真夏の様な暑さが続く9月中旬、うちの奥さんと共に鎌倉の中心部から離れた所にあるお寺を巡り、その途中、昼食を取るために竹寺と呼ばれている報国寺から徒歩7分程度のところにある、緑に囲まれた静かな佇まいの『蕎麦・酒 青海波』(せいかいは)さんに立ち寄ってみました。
お店は11時半開店ですが、休日ということもあり混雑すると予想して開店20分前に到着するようお店に向かってみると、さすがに先客の姿は無く、直ぐ後に訪れた年配のご夫婦と共に開店を待っていると「暑いので、店内でお待ちください」と、開店15分前に店内に案内されます。
店内は、畳の上に2人掛けと4人掛けのテーブルがゆったりと配置された和室で、古都鎌倉らしい静けさが感じられます。
汗を拭いながら開店時間を待ち、開店と同時にとりあえず生ビールをお願いしてから、追って「蛸の柔らか煮」、「生しらすの沖漬け」、「出し巻玉子」をお願いします。
まずいただいた、地元佐島産の蛸をレア状に仕上げた「蛸の柔らか煮」は、柔らかくクニュっとした食感も好印象で、ほんのり感じる柚の風味が爽やかでなかなか美味しいです。
また、「蛸の柔らか煮」と一緒に運ばれてきた、同じく地元佐島産の生しらすで作った「生しらすの沖漬け」は、どんな味わいなんだろうか?と興味津々でしたが、沖漬けらしい日本酒がほしくなる味わいでした。
店内を見渡してみると、お客さんは年配の方ばかりで、それぞれの楽しみ方で思い思いの時間を過ごしていますが、うるさいと感じることも無く、静けさが保たれていてとても心地良いです。
そして、玉子焼を作っていることが分かるカシャカシャカシャと卵を溶く音が聞こえ、暫くして有精卵「さがみっこ」を使用して作ったという「出し巻玉子」が目の前に置かれます。
いただいた「出し巻玉子」は、甘さ控えめながらも出汁が効いていて、甘い玉子焼が好みの者にとっても「旨い!」と感じるとても美味しい玉子焼でした。
心地良い空間の中でいただく充実した蕎麦前に満足度も高く、もう少し蕎麦前を楽しませていただこうと思い、「合鴨ロース煮」と「焼き味噌」を福井県の地酒「純米無ろ過生原酒・花垣」と一緒にお願いします。
追加でいただた青森県産のバルバリー種で作った「合鴨ロース煮」は、溶けてしまいそうなほど柔らかい食感が美味しく、ワインがほしくなってしまいます。
京都の白味噌に、葱、クルミ、そばの実を混ぜているという「焼き味噌」は、「純米無ろ過生原酒・花垣」との相性も良く、美味しい日本酒を更に美味しくしてくれました。
まだまだ蕎麦前を楽しんでいたいと思ってしまう心地良さが感じられるお蕎麦屋さんではありますが、このあとの予定もあることから、最後に長野県の地酒「旨口純米原酒・ひやおろし 神渡」(みわたり)をいただくこととし、併せて「天ぷらせいろ」をお願いします。
先に運ばれてきた天婦羅を肴にいただいた「旨口純米原酒・ひやおろし 神渡」は、スッキリした辛口で美味しいです。
また、いただいた天婦羅は脂っこさを感じることの無いサラッとした天婦羅で、中でも海老のプリプリ感がなかなか好印象です。なお、魚を素材とした天婦羅が中にあり、素材が何か聞いたところ、「その日によって使用する魚は異なりますが、今日は鰹です」とのこと。
初めて食べる鰹の天婦羅でしたが、感じていた満足感を更に高めてくれる美味しい天婦羅でした。
今日、蕎麦前と蕎麦をいただいた『蕎麦・酒 青海波』さんは、料理も蕎麦も美味しく、加えて親しみ易い人当たりの優しい花番さんが作る柔らかな雰囲気も心地良く、海が見えるなど風光明媚な眺めこそありませんが、古都鎌倉の静けさを感じながら、休日の一時を夫婦でのんびり過ごすことのできるお蕎麦屋さんでした。
ごちそうさまでした。