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東京・青山にある秩父宮ラグビー場で社会人ラグビーの試合を観戦した後、遅い昼食を取るために地下鉄を乗り継いで人形町へと向いました。
東京都内には星の数ほどお蕎麦屋さんがあるので、何もそんなに遠くまで移動しなくてもお蕎麦をいただくことは出来ますが、ぜひ一度訪れたいと思っていながら未だに足を運んでいない、木鉢会に所属する藪蕎麦の老舗があることから、足を伸ばして人形町まで行くことにしました。
そして14時半、明治座近くにある『浜町・薮そば』さんへ到着しました。
この、『浜町・薮そば』さんは明治37年(1904年)に「かんだやぶそば」さんから暖簾分けして開店したお蕎麦屋さんで、藪系列のお蕎麦屋さんで構成されている「藪睦会」の中でも歴史が古く、また、江戸蕎麦御三家の一つ「藪」の直系店という、歴史のあるお蕎麦屋さんです。
そんな『浜町・薮そば』さん・・・。
綺麗なビルの1階(ビルの名前が「浜町薮ビル」。自社ビルってこと?。)にあり、扉も自動扉で、その外観からは歴史のある老舗ということは感じられません。
早速、暖簾をくぐって店内に入ると、14時半という中途半端な時間ということもあってモダンな造りの店内は空いていて、一人で4人掛けのテーブル席を使わせていただきます。
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席に着いてテーブルの上に置かれているメニューを眺めると、「お蕎麦屋さんらしいメニュー」と思っているシンプルな内容ではありますが、問題は無く、瓶ビールと一緒にマイブームになっている「藪で芋」の「月見いも」、そして少々涼しい陽気なので温かい料理が食べたいと思い「親子煮」をお願いします。
ビールをグッと一杯飲み干し、そして二杯目を飲み始めたところで「月見いも」が運ばれてきます。
「思っていたよりも卵が大きい・・・。」と思いながら写真を撮っていると、時間が掛かると思っていた「親子煮」も運ばれてきます。
冷めないうちに温かい「親子煮」をいただこうと思いましたが、「月見いも」を楽しみにしていたので醤油を入れる前に芋だけちょっと食べてみます。
芋はやや緩めで芋の味わいも強くはありませんが、とても滑らかな舌触りでまろやかです。
次に、入れ過ぎないよう注意しながら醤油を注ぎ、均一になるまでグルグルと良く混ぜてからいただいてみると、卵の味がやや強いように感じられ、まぁ、これはこれで良いのですが、芋の旨みとネットリした食感が少々薄くなってしまったかな?という印象です。
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続いて「親子煮」。
柳川のようにドンッ!と来るのかと思いましたが、思っていたほど大きくはなく、やや辛目の味付けと併せて酒の肴に適した一品と思います。ただ、今日に関しては、涼しい陽気だったことからもう少しアツアツの状態で、フーフーしながらいただきたかったかな?と思います。
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さて、締めの蕎麦ですが、藪蕎麦の老舗におじゃましているので、ここはやはり「せいろそば」をいただいて蕎麦汁を楽しませていただこうかと思いましたが、正面の壁に貼ってある「鴨せいろ」の張り紙がずっと気になっていて、気持ちが揺れてしまいます。
お蕎麦屋さんでは、必ず「せいろ」をいただくと決めている訳ではないので、気になるなら「鴨せいろ」をいただけば良いのですが、今日は気持ちが揺れます。
なぜ揺れるかと言うと、その揺れる要因は「価格」。
もう一度メニューを確認しますが、価格が「せいろ+花巻<鴨せいろ」となります。
ということで、「鴨せいろ」をいただくなら、蕎麦汁を楽しみたい「せいろ」と身体の温まる「花巻」をいただいた方が良いのではないか?と一人ブツブツ長考に入りますが、後悔しないよう、やはり初志貫徹(?)で「鴨せいろ」をいただくことにします。
店内が貸切に近い状態ということもあり、さほど待つことも無く運ばれて来た「鴨せいろ」は、見た目こそ少々物足りないと感じる量の蕎麦かもしれませんが、蕎麦前をいただいた後に鴨肉もいただくので、十分な量です。
なお、蕎麦はやや色白の細麺で、コシは弱いように感じられますが、あっさりした上品な喉越しで、旨味十分の鴨汁にタップリ付けて美味しくいただきました。
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今日、蕎麦前と蕎麦をいただいた『浜町・薮そば』さんは、その外観からも、またモダンな店内の雰囲気からも「老舗」という雰囲気はあまり感じられませんでしたが、着物姿の女性が一人で訪れ、「せいろ」をサッと食べて静かに去っていく風景を見ることの出来る風情あるお蕎麦屋さんで、また、しっかり気を遣いながらも近過ぎず離れ過ぎずの程好い距離感でそつなく接客してしている花番さんの姿にも好感を持つことの出来る、普通に「良い店」と感じることの出来るお蕎麦屋さんでした。
まぁ、それが「老舗であることを感じさせない老舗の実力」ってとこでしょうか?。
ごちそうさまでした。
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