダウンも3週同じような状態です。僅かですが、買い越し売り越し共に残高を減らしており、動かない相場から撤退している動きもあるようです。

買い越しにトレンドが見られたカナダは、買い越し売り越し共に市場規模を拡大しており、カナダ高に対して警戒する動きも見られたようです。ブルべアは買い越しが55%と、伸び代はまだ十分残っているようにも見えますが、五分五分の攻防へと戻ってしまう可能性も否定できない状況です。

順調に買い越しトレンドを作っているNZドルですが、ブレークダウンを見ると今回の買い越しは売り越しの手仕舞いに因ることが判明しています。買い越しはあまり増加しておらず、数週前に急伸した売り越しが損切りに出ているのかもしれません。

<総括と考察>

さて、先ほど少し触れましたが、今回のデータはアメリカの雇用統計結果が反映されています。指標の内容は決して悪くはありませんでしたが、ロングウィークエンドを控えてか、残高に多少の変化があった通貨も、手仕舞いによることが今回判明しました。
その後の相場はどちらかと言えばドル売りが優勢となる中、対円でのドル売りが目立っており、今回のデータで意外にも弱まった円を買い越す動きは、ある程度復活しているでしょう。

雇用統計が発表された後からも聞こえてくるFRBのハト派スタンスは、ゆるぎない印象が強く、経済指標などが強い結果でもドル買いは一時的になりつつある一方、中東の情勢不安は継続し一部ユーロ圏の金融機関懸念まで聞こえるようになりました。この2つの要因は円以外の対ドル相場では相反する要因ですが、ドル円に関しては円買い要因として一致しやすい部分があり、その辺りが先週末の円高に繋がっているのだと推測します。

そうなると、今週は世界的に万遍なく予定されている経済指標発表が、2弱4強の流れに沿うかどうかで、今回の調整の動きが強まる可能性も充分あります。最も懸念されるのは4強の通貨がリスク回避的な調整に出た場合、ドルは蚊帳の外だと仮定すれば、クロス円の下落という形で引き起こされる円高には警戒しています。4強通貨の指標等が好調であれば全て丸く収まると予想しており、特に英、豪、NZ、カナダの経済指標結果を注視したいと思います。


IMM分析番組を最大に楽しむ方法
(1)ドル円の相場推移と対円におけるドルのネットポジション変化
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(2)各通貨のネット残高
http://blog.goo.ne.jp/gaitame-univ/e/7cb368373c8e9008ae738dd9750d06d5

(3)前週と比較したネット残高増減推移
http://blog.goo.ne.jp/gaitame-univ/e/c631b370f8906b33a7c8d81569bbcecd

(4)各通貨のネット増減比較をブレークダウンする
http://blog.goo.ne.jp/gaitame-univ/e/18a50c30c204d61aa068d50ceb619b22

 


(4)各通貨のネット増減比較をブレークダウンする-IMM分析番組を最大に楽しむ方法

2014-07-11 18:14:06 |   -【特集】IMM残高分析

最新のネットの円データ推移を分解したグラフが、こちらです。


 
3本連続したバーは、第2章のグラフを、ネットではなくグロスで表示したものです。つまり青い部分(ロング=プラス)と赤い部分(ショート=マイナス)の合計がネット残高となり、マイナスなら売り越し、プラスなら買い越しとなります。

新たな発見とより詳細な仮説の導入

ロングとショートを別々に比較したことで面白い仮説が立てられるようになりました。番組の中で買いにシフト、売りにシフトという表現や、市場規模に関する仮説を立てています。

◎市場規模の大小を用いる場合
上の連続グラフの左と中を比較すると、ロングもショートも残高が減少しています。つまりロングとショートのコントラクトの合計が、IMM市場の円全体のポジションになりますが、総計が共に減少している状況を仮定した場合、参加者が円自体に興味を失いつつあり、市場から単に撤退している可能性が指摘できます。そうなると市場は増々動きにくくなり、直ぐに動き出す想定が難しくなります。

