蕎麦前で憩う

お蕎麦屋さんで蕎麦前をいただきながら憩いの一時を過ごさせていただきました。

『蕎楽亭・もがみ@神楽坂』さんのふっくら「煮穴子」

2016-12-01 17:40:00 | 東京23区(新宿区)

趣のある料亭や飲食店が連なる「街」というイメージを抱いてしまう「神楽坂」。

しかし、実は生活感の漂う人の住む「町」であり、一度は訪れてみたいと思う人気の高いお蕎麦屋さんが点在している「町」でもあります。

ということで、仕事でその神楽坂(の近く)を訪れたその帰り道、東京メトロ東西線・神楽坂駅近くの路地裏にある、『蕎楽亭・もがみ』さんに立ち寄ってみることにしました。

お店に到着し、垂れ下がった大きな暖簾を早速潜ってみると、開店直後ということもあり、先客は2人掛けテーブル席に1組と店内奥に真っ直ぐ伸びている、厨房と向かい合う6人掛けカウンター席の両端に1人ずつという状況で、「もしかして開店と同時に・・・」なんて思いも浮かんだだけにホッと一安心です。

そして、指定された入口側から2番目のカウンター席に着いてメニューを手にしてみると、美味しそうなそそる料理が並んでいて、初めから日本酒かな?と思いましたが、「ビールは一杯あれば十分」という時に嬉しい「小生ビール」があったので、その「小生ビール」と一緒に「にしんの麹漬け」と「煮穴子」をお願いします。


お酒と料理をお願いしたところでその他のメニューを眺めていると、目の前にお通しと言うには立派過ぎるお通しが置かれましたが、これがまた見ているだけで嬉しくなる美味しいお通しでした。


お通しを肴にビールをいただいていると、まず「にしんの麹漬け」が運ばれてきます。
どれどれと思いながら一切れいただいてみると、麹漬けならではの味わいがしっかり感じられ、日本酒が欲しくなってしまいます。


どこをどう見てもこの料理には日本酒だろうと思い、ビールをサッサと空にして改めて日本酒のメニューを手にしてみると・・・。

ほぼ、新潟県の地酒一色といった、それも、個性の異なる日本酒が並んでいて、飲んだことも聞いたことも無いお酒もありましたが、「緑川」があったので、「緑川・純米吟醸無濾過生みどり」をいただくことにします。

なお、問題も不満も何一つとして無い、日本酒に対する拘りが感じられる品揃えではありますが、あえて一言言わせていただくなら、この品揃えに「獺祭」は不要と思います。



続いていただいた「煮穴子」は、上品な味付けとふっくら柔らかな食感がとても好印象な、かなり美味しい「煮穴子」でした。また、山椒の小皿が添えられましたが、山椒は使用せず、穴子そのものの美味しさを十分に堪能させていただきました。


美味しい料理にお酒も進み、「緑川」のおかわりと「アスパラ天婦羅」を追加でお願いします。

いただいた「アスパラ天婦羅」は、季節が冬ということもあり、正直それほど期待はしていませんでしたが、いざいただいてみると、どうしてどうして、甘味がありとても美味しいです。そして、その大きさと太さから十分な食べ応えが感じられる、納得の「アスパラ天婦羅」でした。


さて、最初は薄っすらと緊張感を感じていましたが、賑わいの中に柔らかさと温かみの感じられる雰囲気にその緊張感もすっかり無くなり、居心地の良さにこのままずっと飲み続けていたいと思ってしまいますが、パラパラと訪れるお客さんでいつの間にか席もほぼ埋まったことから、早目に蕎麦をお願いしておきます。

お客さんが増えてきたので時間が掛かるかと思いましたが、時間が掛かることも無く出てきた「ざるそば」は、少々水切りが緩いかな?という印象ではありましたが、角の立った、蕎麦の風味がしっかり感じられる美味しい蕎麦でした。また、蕎麦汁はクリアで雑味の無いキリッとした味わいで、これもまたとても美味いです。

なお、薬味の山葵は注文を受けてからその都度すりおろしているようで、爽やかな風味と辛さが心地良い、なかなか美味い山葵でした。


今日、蕎麦前と蕎麦をいただいた『蕎楽亭・もがみ』さんは、ミシュランの星を獲得したこともある同じく神楽坂の「蕎楽亭」さんで修行を重ねた、サッパリした人柄という印象の若い女性のご主人と、更に若い男女2人の計3人で切り盛りしているお蕎麦屋さんで、パラパラと増えていくお客さん相手に常に3人がバタバタとフル回転状態でしたが、料理に時間が掛かることも接客や料理が疎かになることも無く、接客にも料理にも丁寧さの感じられるお蕎麦屋さんでした。

また、テキパキと手際良く仕事をこなしているご主人の仕事振りが素晴らしく、予約の電話を受けながらも手足を止めることなく動き回る姿に、地元の方々や馴染みのお客さんに大切にされているということがひしひしと感じられる、下町の小料理屋さんといった雰囲気のお蕎麦屋さんでした。

しかし・・・、雑然とした厨房はもう少しなんとかならないのだろうか?。

ごちそうさまでした。