外為ガイドブック☆FX取引の基礎や相場分析を解説…五里霧中の相場取引に一筋の光を

外為市場経験者の浅野敏郎が値動きに着目したチャート解説や個人的意見を綴る相場ブログ&用語集!

日銀総裁人事で円安…の違和感

2023-02-07 00:12:44 | ☆外国為替を読む

先週2023年2月3日金曜日の米・雇用統計は正直なところ
ビックサプライズもいいところでした。

20万人の増加が経済拡大の分岐点だと言われる中、
50万人超の増加というのは相当な事でした。

ですから、本日の本邦報道にも随分注目していたのですが、
朝からどのTVチャンネルも、今日のタイトルにあったように、
円安要因を日銀総裁人事に絡めて報道していました。


確かに、ユーロやポンドなどのメジャー通貨の対ドル相場は、
先週末の終値からさほど乖離はしていない中、

円だけが1円以上も窓を空けて今週の始値を迎えましたから、
確かに何かが作用していたというのは真実でしょう。


こんな時だからこそ冷静に考えたいのですが、

他のメジャー通貨であるユーロとポンドは、
アメリカの利上げに追随する形で既に利上げスパイラルにあり、
先週木曜日までは底堅かった理由として一理あった一方、

日米金利差が拡大の一途を辿る中で
その他メジャーがドル売りだったからといって、

対円でもドルを売ってきた投機筋は、
相当やせ我慢をしてきたはずというのは想像できます。

そうした連中が132円台でストップロスを置いていたとするなら、
100PIPS程度、上に窓を空けたとしても、
ここ数カ月のボラティリティを考えれば何ら不思議ではありません。

確かに、このギャップ要因の一部は総裁人事の件で増長された…
のかもしれませんがせめて蛇足としてでも、
アメリカ雇用統計のインパクトを丁寧に説明したほうが、
日本の投資家をミスリードしなくて済む、と言うのが素直な印象でした。

有名な経済系番組までもが異口同音だったのはとても残念でしたし、
もしかすると現日銀副総裁が引き継ぐことで
金融緩和継続思惑を強調した方が株高の説明が付きやすかったから、
というのであれば、ある程度は納得がいきますが・・・・・


お仕舞に、ドル円相場に限って言えば、
昨年終盤に戻り最高値の151.94前後を付けて以降、
しっかりと調整の戻しを一切入れることなく
127.22前後の安値まで一方的に下げました。

しかし、ここにきて3週連続で陽線推移できましたから
明白なドル売り材料が出てくるまでは、安値以降の戻り高値を探る展開
を一つのシナリオとして持ちながら相場に対峙してみたいと思っています。

果たして結果は??

 


浅野敏郎


2023年のグローバルリスク

2023-02-03 19:13:01 | ☆外国為替を読む

2023年も2月になりました。

ご挨拶から相当な時間がたってしまい、申し訳ございません。

 

さて、少し前になりますが、複数のメディアでもニュースとして

報じられていましたが、2023年の世界的な10大リスクが発表されています。

 

このレポートは、アメリカのユーラシアグループなる会社が毎年1月3日に

作成&公開しているもので、

代表のイアン・ブレマー氏は、先のダボス会議にも出演者として出席する

政治学者で、NewsWeekの表紙を飾るなどの著名人の様です。

 

彼らが毎年発行する「世界の10大リスク」レポートは、毎年よく当たる…

というか、クローズアップされるテーマを事前に上手くまとめあげています。

 

「と言っても、英文のレポートは難しいから…」と思われた あなた!

 

実は私も、例年なら10大リスクのタイトル程度しか認識していなかったのですが、

今回少し掘り下げてみると、

何と日本語版の、恐らくフルレポートが、JETROさんの公式サイトにリンクされていて、

じつに詳しく読み込むことができることが判りました。

 

JETROとは、日本貿易振興機構という独立行政法人で、皆さんも

一度や二度は見聞きしたことがあると思います。

 

Webサイトのビジネス短信という機能?コンテンツ?がありますが、

1月5日付の記事で、この世界10大リスクのレポートが報じられています。

少し前の記事で後方に埋もれてしまいましたので、ここに引き上げておきます。

米調査会社、2023年の「世界10大リスク」の1位、2位にロシアと中国(中国、日本、米国、ロシア) | ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース - ジェトロ

米調査会社、2023年の「世界10大リスク」の1位、2位にロシアと中国(中国、日本、米国、ロシア) | ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース - ジェトロ

 

 

本文の記事の冒頭に、添付資料 という形でPDFがリンクされていますので、

是非一度、お読みになることをおススメします。

 

念のため10大リスクのタイトルだけでも列記しておきますと、

 1ならず者国家ロシア
 2「絶対権力者」習近平
 3「大混乱生成兵器」
 4インフレショック
 5追いつめられるイラン
 6エネルギー危機
 7世界的発展の急停止
 8分断国家アメリカ
 9TikTokなZ世代
10逼迫する水問題

となっています。

 

3の「大混乱生成兵器」リスクについてはピンと来ませんね。

内容は主にAIがもたらすリスクのことを指しており、

このタイトルそのものがAIによって作り出された語句なのだそうです。

 

あれ?台湾問題は10大リスクではないの?

 

と思われた方も多いかと思いますが、10大リスクに続けて

「リスクもどき」というコーナーが設けられており、その中で

・ウクライナ支援に亀裂
・機能不全化するEU
・台湾危機
・米中の産業技術報復合戦

これらの4つが取り上げられていました。

 

私たちが為替(FX)を取引する上で、こうしたリスクがいつ顕在化し

(もっとも、既に大事になっているリスクもありますが…)

どんな因子(ファクター)がマーケットに影響を及ぼす可能性があるか、

把握しておくだけでも随分と役に立つと思います。

この10大リスクレポートは極めて読みやすくまとまっていますので是非、

一度は目を通しておくと良いかと思います。

 

そしてこのレポートは次のように締めくくられています。

投資に対して持っておくべき姿勢とも読める気がします。

(以下、抜粋)

 

「リポート作成に当たり、世界がどこへ向かうのか、などと
難しく考えないようにした。

重要なのは、どう予測するかではない。
現在の世界がどうなっているのか、本当にそうなのか
正しく理解すれば、

将来がどうなるかを、どんな占い師の水晶玉よりも
明確にとらえることができる。

その過程で、世界だけでなく自分自身についても学ぶことができる。
私たちはどのような偏見をもっているか? 
知っていると思い込んでいるだけで、実は知らないことは何か? 
そして、何が自分たちを間違った方向に向かわせるか?」