mukan's blog

つれづれなるままに ひぐらしPCにむかいて

お遍路最終章(1)無事、結願

2023-11-27 11:43:32 | 日記
 ご無沙汰しました。60番目札所から88番目札所まで、予定した11日間歩き続けることができて、四国のお遍路、無事に結願し、昨日、帰宅しました。
 まだ疲れが残っていて、昨日は9時前に床について今朝6時半頃に起きるような為体。やっぱり家にいると身がほぐれて疲れがどっと出て来るようでした。
 第1日目は家を出発して現地入りするアプローチですから、10kmほどしか歩きませんでしたが、その翌日から、最低28.1km、最高36km、平均30kmを少し越える距離を歩きました。そのうち平地・街中を歩くだけなのが5日間、山を通過するのが6日間。標高911mに位置する雲辺寺、750mの横峰寺もあり、88番目札所・大窪寺に入るのに手前の女体山774mのピークを通過したこともありますから、歩いた距離だけでは推し量れない行程が含まれるわけです。11日間の総歩行距離は、319.5km。250kmくらいと予測していたのに、どこでどうしてこうなったのか、まったくわかりませんが、ずいぶんな距離を歩いています。
 11月になっても夏日が続く暖かい秋と言われていたのに、出発直前になって寒波がやってくるという予報もあって、防寒の用意をしていたのが役立ちました。第5日目、四国中央市・伊予三島の中心街を出発して山に入って、小林一茶が「是でこそ登りかひあり山桜」と詠んだ三角寺を訪れたのは雨天。境内に着いた頃には「あら、霰よ」と参詣者の声が聞こえていましたが、私は境内のイロハモミジが色づいて緑の木々の間に姿をみせたのに見とれていました。そのときです、雨がたちまち白く雪となって降り注いできたではありませんか。おっ、おっ、おっ、これは見事。緑と朱と白の取り合わせが寺院の甍の黒と相まって瞬時に一幅の絵柄を広げて見せてくれました。すぐに雪は止んで、まるで夢でも見たような気分に浸っていました。
 翌日の「四国霊場最高峰」といわれる雲辺寺では、降り続いた雪が草地などには消え残っていました。前日そこを通過した人は積もった雪に足元が覚束なく、滑らないように恐る恐る歩くので大変だったとうれしそうにこぼしていました。またそこを下った観音寺の平地で出逢った方は「朝,雲辺寺山のスキー場は真っ白だった」と町から見た景色を口にして,遍路道の私に声をかけてくれました。11月18日のことです。やはり異常気象ではあったのでしょう。
 出かける前に宿を予約してスケジュール旅になってしまうと愚痴りました。ですが、わずか11日の区切り打ちの私ごときとは比較にならないお遍路をしている人たち何人にも出会い、話を耳にしました。通しでお遍路をしている方は45日間全部,出発前に宿を確保して歩いている、と。お遍路2回目なので、自分の調子と距離や難儀の度合いを推し量れるので,それができるのだというのです。また、アメリカから来ていた「おへんろさん」も、宿を押さえてから歩き始めたと,達者な日本語で2回目のお遍路のオモシロサを口にしています。
 区切り打ち3度目のときに記しましたが、COVID-19の影響で廃業に追い込まれた民宿や旅館が随分あり,私は宿の確保に難儀しました。経営者が高齢となり、営業を続けられない事態となったり、多人数は受け容れられなくなり、3人とか4人に限るとかして、宿自体の受け容れ規模が小さくなっています。
 そこへもってきて、この円安もあって海外からの「おへんろさん」がおおくなっている。それが目に見えてわかります。彼らはインターネットの「おへんろ情報網」を駆使して、体験を次々とネットに上げ、追加し、修正するというふうにして、ルートや宿の所在、待遇、費用などを遣り取りしているという。つまり、昔からのへんろ協会の古い本をもって歩いている日本人お遍路には到底できない「情報網」が出来上がっていて、臨機応変に対応しているというのです。宿の方も、ことばの不自由な外国人のために宿を紹介し、彼らに変わって次の宿を予約する労を執ると笑いながら話してくれました。日本ブームが起きているのかどうか知りませんが、いわゆる観光ではなく、体験版の日本旅として「四国お遍路」が取り上げられているのは間違いないようです。何人ものアメリカ人、台湾か香港か、シンガポールかはわからない中国人たち、タイや東南アジアの旅人たちの姿も、あちらこちらで見掛けました。その分、日本人お遍路の宿の確保が予約しなくては適わなくなっていると言えそうですね。団塊の世代の若い日本人の一人は、英語版の「四国お遍路マップ」を手に入れ、そのルートで歩いているとうれしそうでした。
 何度も回っている方は、日本人お遍路は少なくなっているとかなり断定的に話していました。
 今日はこのくらいにしておきましょう。またぼちぼち、「お遍路最終章」を書き継いでいきます。