本日は豪ドル円の総括です。
本年初頭の下げで出鼻をくじかれたスタートとなり、2005年に比べると“オージー円”という言葉があまり聞かれなかった印象です。上半期は当初の下げの影響を受けて、トレンド転換を意識せざるを得なかった状況でした。2005年は1月を除き金利は5.5%で据え置かれ続けた結果、高金利通貨としての認識もかすれがちでしたが、2006年後半から再び利上げを開始した結果、高金利通貨の認識が再度あぶりだされ、順調に上昇トレンドを継続して今日に至っています。
ユニオンジャックといえば英国旗の図柄のことですが、準メジャー通貨の中でその国の国旗にユニオンジャックがついているのは、オーストラリアとニュージーランドです。英国を含めてこの3カ国をまとめて「コモンウエルズ」と呼ぶ場合がありますが、コモンウエルズ通貨の金利に関しては“高金利”というイメージが強く、2006年に外国為替取引を始めた皆様の中でも恐らく高金利通貨といえばコモンウエルズ通貨を連想する方はかなりいらっしゃると思います。
確かに2004年後半、米国が利上げのサイクルに入る前までは先進国通貨の高金利ベスト3がこの3通貨であったことは事実です。しかし、米国が利上げを始めるとドル色の強い通貨も追随して金利を上げ始める中、コモンウエルズは比較的冷静であり、実際には金利差縮小傾向の中でかろうじて高金利通貨としての立場を維持できていました。
2006年の顕著な動きは、日本と同じような立場(不況で利上げからは遠い状況)にあった欧州の各通貨にまで、利上げの波が及び始めた事でしょう。相変わらずコモンウエルズ通貨が高金利の位置を維持していることは事実ですが、その他通貨全体が利上げをした結果、圧倒的な優位性は間違いなく失われています。
まさか、ユーロドルが未だにユーロロングでスワップポイントがもらえるとお考えの方は少ないと思いますが、一度刷りこまれた情報を根本的に修正するには時間がかかるものです。為替などの価格は、本来であれば金利事情の差異などで単純に昔と今を比較できないはずですが、10年程度昔の価格が今でも影響を及ぼしているように見えることは、チャート分析をしていて良く遭遇することです。
つまり、コモンウエルズに関しては対円で見てこそ依然として旨みがあるようですが、その他通貨でのクロスでは明らかに金利差は縮小しており、本邦投資家の皆様も念頭に入れておく必要がありそうです。コモンウエルズの中でもポンドは流動性という点でも別格としても、他の2通貨に関しては気になります。
唯一、地政学的リスクから逃避する資金が集まり易いオセアニア事情はありますが、日本を除く投資家はこれら通貨の売り時を常にうかがっている様に思えて仕方ありません。
それでも下落しないということなら、基本的に円安相場なのか、或いは世界VS日本人のマネーバトルになっているのでしょうか。
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