外為ガイドブック☆FX取引の基礎や相場分析を解説…五里霧中の相場取引に一筋の光を

外為市場経験者の浅野敏郎が値動きに着目したチャート解説や個人的意見を綴る相場ブログ&用語集!

USDJPY リスク志向が後退してJPYが選好 株高=円安の公式は崩壊か

2007-08-21 19:35:51 |    -ドル円

日経平均が回復しているにも関わらず、ドル円が上昇しません。

数日前にもこの定理が機能しなくなる可能性を指摘しましたが、その兆候が確認できた本日の動きとなっています。

法人機関投資家向けの大手銀行インターバンクレポートでは、非常に興味深い考察がされています。

当銀行が独自に算出しているリスク志向の指標が、極端にコンサバティブ、つまりリスクをとりたくない方向に振り切っていることを説明した上で、過去に発生した幾つかのリスク志向低下の動きを分析すると、典型的な動きがあると指摘しています。
それは、ファンディング通貨、つまり簡単に言えば投資の際に原資として支払い通貨とされ易い通貨であるJPY,CHF,USDが選好され、高金利=リスク通貨であるその他の通貨から資金が流出し易い傾向を指摘しています。

確かに、リスクが発生して世界がリスクから逃れる動きをする時、CHFやJPYが選好されるのは、地政学リスクが取沙汰された時期でもお馴染みで、もはや常識となっています。

サブプライム問題が表面化したことで、世界同時株安の連鎖を発生しましたが、この問題が発生する少し以前から、実は日本の投資連鎖で株式市場と為替市場の間におかしな事態が発生していました。

つまり、本来為替が円安になると輸出関連が労せずしてより多くの円価を受取れるために業績があがるという連鎖で、円安ー>輸出買いというのが順当です。しかし、いつしか日経平均が上昇すると円安になり、下落すれば円高という、よく考えれば本末転倒な連鎖を引き起こしていました。この流れから今回のクレジットクランチから株安を経て急激な円高となった理由付けが簡単に出来てしまいましたが、実は既に周知である円キャリートレードの解消は、円をファンドとしてリスク投資していたことからの回帰であると同時に、リスク逃避を目的とした新たな資金流入を招いている可能性を把握する必要があります。

後者の流れは、基本的に株価との連動は関係なく、株式が上昇しているにも関わらず円高が進むという状況がありえます。日経平均を先行指標として為替を取引すると上手く行かない局面が多くなりそうです。

リスク投資の中には、株式投資も含まれることから、全世界的に株式が重く推移する一方で、連鎖に関係なく逃避通貨が買われるという動きが、短期的に継続しやすくなるかもしれません。

地政学的リスクの範囲では、ドルは決して逃避先にはなりえませんが、リスク投資からの回避ということになれば、圧倒的な流動性を誇るドルは、元に戻されることでドル高傾向を示すという説明は納得行きます。まして、米ドルのリスクだったはずのサブプライム問題なのに、対ユーロ、対ポンドではドル高に推移している説明がつきます。

もし、明日の日経平均が上昇してドル円が買われるようなら、115.50を越えない範囲で、自己責任において逆張りが出来る向きには挑戦する価値はありそうです。勿論、当ブログの読者にしか出来ない戦略かも?しれません(かなり眉唾ですが・・・)。

ただ、ドル円相場に関しては当インターバンクレポートに賛成できるのですが、ユーロに関して単純に過去のパターンが通じるかどうかは疑問だと感じています。

つまり、リスク志向の最低記録を3つ挙げると、古い順にLTCM破綻、911、そして今回のサブプライムとなり、ユーロの地合いが現在と全く異なる点や、本邦投資家による海外投資の額が全くことなる点、また原油高騰で膨れ上がった過剰流動性の原因となっているオイルマネーの存在はウェイトされておらず、もしかするとユーロからドルへの回帰は限定的かもしれません。機軸通貨がドルからユーロへ…などとつい先日まで噂されたユーロの正念場です。実際、ポンドドルよりもユーロドルの下落度合いが弱い点など、もしかするとユーロは比較的健闘するのではないかと考えています。

為替の流行は、常に入れ替わります。人民元が対ドルで最高値を更新しても、円高に振れなくなって久しい時間が経っています。株高=円安の流行も終わりに近づいているかもしれません。

本日は、ドル円の売り場をさがしてみます。

 
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