外為ガイドブック☆FX取引の基礎や相場分析を解説…五里霧中の相場取引に一筋の光を

外為市場経験者の浅野敏郎が値動きに着目したチャート解説や個人的意見を綴る相場ブログ&用語集!

証拠金率の本質

2009-04-29 02:05:48 |   -FX実用相場用語

証拠金率には注意すべき点はいくつかあるが、大きく2つのポイントがある。

1.証拠金率と取引商品の変動率
証拠金率で表現する場合、率が高いほうが実際に必要な資金額に近づき(レバレッジが低いのと同じ)、率が低くなると実際に必要な資金額からは遠くなる。

実際の資金額が同じ100万円の取引が2種類あったとしよう。A:は1日に5万円変動することはよくあり、B:は精々1万円前後とする。
つまり、この値動きが1日の標準的な変動幅だとすれば、Aの取引の1日平均変動率は5%であり、5万円の証拠金で取引をした場合、1日を待たずして証拠金をすべて使ってしまう可能性が高い。レバレッジでいうと20倍である。
一方で、Bの1日平均変動率は1%であるから例えば2万円で取引しても十分な余裕があり、この場合のレバレッジは50倍ということになる。

ここで着目したいのが、低い証拠金率(高いレバレッジ)が危ないという通説があるが、一概に言えないという理由がここでもわかるように、取引の対象となる商品の変動率などによって証拠金率は変わらなければいけないということだ。

つまり、Bは2%(50倍)の証拠金率でAの5%(20倍)より低い証拠金率(高いレバレッジ)であるにもかかわらず、結果的には低いレバレッジの方が、安全であることがいえるのは不思議だ。

要するに、変動リスクが高い取引には低いレバレッジを、変動リスクが低い取引には高いレバレッジを用いることに何ら矛盾ない。

確かに2008年の後半の為替相場は異常だった。つい夏の価格からは60%程度に下落した通貨が実在するのはさすがに100年に一度といわざるを得ないが、歴史的に30%前後が為替変動の平均値であったとするなら、一か月では3%の変動率を見込んでも、お釣りがきた計算になる。

一方で、ミクロの要因で数日の間に50%程度の下落をする株式の銘柄がある以上は、信用取引で数倍のレバレッジが精いっぱいの株式相場と、為替市場を比較すること自体に、整合性はないことがわかる(続)。


証拠金率 【Margin ratio】

2009-04-26 23:14:32 |   -FX実用相場用語

一般的に、実際に必要となる資金等に比べて、どの程度少ない資金である証拠金(通常はパーセント表示)で、実際と同じ取引が可能かを表したもの、である。

同様な言葉としてレバレッジといういい方もあるが、これは手持ちの資金からどれだけ多くの額(通常は倍数表示)が取引可能かを表したもの、である。

外国為替証拠金取引で市民権を得たように聞こえる証拠金率(あるいは証拠金)という言葉であるが、為替でなくても理論的には様々な取引で可能である。


実際に必要となる資金を100万円として、10万円で同じ取引が可能だとすれば証拠金率は10%である(レバレッジでは10万円で100万円の取引が可能なので10倍となる)し、30万円なら30%、5万円なら5%である。日本のFX業界はもう一つの倍数を用いるレバレッジを使って表現するほうが馴染み深いように思えるが、世界的には率(パーセント)表示が主流に思う。

単純に言ってしまえばこれまでであるが、証拠金率の説明は実は奥が深い。このあたりが理解できれば逆に率はさほど気にならないはずである。近いうちに当ページからリンクして詳細を述べられればと思う。

証拠金率の本質(09年4月29日更新)
比較計算の基となるのは必要証拠金か維持証拠金か(09年5月1日更新)


ひとりごと

先週末の2009年4月25日だったが、報道によれば、為替取引のレバレッジ引き下げが法的に実現しそうである。投機的な取引規制が主眼のようであるが、個人投資家の絞り込みのようにもみえ、裏を返すと市場の流動性を奪うことにもなり、相場がかえって値動きの激しい投機的な相場になりはしないか、懸念している。


FX(外国為替)用語集もくじ

2009-04-20 20:10:09 | ☆FX相場用語集もくじ

昔、インターバンク市場に関わっていたころの体験や教訓、その後の学習で得た知見を、こぼれ話などを交えながら実践的な用語解説を致します。


あ行  か行  さ行  た行  な行  
は行  ま行  や行  ら行  わ行

A  B  C  D  E  F  G  H  I  J  K  L  M  N  O  P  Q  R  S  T  U  V  W  X  Y  Z

 

※そのほか、用語で解説をご希望のものがありましたら、コメントでお寄せください。可能な限り、ベストを尽くして解説してみます。


リスク許容度改善でドル買い?- part2:金利地合いに変化?

2009-04-19 18:06:02 | ☆相場分析-ユーロドル


しかし、今週末の動きは、米国金融機関の決算が予想より良かったことが好感され、株式市場は上昇ムードとなり、債券相場が下落し金利上昇となっていますが、ドル買い円買いが進み、商品市場は弱気基調となりました。
つまり、株式市場の上下=リスク許容度という、ある意味でこじつけ相場が機能しなくなっています。

中国のGDP成長率の鈍化やユーロ債の利払いなど、円高やドル高のイベントが重なったのが理由とみることも出来ますが、既にゼロ金利政策へ突入して半年近い期間を経た米国と、1%近いのりしろを残しつつ、金利対応に大きく出遅れたユーロとの格差が鮮明になりつつあるのかもしれません。

