所用のため朝から東京都内へと出掛けた天気の良い天皇誕生日。
所用はお昼過ぎに終了したことから、昼食を兼ねてビールでも飲んでから帰ろうと思い、「祝日営業」かつ「通し営業」で更に「休日でもあまり混雑していない場所」という条件でお店を検討し、JR山手線・大塚駅から徒歩5分程度の所にある『おり戸そば切り・やぶ』さんの暖簾を潜ってみることにしました。
駅から人通りの少ない通りを進み、シャキッとした暖簾を潜ってみると、お酒を飲みながらのんびりくつろいでいるご夫婦など、3組のお客さんがマッタリした昼下がりの一時を思い思いに過ごしています。
そんなマッタリした空気が流れる中、2人掛けテーブル席に着いて蕎麦前の料理とお酒をお願いしたところ、「広い席でゆっくりお酒飲んで行って下さい。」と4人掛けテーブル席への移動を勧められます。
しかし、2人掛けテーブル席でもけして狭くは無く、一人で使用するには十分な広さであることからこのままでも十分と思いましたが、混雑しないだろうと思われる14時という時間であることから、お言葉に甘えて4人掛けテーブル席へ移動させていただくことにしました。
清潔感の漂うゆったりした4人掛けテーブル席に着いて菊正宗樽酒を飲み始めたところで、最初の料理「板わさ」が運ばれてきます。
「板わさ」は、「待たずに出てくる一品」としていただくことの多い料理ですが、今日に関しては「厚み(歯応え)のある蒲鉾が食べたい!」という思いが強かったことからいただくことにしましたが、その思いに十分応えてくれる納得の「板わさ」でした。なお、添えられていたワサビは風味の良い美味しいワサビでした。
続いていただいた「玉子焼き」は、甘い玉子焼が好みの方に喜ばれそうな、甘過ぎない程好い甘さがなかなか好印象の玉子焼でした。
さて、マッタリした昼下がりを気分良く過ごすことが出来ているので、もう少しお酒と料理をいただこうと思い、飲んだことの無い新潟県の地酒「特別純米・五十嵐川」と、店内に貼られていたメニューの中から「自家製あん肝」を追加でお願いします。
いただいた濾過軟水仕込みの「特別純米・五十嵐川」は、「キリッと辛い」という程ではありませんが、淡麗でスッキリした辛口の美味しい日本酒でした。
また、「自家製あん肝」はネットリした食感とほんのり臭みがありますが、酒飲みが好みそうなネットリ感と臭みで、とても旨いです。
う~ん、「板わさ」パスして「自家製塩辛」をいただいてみれば良かったかな?。
美味しい蕎麦前をいただきながらのんびりくつろいでいると、14時過ぎという中途半端な時間にも関わらず家族連れ(おじいちゃん、おばあちゃんを含めたそこそこの大人数)が訪れるなどボツボツとお客さんの出入りが見られ、地元にしっかり根付いている様子が伺えます。
そんな居心地の良い雰囲気に浸っていると、ついつい「自家製塩辛」もいただこうかな?と心が揺れてしまいますが、蕎麦前を十分いただいたので蕎麦をお願いすることにします。
お願いした蕎麦は「せいろう」で、「おり戸やぶ」という文字が書かれた薄く丸い形状の蒸篭に蕎麦が盛られ、運ばれて来ます。
その蕎麦を、まずは蕎麦汁を付けずにいただいてみると、「硬い」のでは無くしっかりしたコシのある蕎麦で、蕎麦汁を付けずに食べても十分美味いです。また、蕎麦汁はやや甘目の印象ですが、蕎麦を美味しく引き立ててくれる蕎麦汁で、蕎麦の盛り(量)も満足するものでしたが、食べ終えた時に「もう少し食べたい。」という思いを抱かせてくれた、美味しい蕎麦でした。
今日、蕎麦前と蕎麦をいただいた『おり戸そば切り・やぶ』さんは、接客にも料理にも丁寧さの感じられる、接客良し、料理良し、酒良し、そして蕎麦はかなり良しの、何一つとして不満の無いお蕎麦屋さんで、お店にも地域にも失礼な表現ではありますが、「休日に営業していて中休みの無い、こんな素晴らしいお蕎麦屋さんがこんな所にあるなんて・・・。」とついつい思ってしまう、そんな素晴らしいお蕎麦屋さんでした。
ごちそうさまでした。