一方、ロングもショートも増えて市場が拡大する場合でも、やはり相場が均衡して動きにくくなる可能性はあります。下のグラフは豪ドルのブレークダウンですが、最新のデータは前回と比較してロングもショートも増加しています。



実際に相場は乱高下気味に方向感はありませんが、市場規模が拡大すること自体は参加者が興味を持ち始めている証拠です。何らかの要因が材料視されたためにポジションが増えているはずであり、近いうちにその正体が明確になれば、一気にその方向へ動くエネルギーが溜まり始めている状態だとは言えないでしょうか。

◎通貨のシフトを伝える場合
最初の円グラフの中と右を比較した場合、ロングが増えてショートが減るという現象が同時に発生していることが判ります。明らかに売り越しはあきらめ、買い越しに興味が集まっている状態が連想でき、極端に言えば正に市場全体がロング方向へドテンを行っている状況です。この場合はやはり通貨高を想定した動きだといわざるを得ず、ドル円であれば円高を警戒する必要が出てきます。
一方、円のロングが減少しショートが増加する場合は、逆に円安を想定した動きだと言うことになり、円安を警戒する必要が出てくるという訳です。


単独の積み上げグラフ

これは第3章の初めに登場する前週との増減比較にある最新データの内訳的内容です。上の円の最新データはロングの増加でプラス、ショートの減少でプラスという方向性を示したことで、1万コントラクト以上が結果的に買い増されたのと同じ効果に至ったことを示しています。

また、3週比較のグラフであたかも新たな動きが全くなかったように見えても、このグラフで詳細を確認することで、無気力な沈黙なのか、ガップリ四つの沈黙なのかを見極めることもできます。例えばロングもショートも大きく増加したとしても、その数が同数であれば増減はゼロです。一方で、ロングもショートも全く動きが無かった場合でも増減はゼロです。このように、ネットだけでは同じ結果になっても、中身が違う場合は次の仮説を立てる準備も大きく変わってくるはずです。

一緒に考察してみよう




上のグラフはEURのブレークダウンです。ここ3週間ロングとショートに際立った変化はありません。しかし、データの締切日の7月1日といえば、ユーロ高のピークだったにも関わらずロングは増えたどころが、逆に売り方向へシフトしており、1日以降の下落を裏付けています。戻したところではロングが手仕舞ってくる可能性が高く、依然として売り越し残高が圧倒的に多い地合いに沿って、上値が重い展開を想定したほうが無難だと言えそうです。

ただし、難しいのはクロスの動向であり、これが必ずしもユーロドル相場の下落を示唆していない状況は今の難しい部分でしょう。

ブルベアグラフ

最後に、ロングとショートの最新データを円グラフにしたのがブルベアグラフです。



ブレークダウンを掲載し始めてから、このグラフの意味は、単にロング・ショートの最新データを円グラフにしただけになってしまいましたが、割合を%で表示することが出来ており、細かい変化も見逃さない役目をしてくれれば御の字だと思っています。少ない経験則をお話しすると、

・どちらに偏っても10%を割り込む状態はなかなかあり得ないことから、10%に近づいた場合は、多少の反転を意識したり、
・また相場が随分と動いているにも関わらず、ブルベア比率に大きな変化がない場合などは、暫くトレンドが継続する可能性があること、
・そして逆にブルベアが大きく割合を変化させても相場があまり反応しない時は反転を意識する

などの活用方法は十分にあるでしょう。



(3)前週と比較した各通貨のネット残高増減推移-IMM分析番組を最大に楽しむ方法

2014-07-11 16:09:38 |   -【特集】IMM残高分析

このグラフは第2章で掲載した各通貨のネット残高が、前週と比べてふえたのか減ったのかを示しています。つまり、円を例にとると、最新データの残高と前週データの残高の差がいくらあり、それは増えたのか減ったのかという事です。


 当然、増えていればその通貨を買ったポジションが結果的に増加しているため、その通貨が上昇局面にあることを示唆してくれます。

また、上の例で言えば、週替わりで増減を繰り返し、その差も同じようなユーロは方向性に乏しいことがよく判り、カナダドルのように差額こそばらつきはあるものの3週連続して買い越しが増えている状況は、カナダ買いがトレンド化しつつあることが判ります。

