今年の3月は例年に無くバタバタと忙しい日々が続き、お蕎麦屋さんでのんびりした時間を過ごすことがなかなかできませんでしたが、3月終盤、急遽決まった出張からの帰り道、予定より早く帰京したことから日本橋堀留町にある『蕎麦遊膳・花吉辰』(はなきっしん)さんに立ち寄ってみました。
お店に到着したのは18時を少し過ぎた時間で、混雑しているかな?と思いましたが、店内は閑散としていて、明るく清潔感の漂う落ち着いた雰囲気の中、のんびりした一時を過ごすことができそうです。
そして、進められた3人掛けの店外に向いた窓際カウンター席に着いて、生ビールをいただきながらメニューを眺めてみると、多彩な品揃えの中に春らしい料理が並んでいたことから、今日は春らしい料理で蕎麦前を楽しませていただこうと思い、「菜の花辛子合え」と「新筍お刺身」をお願いします。
お通しの、これもまた春らしい「生しらす」をいただきながら料理を待ちますが、それ程待たずに出てくるだろうと予想した料理はなかなか登場せず、最初の料理「新筍お刺身」が運ばれて来た時点でビールは空に近く、料理の写真を撮っている最中にとうとうビールが空になってしまったことから、料理に手を付ける前に日本酒をお願いすることになってしまいました。
日本酒は、おすすめのお酒が用意されていましたが、定番メニューの中に飲んだことの無い、富山県の地酒「特選大吟醸生酒・満寿泉」(ますいずみ)があったことから、いただいてみることにしました。
いただく機会の少ない「新筍お刺身」は、硬いかと思った食感は柔らかく、とうもろこしを食べているかのような甘味がとても美味しいです。そして、添えられていた鰹節や山葵を使用することもなく、そのままでいただくのが一番美味しいと感じた、新鮮さと春らしさの感じられる「新筍お刺身」でした。
筍とほぼ同時に運ばれて来た「菜の花辛子合え」は、辛過ぎず・・・、というより辛さを感じないおとなしい味わいの辛し和えで、ボリューム感タップリの食べ応えのある一品でした。
なお、いただいた「特選大吟醸生酒・満寿泉」は、フレッツな味わいながら上品さの感じられる、優しく丸味を帯びた旨味がとても美味しい日本酒でした。
心地良い雰囲気の中で満足感を感じる蕎麦前をいただいていましたが、お酒と料理がほぼ同時に無くなったことから、席に着いた時から最後にいただこうと決めていた好物の「春野菜の天ぷら盛」(山菜の天婦羅)と新潟県の地酒「純米吟醸・〆張鶴」を追加でお願いします。
今シーズン最初となる「春野菜の天ぷら盛」は、種類も量も豊富で、苦味も程良く、「純米吟醸・〆張鶴」と一緒に美味しくいただきました。
美味しい料理とお酒をいただきながらふと時刻を確認してみると、席に着いてからいつの間にか1時間近くが経過しており、少々驚きながら蕎麦をお願いします。
お願いする蕎麦を決めるために再びメニューを開いてみると、季節の変わりそばがあり、桜の季節でもあることから「桜切り」かな?と思いましたが、どうしようか考えた結果、北海道幌加内産の蕎麦粉を使用して打ったという蕎麦を「せいろ」でいただき、今日の蕎麦前と蕎麦を〆ました。
今日、蕎麦前と蕎麦をいただいた『蕎麦遊膳・花吉辰』さんは、上品さの感じられる明るく綺麗な「大人の居酒屋」という雰囲気の中、ゆったりとくつろぎながら多彩な料理をいただくことのできるお蕎麦屋さんでした。
また、居心地の良さと併せて、腰が低く親切な花番さんの接客も好印象で、ついつい時間が過ぎていくことを忘れてしまうお蕎麦屋さんでした。
ごちそうさまでした。