今週のデータは、12月17日終了のIMMデータが分析の対象です。
その前にまず、先週の番組でFOMCの結果が今回のデータに織り込まれると申し上げましたが、FOMCは17日以降だったので、本日のIMM市場が終了した時点で織り込まれることになります。勘違いしてお伝えしてしまったことを先にお詫び申しあげたいと思います。
さて、前回はFOMCや年末シーズンを控えて、全体のボリュームが縮小する通貨が多く、調整が進んでいたことが判りました。手仕舞いが先行する中でも、ブルベアの割合に大きな変化はなく、相場観に変化が無かったことが判りました。
それから一週間たったFOMC直前のデータに、何か動きがあったのでしょうか。
先ずは「ドル円相場の推移と取組ネットポジションの変化」から見ていきましょう。
<ネットポジションのグラフ>
前回のデータから今回のデータが締切られるまでのドル円相場は、上昇を始めとした往来相場となり、102円台中盤で翌日にFOMCを迎える展開で締切となっています。
こうした地合いの中、ドルのネットポジションは130,223コントラクトの買い越しと、前週からは微増となり、相場の方もほぼ横ばいの水準となっています。
<全通貨のネットポジション>
次に、全通貨のネットポジション残高を示すグラフです。
通貨毎のブルベア方向に大きな変化は無く、円は高水準で売り越しを維持したままとなっています。
強いて言えば、買い貸しの通貨は残高が減少し、売り越しの通貨は残高が増える傾向にあるようです。
<前週比グラフ>
最後に、前の週と比較した取組高の変化を示すグラフをみて見ましょう。
まず円です。
前回は、ロングもショートも取り崩される中で、円売りのネットが上回る結果でしたが、今回はロング・ショート共に残高が増える中、その差額が512コントラクトの売り越しとなりました。懸念されていた急激な円のショートカバーもなく、FOMC後の相場感に変化は無いとしていた当時の状況が伺えます。
次にユーロです。
今回は、ロングが増加する一方、ショートは取り崩された結果、前週と比べて、11,993コントラクトが買い越されています。
前回は反落に対する警戒感を感じ取りましたが、今回は再び上昇継続にセンチメントが戻ったことが判ります。見方を変えれば翌日に控えていたFOMCで、緩和縮小は無いと見ていた可能性を示唆しています。
続いてポンドです。
前回に続き、ロング・ショート共に大きめに取り崩される中で結果的に604コントラクトが売り越されたに留まっています。相場には想定した通りの動きが見られず、投機筋は、ポンド自体から撤収しているとの見方が順当になってきました。
その他の通貨で、カナダはショートの伸びは鈍化した中で、ロングが取り崩された結果となりました。下落見通しが強まったというよりも、ロングの一部が投げた結果に見えます。
一方、メキシコ・ペソは前回の買い越しから、6880コントラクトの売り越しに転じています。前回はロングの増加による買い越でしたが、今回はショートの増加による売り越しとなっています。ネットのロングは減少しましたが、残高全体は増えており、ブルベアは不均衡から均衡に向かっています。
<総括と推測>
今回は、FOMCの前日で締め切られたデータでしたが、結局は大きな残高調整は見られませんでした。言い換えればFOMCでのサプライズは無く、それまでの流れを継続すると、投機筋は見ていたようです。
一方、実際にFOMC以降の相場は、ドル高が優勢となっているものの、ドル円相場以外は調整色が強い展開です。ここから推測すれば、本日の取引終了後に締め切られる次回のデータは、ネットには明確に表れないものの、ロング・ショート共に取り崩しが主体となっている可能性が出てきました。
IMM残高分析の番組は今回を持って本年最後となりますが、今後、偏った円のポジションに調整が入るのかどうか、またその他の通貨に明確な方向性が出るのかどうかが今後の焦点になることは間違いありません。
2007年、120円辺りまでの戻りを演じた当時の円残高は15万コントラクト以上の売り越しでした。単純比較はできませんが、あと10円以上の上昇を残り数万コントラクトの増加で収まるとは考えにくいのも事実です。ただ、流動性を考えた時、当時より現状の方が過剰流動性は明らかに膨らんでおり、調整もなく驚異的な残高に偏る可能性は残されています。
2014年も引き続き、円安の焦点は継続するように思います。
さてIMMデータの発表スケデュールですが、27日金曜日の予定は30日に、1月3日金曜日の予定は6日に順延が決まっています。年始最初の番組は7日中にお届けできそうです。CFTCの年末年始予定は既に発表されていますので、詳細はこちらをご覧ください。
本年も数多くのご視聴を頂き、誠にありがとうございました。
どうぞ良い新年をお迎え下さい。
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