極端に言い切ってしまえば第2章のグラフの増減を見れば同じことになりますが、例えばメキシコ・ペソは第2章では高い水準を維持したまま相場は強気を維持しているように見えますが、このグラフでは4週前と3週前の比較が存在しており、4週前には一度大きく売り込まれた過去があることが判ります。それ以降の動きが見られていないことからも、特に材料もないことからロングを維持している半面で、一度弱気になったまま身動きが取れていないじょうきょうだと仮定するなら、何か弱気な材料が出てきた場合、直ぐに売り戻しが入る可能性も十分考えられる状況です。

このグラフの問題点

再三繰り返すことになりますが、ネットである以上はロングとショートの細かい卯木置きはこのグラフからでは察しきれません。そこで、新たに作成たグラフが番組の中では「ブレークダウン」と呼んでいるグラフに相当するわけです。


(2)各通貨のネット残高-IMM分析番組を最大に楽しむ方法

2014-07-11 14:00:20 |   -【特集】IMM残高分析

次の第2章でご紹介しているのが下のグラフです。


 
IMM市場では、このほかにブラジル・レアル、ロシア・ルーブル、南ア・ランドの取引もあるようですが、レアルはペソを代用する形でご覧いただければと思います。ルーブルとランドは余りに残高が少なく、基本的には無視できる範囲です。万が一、今後取引が増える自体があれば、リストに加えても問題ありません。

さて、このグラフは各通貨が主語になって、そのネット残高の推移を、過去3週間に渡って掲載したものです。前回や前々回の内容を記憶するのはなかなか難しいため、3週分を一度に掲載したにすぎませんが、少なくともこの3週間のトレンドを把握するメリットが生まれており、より詳細な考察が出来るようになりました。

今の状況は非常に明快な状態にあります。単純に考えれば、ロングの通貨をショートの通貨でロングにすれば、トレンドに沿った取引が可能です。つまり、ポンド円、ペソ円、豪ドル円を買うか、ユーロポンド、ユーロ豪ドル、ユーロペソを売っていればかなり良いポジションができるはずです。ただし、いつまでそれでよいのかという懸念は常に付きまとう上に、厄介なのは、ロング同士、ショート同士のペアが相場を難しくすることがあります。

そう考えると、売り売りペアのユーロ円、買い買いペアのポンド豪ドルやポンドNZドルなどは難しい取引になります。ただ、逆に言えばこうした同じ方向のペアはトレンドも出にくいことから、レンジ取引に徹したり、それぞれのドルストレートのヘッジ取引で細かく収益を出すなどの方法は連想しやすいと思います。

このグラフの問題点

第1章にも書きましたが、ネットのデータだけでは見えないロングとショートの細かい動きが、これでは判別できません。そこで次の第3章では、ポジションの動きをより細かく分析し、目先のセンチメントに迫ろうとしています。


(1)ドル円の相場推移と対円におけるドルのネットポジション変化-IMM分析番組を最大に楽しむ方法

2014-07-11 12:21:49 |   -【特集】IMM残高分析

こんにちは、今日は台風一過の良い天気に恵まれました。想定よりは相当軽い規模で関東を通過しましたが、台風8号の直接被害よりも梅雨前線を刺激したことによる被害の方が大きい模様で、停電も浸水もなく過ごせたことに感謝したいと思います。

さて、今週は結局IMM番組をお送りできずお詫びいたします。そこで、作成したグラフを使って普段説明しきれない部分を補足し、今後の番組理解と楽しみ方をご理解いただこうと、思い立ちました。




 上のグラフは第一章に登場するグラフです。通常、我々が通貨を取引する場合、FX取引のようにドル円、ポンドドル、ポンド円、ユーロポンドといったペアとして取引されますが、シカゴにあるIMM市場は基軸通貨であるドルの本場ということもあってだと思いますが、ペアとしてではなく単一通貨に対して先物取引が行われているようです。



勿論、レバレッジは効いていますが、確かにペアとして取引しなくても、相対通貨がドルだとすれば、円の取引はドル円、ポンドの取引はポンドドル、ユーロの取引はユーロドルといった具合に、ドルのストレートペアを取引しているのと同じです。

