こんにちは、今週もIMM取組残高分析の活字版をお送りします。
今回の番組で使用する最新データは、6月17日のIMM市場が終了した時点のものです。
前回データから今回データまでのドル円相場は、102円台後半まで上昇した後、高値圏で揉み合った前週の相場から、再び101円台後半まで下落して安値圏で揉み合う動きでした。
前回は円の売り越しが一段増える結果でしたが、反落して揉み合った中で残高はどう変化したか…早速、投機筋のポジションを表すとされる、非実需のデータを見て参りましょう。
<ドル円の相場推移と対円におけるドルのネットポジション変化>
折れ線グラフが示す毎週火曜日時点の終値推移は若干下落し、ドルの買い越しは、68,038コントラクトと、前回のドルの買い越しを帳消しにしてまだ余る、減少となりました。前回盛り上がった上値を試す動きが一気に冷めてしまったというところでしょうか。相場、残高共にいよいよ混迷してきた印象はぬぐえません。
<各通貨別ネット残高推移>
次に、各通貨のネット残高のグラフです。
円は3週間で最も少ない売り越し額になっており、円安ムードが一気に冷めた状況が伺えます。
ユーロはペースこそ弱まったものの、ユーロの売り越しを積み上げる形が継続しており、売り越し額は3週前の倍増となっています。
ポンドはBOE総裁が、利上げの前倒しの可能性に触れたことで、ポンド買いで素直に反応しています。
その他、高金利通貨に動きが出始めています。
金融引き締めに対して踏み込んだ内容も一時期待されていたFOMCを次週に控えて、高金利通貨買いを縮小する動きとも取れる、買い越しの減少が見られました。
ではこれらの詳細を見て参ります。
<前回データと比較した各通貨のネット残高変化>
こちらは、前週と比較した各通貨のネット残高の変化を、3週間追跡したグラフです。
先ず円は、
円売りのネット残高が減ったことを裏付けるように今回は買い越しとなりました。
ブレークダウンでは、売り越しがしっかりと減少したことに加えて、円を買い越す動きが久し振りに明確になりました。
一時的にしろ、円高方向へシフトした形となり、
ブルベアも円のロングが前回から6%伸ばす結果となっています。
ユーロは、
依然として売り越しが継続していますが、ペースは大幅に減速したことが判ります。
ブレークダウンでは、売り越すペースは減速していませんでしたが、買い越しも増えたことでネットが随分と相殺されたのが要因でした。結果的に市場規模を拡大させる動きを見せる中、
ブルベアはベアが8ポイント伸ばす結果でした。
マイナス金利を導入したユーロが下げ止まったことが買い越しも増えた一因にはなっているでしょう。
平静を保っていたポンドは、
大きく買い越しを積み上げました。
ブレークダウンでも買い越しが一段と伸びていましたが、売り越しが想像以上に手仕舞っていなかったのは少し意外でした。
ブルベアはブルが4ポイント伸ばす結果となっています。
では高金利通貨をまとめて見てみます。
豪ドル
買い越しが止まり、今回は僅かに売り越していた豪ドルは、極めてポジション変動が小さくブルベアにも変化がないという、様子見状態でした。
一方、利上げとなったNZドルは、
前週比でも売り越されています。ブレークダウンでは前回まで異常に少なかった売り越しが、買い越しに迫る増加となり、ブルベアも一気にベアが30ポイントも伸ばす結果となっています。
また、こちらも異常な偏りを見せていたメキシコペソも、
大きく売り越されていました。ブレークダウンでも売り越しが大きく取り崩された一方で、買い越しも若干増えており、警戒感が高まっている状況が伺えます。
この段階では、FOMCで強気な内容が発表された場合を想定した動きとも考えられ、既にこのイベントもこなした来週のデータで、再び買い越す動きになっているのかに注目です。ブルベアはブルが7ポイント下落する結果でした。
スイスにも若干動きが出ていますが、次の機会に委ねたいと思います。
<総括と考察>
さて、FOMCを控えていた今回のIMMデータは、リスクを抑える手仕舞いの動きが中心だったという側面があります。
ただ、先週予告したイベントに対する反応は、ポンドが素直に買い越しが増えた一方、NZDのデータは実に意外でした。
IMMの投機筋は今回の利上げを通貨防衛的な側面があると捉えたのか、何れにせよ、NZ中銀総裁が発した「通貨高になった理由が理解できない」という言動の動機が見えた気がしています。しかし、事実はそれでも相場は底堅く上昇しており、次回のデータは買い越しが一段と増えているのか、増加した売り越しはどう変化してゆくのか、興味が尽きません。
FOMCは当面利上げを行わないことがコンファームされ、金利差縮小懸念が遠のいたのか、このところは南米の新興国を中心に一旦、利下げに踏み切るところも出ています。市場はやはりアメリカの利上げがテーマになっているのかもしれません。FOMC後のデータとなる次回に、もう一度考察したいと思います。