某米系証券のレポートで「原油は150ドルを目指す」と報告してから、あっという間に数十ドルの上昇を示現し、全世界的なコストインフレが、米国景気を更に悪化させる可能性をリスクとした米国売りが際立っています。
ユーロや豪ドルなどはまだしも、ポンドまでもがシフト先として選好され気味となり、対ドルで買われる中で、対円のクロスでもこれらの通貨の買いが先行しているらしく、その円売りの影響でドル円はかえってドル買いとなっています。
もちろん行き先は、ドルを経由したあと豪ドルやユーロ、ポンドを対ドルで買っている構図は概ね間違っていないと思われます。月曜日がロンドン、ニューヨークの為替市場が閉場していたこともあり、流動性は乏しかったことが想定されるため、アクションはやや過剰に見えます。
ただ、これまでのところ原油の上昇が異常なほどに強いことから、米ドル離れは確実…といったイメージを持ちやすいのは事実です。しかし、一般紙やTVなどで危機が報道されるようになると、一旦は相場が切り返すというのは、昔からの定説であり、特に投資系ファンドを抱える彼らが、一般に向けて声明を出すこと自体、実にきな臭く、今頃追随組みの買い注文で、確実に利益確定をしている可能性は十分あります。
今回の原油高は、50ドル越えあたりから高騰ぶりは再三報道されており、昔の定説は既に破られた感は否めませんが、それにしてもこの数日の上昇には足の裏がむずむずして仕方ありません。調べていないので何ともいえませんが、取引のロットが伴っているのかどうか心配しています。万が一、さほどの出合いもなく上昇しているとすれば、一つの下落サインであるということは心のどこかで意識しおく必要がありそうです。
インフレは生産者物価を引き上げ、消費者物価も引き上げることから、各経済指標の数字は一見強く見える場合があります。是非そのあたりの判断は慎重にお取引ください。
ドル円は102.50-60円というクリティカルな水準を前に、下に行きづらくなっています。しかし、もしドル売りが今後も継続するようなら、ドル円の下落は時間の問題にも見えます。今月もあと数日で終ろうとしていますが、月足では最安値の陰線を先月にははらみ返し、リバーサルボトムに見えた後の当月は、今のところ陰線です。つまり、2000年、2005年の年頭につけた下値で一致している102円中盤よりは、上方での推移となっていますが、反転の力は今のところ限定的といわざるを得ません。このまま暫く揉み合うか、102円中盤割れで決定的となる方に、リスクを感じています。もちろん102円台を買って、102円ミドル割れでドテンという戦略も、順当ではあります。