従って、ここではドル円相場に合わせるために、円のポジションをそのまま逆にしたものをドルのポジションとして取扱い、実際のドル円相場とドルのポジションの増減とを比較しやすくしたものになっています。ですから、ドルのポジションが増えればドル円はドル買いとなって上昇するはずですから、もしドルのポジション(正確にはコントラクト数)の増減とドル円相場が一致しない動きになれば、相場転換を意識したり、逆に相場が反転してもドルのポジションが変わらなければ、基本的にトレンドは元に戻る可能性があるなどを予想することができます。

IMM市場は確かに全ての為替取引から見ればごく一部であり、その影響力は極めて小さいとの考えも成り立ちます。しかし、参加者の多くは依然として影響力が強い機関投資家である場合も多く、彼らの分析・調査能力を加味すれば十分に参考に値するばずです。実際、相場の変動とポジションは概ね一致しており、最も重要なことは、しっかりとロングとショートが入れ替わる動きを見せていることです。つまり、基本的に彼らの取引概念には無暗に長期保有をする選択肢は限られているため、ポジションは相場の方向に対する相場観として把握することができます。

幾つかの問題点

先ず一つには、毎週IMM市場が火曜日の取引を終了した時点でデータが締め切られ、その週末金曜日の取引が終了した以降に、CFTCからそのデータが発表されるため、水曜日から金曜日までの取引結果は一切データに含まれません。



従ってその間の相場を加味してポジションの動きを想定する必要があり、次回のデータでその想定を検証するという側面が要求されてきます。

もう一点は、このグラフに特有の問題点ですが、ここではネット残高をこの通貨のポジションとして把握している点です。ネットとは買い越し(ロング)と売り越し(ショート)を相殺して余ったポジションを表示することになるため、例えば買い越しのネットが増えた場合、
A:ロングが増えたケースと
B:ショートが減ったケース
が考えられます。Aの場合は上昇に対する相場観が増えたと考えられる半面で、Bの場合はそれほど強気ではない状況も考えられ、ネットの内訳を見ることは稀に重要な意味を持つことがあります。結果的にBの場合も下落見通しが減少したことで上昇見通しが増えたことにはなりますが、既に相場が伸びきっている場合は、買いで追いかけられないという状況を考慮する必要があります。

そこで、この部分を補足するために作成したのが下のグラフで、ロングとショートの動きも同時に確認できます。

毎回必ず掲載しているわけではありませんが、目立った動きがある時にはご覧いただいておりますので、今後は以上のような観点で是非、ご活用ください。

この2点のグラフで注意するのは、主語がドルか円かで分かれている点です。ドルのロングは円のショート、ドルのショートは円のロングになりますので、残高の伸びが逆転しています。


FOMC発表を含んだデータ、結果的には不透明感から手仕舞いか様子見主体-IMM分析活字版

2014-07-01 14:58:41 |   -【特集】IMM残高分析

こんにちは、今週もIMM取組残高分析をお送りします。
今回使用する最新データは、6月24日のIMM市場が終了した時点のものです。

前回データからここまでのドル円相場は、前週に102円台後半から101円台後半へ下落し安値圏で揉み合う展開で迎えた訳ですが、今回はこの下値揉み合いを、保合い気味に継続するに留まりました。

金融引き締めに対してFOMCの強気な結論も期待されていた中、結果は目新しい材料も無かったため、各相場は方向感を出し切れなかった印象ですが、FOMCを経過したポジションにどんな変化があったのか、…早速、投機筋のポジションを表すとされる、非実需のデータを見て参りましょう。

<ドル円の相場推移と対円におけるドルのネットポジション変化>

折れ線グラフが示す毎週火曜日時点の終値推移は、2週連続して若干下落し、ドルの買い越しは、71,223コントラクトと、前回から僅かにドル買い越しが増えていました。

ここだけのデータからは、依然として混迷状態にある円相場ですが、押し目買いが優勢だったとの推測が成り立ちます。では、追って詳細を見て参りましょう。

<各通貨別ネット残高推移>

次に、各通貨のネット残高のグラフです。このグラフを見ても、ポジションに大きな変化はなかったことが判ります。

強いて言えばカナダの売り越しが、気付いてみると概ねスクエアに近い水準まで縮んでいます。その結果、明確かつ大きく売り越されている通貨は、円とユーロに限られてきました。

