自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

☆台湾旅記~3~

2011年11月09日 | ⇒ドキュメント回廊
 5日朝、ホテルがある台北市天母地区の周辺を散歩した。市内の商店街やオフィス街の通りアーケードのようになっている。日本のアーケードのように、通りに屋根をつけるのではなく、建物の一階の道に面している部分を通路として提供しているという感じの造りで、店と店の間口によって段差がある。このアーケード通りには統一規格というものがない。よそ見しながら歩くと段差でこけたり、つまづく。間口が小さく奥行きもなさそうな商店もあり、建築設計や耐震構造に問題はないのかと、つい思ったりもした。

       食材市場を覗くと、「越光米」も「松葉蟹」も

 この天母地区というのは、台北市の北部にあり、日本人学校やアメリカンスクール、大使館などがある、ちょっとした高級住宅街でもある。中心街には日系デパートの高島屋もある。「士東市場」と書かれたビルがあり、のぞくと市民の台所といった感じの食材市場が広がっていた。2階建てで、1階が食材市場、2階がグルメ店や小物店などがずらりと並ぶ。鮮魚の店ではサケやタイ、マグロに並んで食用カエルを盛った皿も並んでいた。冷蔵庫に目をやると「松葉蟹」の冷凍ものも。精肉の店では、店員が烏骨鶏とおぼしき足の黒いニワトリをさばいていた。日本の食材市場と違うのは、その場で解体と処理と販売をする点だ=写真・上=。日本の場合、鮮魚は目の前でさばくにしても、精肉となると客にそこまでは見せないだろう。この市場では、トサカのついたニワトリの首がまな板の周辺に転がっていた。それぞれの国民の感性の違いはあるにしても、精肉の鮮度が「見える化」されていて、それが価値だと思えば、日本人も納得できるかもしれない。

 米屋があった。台湾産、タイ産など並ぶが、地元台湾産で一番値段が高かったのが「鴨間米」で一斤(600㌘)で65台湾ドル。「有機米」とも書き添えられてあったので、カモを水田に放ち、肥料と除草をまかなう栽培方法かと想像した。さらに値段でひと際目を引いたのは「越光米」、コシヒカリである。一斤(600㌘)85台湾ドル、今のレート換算で日本円にして240円ほど。1キロ計算では400円ほど。日本のスーパーマーケットで売られている米の値段と比べても、1キロ400円は高い。

 市場見学の後、台湾の大学関係者に越光米について聞くと、「台湾の富裕層は別として、地元の人はその値段では手が出せない。おそらく駐在の日本人が買うのではないか」と言う。そう言えば、こちらを日本人と見抜いてか、米屋の主人が近寄ってきて、片言の日本語で「電話でゴヨウメイください」と名刺を差し出してきた。ゴヨウメイとは「ご用命」のことか。名刺には赤字で「免費外送」と書いてある。つまり無料で配達しますよとの意味なのだと想像がついた。なかなか商売上手だ。ただ、この越光米は「日の丸」で日本産を強調しているが=写真=、残念ながら日本国内の産地表示がなかった。

⇒9日(水)午後・金沢の天気   くもり

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