今週以降も暫くユーロが注目の中心となることが予想されます。相場位置的にはユーロドルが下落ポイントの直ぐ近くにいることもあり、底を抜けて行く展開があるのかどうか要注意です。あくまで、ユーロドルが鍵を握っているという見解は引き続き変わりませんが、ここへきて別途円高圧力がかかるようだと、ユーロ円は下落に拍車がかかるリスクがありそうです。

あと一点、政策金利では、ユーロ1.25% 米ドル0.00~0.25%と、比べてユーロが高金利を維持していますが、このところのドル金利上昇という地合いを受けて、週末のスワップはユーロの買い持ちはポイントの払いとなっています。つまり、景気の底打ちを予感させた場合、米国の市場金利が先導して上昇するようだと、米ドル買いというフローも発生します。これまでなら、株式市場が好転するとリスク許容度拡大とばかりファンディング通貨のドル、円が売られるというのが、リスク許容度論者のシナリオでしたが、微妙にズレが発生している根拠の一つがここにありそうです(了:為替投資郎)。


リスク許容度改善でドル買い?- part1: 売りじゃなかった?

2009-04-19 13:15:12 | ☆相場分析-ユーロドル


前回の更新から数週間が経ちました。
ユーロに注目してこのところの動きを見てきましたが、対ドルでは結果的に予想の範囲内となる、日足一目均衡表の雲の中での動きとなりました。

今週も相場に影響を与えるニュースが数多く飛び込んできましたが、内容はまちまちであったため、イベントに振り回された印象が強いかもしれません。

裏を返せば、相変わらず短期的な相場展開であったことが判り、確信あるトレンドにはいずれも結び付かなかったことになります。
ただ、これまで俗に言う「リスク許容度」であるとか「リスク回避」であるとかの非常に抽象的な根拠すら、現実と辻褄が合わなくなり始めたことは、根底にトレンドを感じ始めています。

「定理」的に使われてきた「リスク許容度」というシナリオは、
A:
①リスク許容度が上向く(つまり、リスク投資へのモチベーションが上がる)
②ドル以外のプロダクトへ資金が向かう(ユーロドル、ポンドドルなどが上昇し対円相場も上昇。株式相場、商品相場が上昇し、債券相場は下落上昇【訂正削除】する)

B:
①リスク許容度が下向く(つまり、リスク投資へのモチベーションが下がる)
②ドルや円に資金が戻る(ドル買い、円買いが発生し、株式相場、商品相場が下落し、債券相場は上昇する)

というのが概略です(続)。


ユーロドル今後の展開- 2009年春

2009-04-01 18:21:08 | ☆相場分析-ユーロドル




右側のチャートはユーロドルの日足です(日曜日にアップしたものと同じ)。

8月上旬には1.5750ドル水準だったユーロドル相場は、8,9,10月の3ヶ月で、途中小さな戻しを入れてほぼ一気に1.2500ドル水準まで下落。その後12月では大幅な戻しで1.4750ドルに迫りました。しかし、相場は同日中に反転となり、再度1.2500ドル水準まで下落後、3月に入って急上昇して1.3750ドル水準まで上昇し、昨日の下落までは一段の上昇も可能性がありました。

ユーロ上昇予想のキーポイント

垂直のグラフ線(破線の目盛です)で、7月29日辺り、12月5日過ぎ、そして今回の上昇によるこれまでの高値で上値線が形成されており、頭を抑えられている状況から脱出できていません。また赤く囲んだ部分では概ね1.3500-1.3750ドルの吹き溜まりが確認できており、今回の上昇ではその上限まで確認に行きましたが超えられず、逆に1.3500ドルを割り込んだ下落をしています。上昇を予想するためには、これら上値線および吹き溜まりの上限を越えてゆく必要があり、少なくとも吹き溜まりで一本下髭が伸びている安値1.3250ドル水準は、下回りたくないところです。金曜日の安値は1.3257ドルと首の皮一枚でつながっている状況です。
もし、前述の状況が実現すれば、9月過ぎの戻り高値または12月の戻り高値となる1.4700-1.4800ドルあたりがターゲットとなりそうです。

下落予想のキーポイント

上値線を抜け切れていないこと、吹き溜まりで折り返したことは、まだ下落の要素を含んでいます。
また、一目均衡表の雲の上に出られなかったことや、遅行線が当時の雲の下に出てしまったことは、下落派には心強いところです。雲の上限は暫く1.3615ドルで水平推移することから暫くの上値限界水準となり、その下では吹き溜まりの下限となる1.3500ドルも上値抵抗となりそうです。
ただし、下落ターゲットは雲の下限となる1.2836-70ドルですが、その前に基準線となる1.3100ドル水準は、底値圏でもみ合っている1.2500-1.3000ドルのレンジ上限でもあり、結局は雲の中での推移を想定しておく必要がありそうです。
もし、現在の下落が当面の底となっている1.2500ドル水準をしっかり下抜けるようだと、5波動目ということもあって、極端には1.2000ドル水準も視野に入ってきそうです。

対ドル対円でのユーロ比較

チャートで見える範囲に限っても、昨年の夏以降のユーロは下落をしており、ここまでの円買い、ドル買いが平行して発生する根拠を示しています。いずれにしても、ドル円は円安へ振れにくい状況は続きそうな気配であることから、対ドルで下落の色を強めると、ユーロ円は必然的に下げざるを得なくなってしまいます。

今週初、ユーロ円は添付のチャート(日曜日アップと同じものを使用しています)でいうグレーの水準である127.50円を付けたあと上昇し、再度130円台に乗せ返してきました。この戻しはやや意外な展開となっていますが、明確なトレンドが出てくるまでは、ユーロドル待ちという感じがしています。