このデータから、各通貨共に動きは乏しかったことは概ね正しいとは思いますが、念のため詳細を見てみましょう。

<前回データと比較した各通貨のネット残高変化>

こちらのグラフは、前週と比較した各通貨のネット残高の変化を、3週間追跡したグラフです。

今回のデータは一番色が濃いバーが相当しますが、先ほど指摘したように、カナダの買い越しが目立っています。その他は動きが全く無かった通貨と、前週の方向と反対側に少額が取引されている通貨に分かれており、様子見となったか、或いは僅かに調整が入った程度だったことが判ります。

円のブレークダウンは、ロング・ショート共に出来高を減らしており、前週円買いへシフトした流れを継続できず、手仕舞い中心の一週間だったことが判ります。円買いの手仕舞いが思ったより大きく入ったことで、ブルべアのブルの割合は再び11%にまで縮小しています。

円に並ぶ売り越し通貨のユーロは、ブレークダウンを見ても殆ど動意が無かったことが判ります。動きとしてしてはユーロ買いに傾き調整がやや優勢ですが、ロングショート併せても5000コントラクトにも満たない変動は最近では目づらしい状況かもしれません。ブルベアには影響はなく、7対3でベアが優勢な状況を維持しています。

ポンドのブレークダウンも、殆ど動意が無かったと言って良いでしょう。若干売りへと傾斜していますが、グロスでも3000コントラクト未満と、僅かな調整の範囲です。ブルベアにも変化はなく、御覧のような状態を継続しています。

前回突如として売り越しが急増したNZドルのブレークダウンは、ロングショート共に規模を拡大しており、売り越す動きは一過性ではなかったことが証明されました。ロングの増加は追加利上げも視野に入る高金利通貨であることは納得できますが、ショートが増加する根拠は依然として不透明感が残ります。

最後にカナダドルを見てみましょう。
前回市場規模を拡大させたカナダは、今回買い越し側へ明確にシフトしています。売り越しの減少は、どうやら手仕舞いだけではなく、買い越しを視野にいれた動きに見えます。ドル金利の上昇思惑が後退し、売り戻されたことは想像できますが、買い越しを目指した動きは、中東問題が緊迫した中、資源高に沿った動きだったのかもしれません。

<総括と考察>

さて、前回楽しみにしたFOMC結果を含んだデータは、ある程度の失望感を伴ってか、調整主体という結果でした。欧米の半期末、日本の第一四半期末ということも要因の一つだったかもしれません。

ただ、NZDの売り越しが一過性ではなかったことが今回判明し、悩みは尽きません。前回、RBNZの利上げスタンスは通貨防衛的な側面を懸念してみた訳ですが、表現は極端だったとしても、各国の金利政策は基軸通貨であるドルの金利との距離感を重視する側面は否定できません。

だとすると、ドルの金利先高観が暫く後退した中で、RBNの追加利上げに対するスタンスも和らぐと仮定した場合、それを織り込んで買われているNZDは一時的な売り圧力に晒されるリスクは考えられます。

私としては、ドル金利の上昇は暫く無いと仮定し、低金利通貨に対しては金利差拡大は無く、金利先高観が強い通貨に対しては、先高観が後退しない限り、金利差縮小は無いという立場で相場をウオッチしてみたいと考えています。

となると、今週末に発表予定のアメリカ雇用統計は改善でもドルは戻り売り、悪化であれはドル売り急伸というシナリオを基本に、円やユーロ、ポンドなどのメジャー通貨はドル売り継続、産業基盤が弱いNZDやAUD、ペソなどの新興国を含めた高金利通貨は、雇用統計改善なら上昇後横ばい、悪化ならドル買い調整に入るというざっくりしたストーリーを想定しています。