外為ガイドブック☆FX取引の基礎や相場分析を解説…五里霧中の相場取引に一筋の光を

外為市場経験者の浅野敏郎が値動きに着目したチャート解説や個人的意見を綴る相場ブログ&用語集!

パリティ目前 英国金融関係者の沈黙が不気味

2008-12-31 13:16:07 |    -ポンドドル

ご無沙汰しておりました。ここ数ヶ月間、全く更新できない状況続き、申し訳ありません。
それでも尚、当サイトにたどり着いていただくユーザーは多く、感謝にたえないと同時に、せっかくいらして頂いた方々に、非常に古い記述しか提供できていないことは、大いに反省いたします。2009年は丑年。年オトコとして牛の勢いを借りて前向きに対処いたしたいと思います。

2008年は本当に大変な年でした。
ある程度は予想の範囲内でしたが、約5年かけて上昇した各相場が、たったの3ヶ月で元あるいはそれ以上に反落するという、ポンドで言えばソロス・ショックに匹敵するクラッシュを示現してしまいました。世間では値ごろ感の買い意見も散見されていますが、この異常なクラッシュ相場のモーメントは、そうは簡単に覆ることは無いと見ています。少なくとも数ヶ月の時間を要するものと考えています。

ポンドが話題となりましたが、いよいよポンドとユーロのパリティ、つまり貨幣価値の均衡が目前となってきました。

かなり前にも夢想に近いコメントして、当パリティを想定し、イギリスのユーロ加盟の可能性を示唆しました。それが、ここへきてかなり現実味を帯びてきたと考えています。
こんな私でも想定するような事態の割には、世間では余にもこの連想に関するコメントが少なく感じます。一ヶ月前辺りに、唐突にイギリスの当局筋から、ユーロへの加盟の可能性を否定するコメントがニュースとなっていた記憶がありますが、基本的には皆無といった状況が続きます。

確かに、当時はまだ金利の大幅引き下げ前だった記憶がありますが、それ以降BOEは大幅な利下げを敢行し、いまやユーロより低い金利政策に突入しています。この事実は、インフレを極端に嫌気するユーロにとって、一つの加盟条件を満たした形となっています。さらに気になるのが、英国金融当局筋の沈黙であり、ユーロ復活が大前提に進んでいるのであれば、今のシナリオを崩したくないのが本音ではないでしょうか。もしかすると、突然の表明に対応できるだけの対策を、秘密裏に行っているのではないか、とかんぐりたくなります。

添付のグラフは、ポンド円とユーロ円のチャート(週足、終値ベース)に、価格差をかぶせたモノです。

上昇期には価格差を維持するような形で推移していますが、下落相場に入るとその差を大幅に縮小させ、下値抵抗であった50円を割り込むと急速に収束していることがわかります。

本日の水準が
ユーロ円が127.25円
ポンド円が130.50円
と、僅かに3円強という領域に入っています。
対ドルではざっくりと1.41と1.44となっており、お茶目な面を持つ相場性向としては、一旦はパリティ実現を目指すと予想しています。

イギリスがユーロ復帰するかどうかの現実的な議論は、パリティを見てからということになりそうですが、問題はなったと仮定した場合に、相場はどの様に展開するのかというところです。

パリティですから、120円で均衡しようと、140円で均衡しようと、100円、150円・・・とある意味ではいくらでも良いのですが、ドル円がかなり安定した動きを見せる中で、ユーロとポンドが1.4台にいるということは、たとえば1.425あたりを中心値とすれば、
1.425×90=128.25円あたりで、ポンド円、ユーロ円が均衡する・・・などと想いを膨らせることもできます。

パリティが達成し、ポンドがユーロ復帰すると仮定した場合、ユーロとしてはどんな動きになるでしょうか。

こればかりは いろいろな捉え方ができるでしょうが、一般的に考えれば、ユーロにメジャー国が増えることで、ユーロが好感され買い進められる可能性があります。
一方で、対ポンドの資産整理がどのように進むかがポイントにもなりそうです。

ユーロ統合の時がそうでしたが、例えばドイツ・マルクはユーロと交換されるため、そのまま持っていても問題は無いはずです。しかしながら交換比率等の思惑が交錯し、一時的な欧州通貨離れを招いた経験がありました。その経験を考慮すれば、ユーロポンドは過剰気味に上昇してしまう可能性も秘めています。


ややとりとめも無い話となってしまいましたが、2009年はこんな論争もテーマとなりそうな予感があります。
本年もあと数時間を残すのみとなりました。
外貨邦貨の金利差がどんどん縮小する中で、限界に近づくものの、再度拡大するトレンドになるかは大いに疑問であり、ますます相場を相場として明確に取り組める方々が有利な展開となる可能性が高まるのではないでしょうか。そういった意味で、売り持ちでも買い持ちでもハンディとしての差が少ない相場は、不条理なオマケを考えずにすむことから、相場を相場として取り組むためのステップアップにはもってこいの相場となりそうです。
どうか良いお年をお迎えいただき、2009年は自由な為替相場をどうかご堪能ください。(為替投資郎)