外為ガイドブック☆FX取引の基礎や相場分析を解説…五里霧中の相場取引に一筋の光を

外為市場経験者の浅野敏郎が値動きに着目したチャート解説や個人的意見を綴る相場ブログ&用語集!

日銀追加緩和以前のデータは参照外…崩壊相場の前データとして記憶に留める-IMM分析

2014-11-03 23:27:29 |   -【特集】IMM残高分析

こんにちは、今週は久しぶりにIMM取組残高分析をお届けします。

もう既に周知の事ですが、先月末10月31日の日銀金融政策決定会合で追加緩和が決定し、市場のサプライズを誘ってドル円は急騰しています。その2日前にはFOMCを控えていたなど、本日番組で使用する10月28日締切のIMMデータは大きな相場変動前のものになります。
今の相場を見ればもう答えは出ている状況の中、将来的な展望を探る意義は既に半減していますが、2週前のデータは急落明けのデータだという事も含めて、大きな変革以前のデータを把握しておくことは今後意義を持つ可能性も有り、一応は確認しておきたいと思います。

ドル円の相場推移と対円におけるドルのネットポジション変化
先ずは、ドル円の相場推移と対円におけるドルのネットポジション変化のグラフです。

前回のデータは、ドル円が105円台へと一時急落した動きを含んでおり、ドルの買い越しが急減していますが、締切までの短期間でかなり反発したこともあり、折れ線グラフが示す毎週火曜日時点の終値推移にはあまり影響が出ていません。
そして今回のデータ締切までの一週間で、相場は底堅く推移した一方、ドルの買い越しは僅かに減少し、7月下旬の水準に迫る67,399コントラクトとなっています。
単純な相場比較だと、当時は102円台中盤と5円以上も低い水準であることや、僅かでも買い越しが減少する中で、相場は逆に上昇するなどダイバージェンスも見られています。

この動きだけを見ると、IMM筋は安値からの反発地合いで、手仕舞いを進め気味だったことが判りますが、一方で逆行する相場に違和感を感じていたはずであり、日銀のサプライズが無くてもドル買いに転じていた可能性はあったと推測します。次回のデータで買い越しが10万コントラクトに乗せるような動きになっていなければ、IMM筋は今回の日銀サプライズに乗り切れていない可能性も有り、下値に不安を残す結果になるかもしれません。

各通貨別ネット残高推移
次に、各通貨のネット残高のグラフです。

ここから明らかなのは、円を除けば各通貨の売り越しが継続する展開だったことは明白です。言い換えると、少なくとも28日までは円が独歩高だった構図が伺えます。

前回データと比較した各通貨のネット残高変化
続いて、こちらのグラフは、前週と比較した各通貨のネット残高の変化を、3週間追跡したものです。

このグラフから各通貨の売り基調は、極端ではないものの継続し、円だけが買われていた状況が良く判ります。

先ず円ですが、ブレークダウンを見ますと、前回のデータで円買いへシフトした後、今回は円売り円買い共に手仕舞いが見られています。FOMCを控えてリスクを減らす行動が優先されていた様子がうかがえます。この間、相場は最安値から一時3円近い反発をしていますが、少なくともIMMの買戻しではなかったことが明らかとなりました。

次にユーロですが、ブレークダウンを見る限り順調にユーロ売りだけが増加するという極めて安定した売り基調が確認できます。しかし、実際の相場は一時1.28台後半まで急反発する局面を挟んでおり、もしかするとそうした局面では買戻されていたのかもしれません。しかし、結果を見る限り、直ぐに売り直しているか、或いはこうした反発局面では落ち着いて売り増しが出ていることになり、IMMのユーロ売りはかなり腰が入っていることが伺えます。

続いてポンドは、15日の乱高下を含む前回のデータでは一段と手仕舞いが進み、ポンドからの撤退が顕著に表れていました。その後、今回のデータまで相場は方向感なく上下する中、やや市場は拡大し方向性が出る兆しが見られています。微妙ではありますが、3週前のデータと比べるとポンド売りにシフトしており、締切以降のFOMCを起点にドル買いへ進んだ相場を暗示していたことになります。

最後に豪ドルです。
前回の番組で受動的にしろ、ブルベアではベアが急拡大したことをお伝えしました。その後、2週間が経過した訳ですが、前回は殆ど動意が無く、今回はブルとベア共に増えて市場規模は拡大したものの、結局ブルベアには大きな変化は見られず、ブルが1ポイント回復するに留まっています。その間の相場は相変わらず揉み合う中、どちらかといえば底堅く推移しており、ブルベアとは相容れない動きをしていました。締め切り後の相場はここまで反落気味に推移しており、ブルベア通りの展開となっています。


総括と考察
それでは総括です、といっても、
今回は円相場が決壊し、次回のデータはドル買いと各通貨の売りで一色に染まっていることは想定でき、今のところ各相場はドル買いで推移しています。
ただ、円以外はその動きも小幅にとどまっており、円相場に合わせて売りを積み上げている程度に留まっており、これといった方向性を示唆する通貨は確認できませんでした。

ドル買いをキーワードにした場合、強いて言えば、ポンド売りはブルベアから見てもまだ伸び代があるのは事実である一方、取り上げた通貨の中でブルベアと相場変動が伴っていないのは豪ドルという事になります。
豪ドルは対ドルで考えても売り越しにはコストがかかり、相場推移が伴わなくなると収益が圧迫される宿命にあり、揉み合い始めて既に一か月以上が経過する中、下落再開とならなければ買戻しというシナリオも想定しておきたいと思います。

円は次回のデータで、どこまで円売りが進んでいるかでイメージは異なりますが、今週末はアメリカ雇用統計を控えており、その結果次第であることは間違いなさそうです。


IMM分析番組を最大に楽しむ方法

(1)ドル円の相場推移と対円におけるドルのネットポジション変化
http://blog.goo.ne.jp/gaitame-univ/e/59b225ac8b7014b34ab9c5210ad0c194

(2)各通貨のネット残高
http://blog.goo.ne.jp/gaitame-univ/e/7cb368373c8e9008ae738dd9750d06d5

(3)前週と比較したネット残高増減推移
http://blog.goo.ne.jp/gaitame-univ/e/c631b370f8906b33a7c8d81569bbcecd

(4)各通貨のネット増減比較をブレークダウンする
http://blog.goo.ne.jp/gaitame-niv/e/18a50c30c204d61aa068d50ceb619b22